
FD2の良さと言えば4ドアセダンながら前面のエッジが効いておりどこか戦闘機のような雰囲気を合わせもつ外観と鍛え抜かれたVTECのNAエンジンでしょうか。特にVTECの切り替わりとともに現れる明確なフィーリングの変化と盛り上がるドラマチックな吹け上がりが最大の魅力です。このフィーリングは少し異なりますが、昔乗っていたNSR250Rで「石清水のような出力からいきなりパワーバンド」に入った瞬間の感動を思い出させてくれました。YZF-R1、AMGA45のような最初からの怒涛の加速ではなく、潜在能力があるところで開花し、こんなポテンシャルがあったのかと思わせるところでしょうか..
車は学生時代に免許を取得し直ぐに練習用にと購入した16.8万円で売り出されていた4A-Gの5Fカリーナが出発。半年ほどで車検のタイミングもあったので(廃車にしたのか下取りにしたのかも不明で置いていたら今時結構な値段がついていたのでしょうか??)、今では考えられない当時乗り出し18万円でした重ステの白のAE86GTVへ車両変更。こちらジムカーナの練習中にガードレールにヒットして当面そのままで乗っていましたが、車検が近づいた頃にショップからこっちにしない?と言われ、凹んだ車両に8万円上乗せするだけで購入できたシルバー/黒ツートンのGT-APEXに乗り換えました(いい時代でした)。その後社会人になって購入した人生唯一の新車であるGC8。慣らし中にもかかわらず早朝の首都高でタービン音とともに怒涛の加速感やふとしたコーナーでの回頭性については今でも忘れられません。自動車では太刀打ちできない300km/hに到達するヤマハYZF-R1の悪魔的な加速、AMGA45のエンジンの咆哮とそれぞれ年代ごとに速さに感動してきたところです。
しかし、FD2はこれらと異なり決して加速感はありませんし絶対的な速さもありませんが、NAの応答性、熱量とサウンドによる魅力度が大きいです。回転数の増加とともに境界線を超えた時に変わる官能的なフィーリングや音の変化、この独特の特性に全くもって中毒性があります。また、街中で流す際に窓を開けてエンジン、排気音の厚みを感じながら豊かなトルクによって交差点を曲がり、野太い音でゆるやかに加速していく瞬間も楽しいものです。昨今では騒音規制強化のため大人しい割に、ターボの過給により断然速く、パワー、トルクが高いのでマニュアルでもオートマを操作しているかのように操作が楽で優等生的な車が多くなっています。実際FK8やFL5も試乗した限りそうでした。抜群に安定していて速いのですが一瞬の切れ味や危険なニオイやトキメキが感じられません。実馬力や実際の高回転域に於ける高揚感の有るフィーリングはホンダの真骨頂であり、バイクやF1で培われた高回転型NAエンジンこそがホンダのイズムであり、これを受け継ぐFD2タイプRのバランス取りされたVTECエンジンとローギアードクロスミッションの組み合わせと、アクセルレスポンスの鋭さは最後のホンダ車と言えるでしょう。
何れにしても乗り込んでハンドルを握るたびに新鮮な気持ちになり、カタログのスペックで語れない何か感性に響く良さのあるFD2です。