先日、三菱ⅰ-MⅰEVの試乗会に行ってきました。その完成度は、今までこのブログで何度か書いていますが、とても素晴らしいものだと感じました。なにしろ普通のクルマのように走れてしまうんですから。
「普通に走れるということがそんなにすごいことなのか?」
と思うかもしれませんが、電気自動車とガソリン自動車はそもそも動力システムが根本的に違うんです。ガソリンは内燃機関で、エネルギー源を燃やして出力を発生します。これに対して、電気自動車は電気の力を使ってモーターを回し、これを動力にしています。
例えば、エンジンは回転を上げるとパワーを発揮しますが、モーターは電気を通したときに一番強いトルクを発生するといった違いになるわけです。
こうした違いがあるにも関わらず、あたかも従来のクルマと同じような使い勝手できちんとクルマとして成立させているわけです。
でもさあ、電気自動車って航続距離は160キロしかないんでしょ? とか、充電に時間がかかりすぎるんじゃない? という疑問や否定的な意見があります。
まさしくそのとおりで、電気自動車が抱えている問題は、ここまで進化して来た自動車と同じように長い航続距離を確保するのは難しいというのがあります。
すでに携帯電話やノートPCのバッテリーとして使われているリチウムイオンバッテリーが登場して、とても実用にはほど遠かった電気自動車の航続距離を160キロまで伸ばすことができたわけです。
見方にもよりますが、160キロしか走れないのではなく、160キロも走れるようになったというのが現状と言えると思います。
もっとバッテリーをたくさん積めば航続距離は長くなるじゃないか。
そのとおりです。バッテリーをたくさん積めば、航続距離は長くなります。でもバッテリが重くなり、充電時間が長くなってしまうという問題があります。
もっとエネルギーを溜め込めるバッテリーを作れないの? ということになるわけで、これが今後の課題になるのだろうと思われます。
なんて話を偉そうにうちの坊主にしていたところ、
「電池ってどうやって電気ためてるの?」
「・・・」
というわけで恥ずかしながら、ちょっと勉強してみました。
○歴史
電気の起源は、1800年にイタリア人の「ボルタ」という人が発明したと言われていて、ボルタ電池というのが有名です。
ボルタは、さらに、硫酸を入れた容器に銅と亜鉛、の板を入れたタイプの電池も作っているんです。
電池に関しては、これが一応初めとされているんですが、面白い話があって、・・・って、これも知っている人はみんな知ってる有名な話なんですが、
じつは紀元前2世紀頃、すでに電池が使われていたというんです。
ボルタから遡ること2000年以上前にイラクの首都バクダットに電池があったというんです。
陶器の壷に鉄と銅を入れて、そこにワインビネガーかなにかを入れて使っていたのではないかと言われています。
もっとも、電気を明かりとして使っていたわけではなく、メッキのために使っていたらしいんですけどね。
バクダット電池っていうんだそうです。
ただ、本当に今から2200年以上も前のものなのか? 確かに2200年前の遺跡から発見されたらしいんですが、作られたのはずっと後ではないかと言っている人もイるみたいです。これに関しては諸説あって、断定はできないらしいんですけど・・・。
まあ、そんな話もあるわけですが、1800年になってボルタが電池を発明し、そこから電池は普及し、進化して行くことになるわけです。
○なぜ電池には電気がためられるの?
ところで電池の原理って皆さん知ってました?
ウッキーは恥ずかしながら知りませんでした。
・・・たぶん遠い昔に教わったはずなんですが、すっかり忘れてしまっています。
で調べてみました。
これはボルタの電池なんですが、これが電池の原型なんですね。
銅と亜鉛を硫酸の溶液(電解液)に漬けて、上端をコードで結ぶと電気ができるんだそうです。
2つの金属を硫酸につけると、イオン化傾向の強い亜鉛がまず溶け出します。この時、亜鉛原子はマイナス電子を残したまま硫酸に溶け出すんです。
するとマイナス電子がたくさん余ってしまい、これが銅板の方に流れていきます。
この電子の流れが電気になるということです。
銅板側では、もともと硫酸水溶液に溶けていた水素イオンが、流れてきたマイナス電子を受け取って水素原子になるんだそうです(水素イオンはマイナスイオンの足りないプラスイオンなのです)。
そして、水素原子が2つくっついて水素になっていきます。
電池はためられるわけじゃなく、この電子の流れを作り出す効率と容量なんですね。
ただボルタの電池方式だと、水素が銅板に付着して、すぐに電気が起きにくくなってしまうんだそうです。その後1868年にフランスのルクランシェという学者さんが、プラス極とマイナス極を分けることを思いつき、マイナス極には亜鉛板と塩化アンモニウムの水溶液、プラス極側には炭素棒と二酸化マンガンの水溶液の電池を作ったのだそうです。
これが今のマンガン電池の原型なんだそうです。
○乾電池の仕組み
マンガン電池
今のマンガン乾電池も考え方は全く同じで、集電体と呼ばれる炭素棒がプラス極で、この周りに二酸化マンガンがはいっています。その外側にセパレーターと呼ばれる仕切りがあって、さらに外側を負極の亜鉛缶が包む形になっています。また、電解液は塩化亜鉛水溶液が入っています。
アルカリ電池
アルカリマンガン電池とも言われていますが、この電池も基本はマンガン電池と同じです。プラス極に二酸化マンガン、マイナス極に亜鉛が使われています。ただ、構造はマンガン電池の逆で、マイナス極の亜鉛を粉末にして電池の真ん中に配置してあります。その中心に集電体があり、これがマイナス極になっています。その外側をセパレーターで分離してさらに外側に二酸化マンガン粉末が取り囲み、それを電池ケース(缶)が覆う形です。この電池ケ-スがプラス極になっているわけです。そして電解液にアルカリ性の水酸化カリウムを使っています。これがアルカリ電池と呼ばれる理由です。
マンガン電池では集電体がプラス極だったわけですが、アルカリ電池では集電体がマイナス、缶がプラスになっているます、。これでは使いにくいので、缶の底(+)に突起を付けて見かけ上マンガン電池と同じ形状にしているんだそうです。
他にもいろんな種類の電池があるんですが、要は金属を溶かす電解液と、電解液に溶けやすい金属、電解液に溶けにくい金属で構成されているわけです。ちなみに電解液に溶けやすい溶けにくいをイオン化傾向が大きい、小さいというます。
ということは、イオン化傾向の大きい金属をマイナス極に使えば、大きな電圧が得られるということになります。
この特性を利用したのがリチウムイオン電池です。
リチウムはイオン化傾向が大きいので、高い電圧の電池を作ることができるんですね。
ただ電解液を使うことができません。それは電解液に含まれる水が電気分解で水素と酸素に分解されてしまうからです。そのためリチウムイオン電池の場合は、マイナス極にリチウムと電解液の変わりにリチウムイオンを含む有機溶液を使うんだそうです。プラス極には二酸化マンガンが(安いので)使われることが多いそうです。
マンガンを使ったリチウムイオン1次電池は、他の電池がおよそ1・5ボルトであるのに対して、3Vを発生することができるんだそうです。
これらの電池は一回使い切りの電池で、1次電池と呼ばれています。
これに対して再充電できるものを2次電池と呼んでいます。
ふ~~長くなったので、とりあえず一旦終わります。
次回は2次電池に付いて調べてみたいと思います。
参考資料
なお、このブログを書くに当たって、以下のサイトを参考にさせていただきました。
理科の自由研究
http://www.hi-net.zaq.ne.jp/t-nishi/index.htm
ITモノイスト~知っておきたい電池の仕組み~
http://monoist.atmarkit.co.jp/feledev/articles/battery/01/battery01a.html
パナソニックキッズスクール エレキ博士の研究室
http://pks.panasonic.co.jp/kyoushitsu/lab/lab10bat/index.html
パナソニック エナジー社 電池なるほどサイト
http://panasonic.co.jp/ec/naruhodo/
サンヨー 電池なぞなぞアカデミー
http://jp.sanyo.com/academy/index.html
標準化教育プログラム「個別技術分野編ー電気電子分野」
第16章電池の歴史と標準化 一次電池、小型二時電池を中心として
http://www.jsa.or.jp/stdz/edu/pdf/b4/4_16.pdf