1939年のドイツのポーランド侵攻と共に全世界を巻込む事となる「第二次世界大戦」が始まった。 そのなかでは前大戦で芽生えた兵器が主力となっていた。
航空機の進化は目覚ましいものがあり500キロ級を超える多くの戦闘機が飛び交い1トン近い爆弾を乗せて飛び回る単座攻撃機 そして大型の4重爆撃機・・・・・・・
速度 航続距離 搭載量 もはや前大戦の航空機とは隔絶した性能を見せていた。 1941年には日本も米英との戦端を開き戦火は太平洋にも広がった。 そこでの主役は航空機であったといっても過言ではない。
それに対抗するのは無論航空機ではあるがそれ以外に「高射砲」もあった。 いわゆる対空砲で俯角を大きくとれ、高初速で高くまで砲弾を撃ち出し、短い間に多くの砲弾を撃てる。 地上軍にとっては主力となる対空兵器だった。
有名な高射砲といえば「ティーガー重戦車」等にも搭載された「88m高射砲(8.8 cm FlaK 18/36/37)」だろう。 無論日本陸軍も高射砲を採用していた。 しかし日本陸軍の仮想敵国のソ連への高射砲への要求は軽くて機動力が確保出来る野戦高射砲だったため基本的に軽量で小口径のものが多かった。
八八式7.5cm野戦高射砲
30年代に採用された日本軍の主力野戦高射砲、 軽量且つそれなりの性能でまだ当時航空機もそこまで高高度を飛ばなかったためそれなりの戦果を上げたが後々の航空機の 高速化 高高度化 には性能不足を隠せなかった。
1944年6月 サイパン島を始めとするマリアナ諸島が陥落して、遂に最大の敵が日本にその姿を現した。
ボーイングB29スーパーフォートレス「超空空の要塞」と呼ばれた長距離4重爆撃機、日本人なら一度は耳にしたことあるこの機体。 排気タービンの本格採用により1万メートルを超す高高度でも十分な性能が発揮可能 与圧室の完全採用により乗員はマスク無しでも高高度での登場が可能 優れた射撃統制装置を搭載した先進的な防御砲火の遠隔操縦により強力な対空弾幕を形成可能。 もはや「超兵器」とすら言える程の性能をもっていた。
日本航空機はその高度まで到達するのもやっとやっとで高高度下ではその性能は全く発揮出来ない状況 それまでの野戦高射砲ではその高度まで砲弾が届かない(八八式高射砲で最大9,100m)で手の出し用がなかった・・・・・かにみえた。
しかし日本陸軍もそのような航空脅威に対して完全に無策ではなった。 その中で本土防空の切り札といえた高射砲があった。 それが三式12㎝高射砲だった。
三式12㎝高射砲

三式12cm高射砲
使用勢力 大日本帝国陸軍
採用年 1943年(昭和18年)
口径 120mm
砲身長 6,710mm(56口径)
初速 853m/秒
最大射程 20,500m
最大射高 14,000m
重量 19.80トン
製造数 約120門
この高射砲は今までが機動力重視の野戦高射砲とは違い最初から陣地固定用の高射砲として開発され海軍等で採用されていたた八九式十二糎七高角砲を参考に開発された。
それによりそれにより
電気式で高性能な高射照準具(算定具)の装備
自動装填装置の装備
従来の歯車式の人力操作と違い海軍式の電動モーター駆動の水圧伝導機による迅速な操作が可能
信管は時計式の機械信管を採用
など、それまでの野戦高射砲とは歴然とした性能差をもつ高射砲となった。
本砲は、東京 大阪 神戸 北九州の八幡製鉄所、軍需工場などの重要都市・施設、さらには南方最大の石油基地パレンバンにも配備され、東京に配備されたものは高高度を飛行するB-29を10数機撃墜するなど奮戦した。
因に日本本土防空戦において迎撃戦闘機よりも高射砲部隊の方が大きな戦果を上げている。 レイダー等の開発に遅れをとった日本だが末期には 要地防空用の電波警戒機(捜索レーダー)・電波標定機(射撃レーダー)・防空指揮通信機・特種指揮電話機などが開発・実用化・配備 してそれなりに効果的な防空戦を展開している。
しかし・・・・・・・ 絶対的な数が不足していた。 ドイツの88ミリ高射砲は全てをひっくるめると6〜7万門が生産されているのに対して本砲は僅か120門程度にしか過ぎない。 ドイツはその対数の高射砲をもっても本土を守り抜く事は出来なかった。 しかも対独戦の主力爆撃機は旧型のB17が主力だった。
大戦末期、高射砲は生産の優先順位は上げられたものの 元からの 工業基盤の低さ 資源の枯渇 熟練工員の減少 空爆による生産施設の破壊 等により十分な数を揃えることは出来なかった。 強力な性能を発揮した五式15センチ高射砲も僅か2門が生産されただけだった。
5式15センチ高射砲
東京の井の頭線久我山駅近くに設けられていた久我山高射砲陣地に配備され1発で2機のB29を撃墜したという(真相不明)
絶対数の不足の中で高射砲部隊は終戦のその日まで奮戦した。 その砲を空に向け国民を脅かす敵を落とす為に・・・・・・・ 今又あの悲劇が再び起こらぬ事を切に願う。 そしてあの戦いで無くなった全ての人に哀悼の意を捧ぐ。
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2014/03/26 19:03:23