ゆーさく＠アリスタント⑨州支部のブログ一覧

　大陸打通作戦、前のブログでは作戦の全容のみを書きましたが、今回は一般兵士からの観てのこの大陸打通作戦とはなんだったのかということを書き綴っていきます。

　作戦概要は中国大陸から仏領インドシナまでの鉄道等の交通機関を確保し南方資源地帯と本土を陸路で結ぶこと、更にその途中にある米軍飛行場の占領し本土への空爆の阻止、更に更にその打撃により重慶政府（国民党）との講話の足がかりとするという複数の目的をもち総計２０００キロ以上に及び参加兵力は５０万以上という帝国陸軍史上最大の作戦でした。

　しかしその内容とは裏腹に実情はヒドいものだたようです。　当時の陸軍の移動手段は徒歩が基本、物資の輸送は馬が主でした、みなさん「え？？」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが全ての部隊にトッラク等の車両を使い無論補給部隊も全て自動車化されていたのは当時世界広しといえど「アメリカ」ただ一国だけでした。その他国は徒歩＆馬が基本だったのです。　多くの部隊は徒歩にて２０００キロににも及ぶ行軍を強いられることとなったのです。

　証言の中では「立ったまま寝ていた」「足の裏が全てマメになった」等がありその過酷さが伝わってきます。そのあまりの行軍の辛さに自殺する兵士もいたそうです。　さらに武器弾薬＆食料等の物資は絶望的に不足をきたし特に最前線では「水」不足が躊躇となり乾きに耐えかねた兵士達は道ばたの泥水を啜ったそうです、それをある兵士は「豚と同じだった」と証言したそうです。

　無論そのような水を飲んだ結果は赤痢やコレラと言った伝染病の蔓延でした、下痢により食事も満足にとれずそれでも続く行軍、次々と倒れる兵士が続出したようです。　そんな中大本営でも作戦の中止が囁かれますが作戦を立案した服部 卓四郎（はっとり たくしろう）中佐は補給や戦力等に問題は無しと言い切り作戦は継続されました、此の服部　卓四郎中佐はガダルカナル戦においても同様の発言＆報告をし結果日本軍は多くの戦死（餓死）者を多数出し（２万名以上）大敗を喫していました。

　そして各所にて支那軍と激しい戦闘を交えますが先に書いたとうり弾薬等は不足しており数に優り更に米国からの支援を受けた支那軍との戦いは苦戦を強いられ弾薬なく銃剣突撃により陣地の占領等を押し進め多くの犠牲者を出しています。更に制空権は在支米空軍により常に握られており行軍等は夜間に限られたそうです。

　１９４４年１２月に一部部隊が仏領インドシナへ到達此処に８ヶ月に及ぶ大陸打通作戦は終了しました。　だが結果は当初とはまったく異なるものとなていました。　南方資源地帯と本土を陸路で繋いだもののその鉄道網や道路等の管理や増設する力は日本には無く各所でゲリラ的攻撃で鉄道網や道路は機能しませんでした、さらに米空軍基地占領による本土空爆の阻止もサイパン島始めとするマリアナ諸島陥落により意義を喪失、重慶政府も屈するどころか更にアメリカによる支援を受け徹底抗戦の構えでした。

　大陸打通作戦は形の上では成功したもののその影響は払った対価にたしてけして十分なもとはいえませんでした。多くの部隊は結局来た道を戻るはめとなったのです。

　一般兵士にとって上の大層な作戦などは関係なくただ命令に従い果てしない中国大陸を足のまめがつぶれながらも行軍し泥水をすすり伝染病に悩まされ不足している弾薬で優勢な敵と戦い多数の兵士達が命を落としていきました。　その兵士の中には独り身の者もいれば本土に家族を残していた者、平和な世であれば仕事に励み友人と遊び笑い妻や子供と食卓を囲む・・・・・　しかし現実は汗と血に塗れ病魔と飢えが蔓延する地獄の中かだったのでしょう。

　ある兵士の証言で「此の戦いで死んでいった戦友に犬死にだなんて事実でもとても言えない、それでは散って逝った戦友たちがあまりにも可哀想でならない」・・・・・　そのとき散った命、それは天皇のため国のため・・・・　そんな美辞麗句に言い飾られてもそれは決して合致しない、多くの兵士は「生きて故郷に帰りたい」その一心だったのではないだろうか。

６６年前に実際にあった出来事しかし自分達はそんな事実など全く気にせず平和を謳歌している。　家族で食卓を囲み好きなだけ食べ、車に乗って、好きな音楽聴いて・・・・　忘れる訳にいかない忘れた時は又その悲劇が繰り返される時だと思う。 遠い中国大陸の地で散った多くの兵士達に哀悼の意を捧ぐと共のに現在の日本に警告する。