ゆーさく＠アリスタント⑨州支部のブログ一覧

進むのが時代である。

日曜日に購入した２冊のうち一冊「広田弘毅」を読み上げ各所諸々思う事がある。

福岡県にて性を受け軍事志望だったが三国干渉をして「外交官」への道を歩み、欧米局長　ソ連大使を経て満州事変後国際連盟脱退した後の困難な時代において斉藤実内閣　岡田啓介内閣の外相として更に２２６事件後の首相にその後の第一次近衛文麿内閣での外相と重要地位に着き各種外交にあったた。

しかし軍部の圧力や統帥権の問題、更に首相時に復活させた「陸軍大臣現役武官制」は軍部増長の一つとして使われ支那事変でのトラウトマン工作も失敗させている。　そして終戦後行なわれた極東軍事裁判いわゆる東京裁判において唯一の文官での「絞首刑」に処せられた。

読み進めれば読み進める程に「外交」の難しさをひしひしと思う。　絡み合う各国の利権や情勢、また国内においても軍部を始めとした多くの障害、これをして本当に思い描いた「外交」を行なう事が出来るのだろうか？？　素人ながらそう思ってしまう。

外交とは正に生き物の如く動き回りまた姿形を一瞬にして豹変させる事すらある。　人間の織りなす所業は正に「複雑怪奇」としか言いようが無い程に当時の外交の難しさを知る。

其の中で１人の人間はどのように動き考え、それに向っていくのか？？　国の運命を左右するだけに一つのミスは取り返しのつかない事になる。　その重圧を常に感じなければならない様な事に小さな一個人はどうなるのだろうか？？　普通の人間なら重圧に潰されるか投げ出してしまうのが関の山だろう。

だが当時の外交官達は真っ向と其れに立ち向かった。　広田弘毅も其の１人である事に違いない。　だが彼の外交は必ずしも上手くいかず掲げた「日中提携」は支那事変とその後の処理で完全に崩れ去った。　途中からの彼の外交への「熱意とモチベーション」が下がっていくのがみてとれる。

大きな熱意と目標を持ちその仕事に就きながらも前に書いた多くの「障害」はそれを妨げ思い描いた方向とは全く違う様になってしまう。　無論自身の詰めの甘さもある。　あの困難な状況にて何処まで出来るのかは不透明であり推測するにすぎない。

読み進めていくうちにこの「広田弘毅」と言う人物は国を憂い売る心を持ち政客としての素質と深さを持ちながらも平和への思いを常に置いたある意味異質な外交官であったが、根は「非凡でごく普通の人間」であると思った。

更に判決後の家族との最後の別れのシーンのは胸を打つものがある。　それをしてやはり彼は「家族を愛する一家庭人でありごく当たり前の人間」だという事に個人的に確信するに至る。

多くの困難を前にして人はどのようにして対処せねばならいのか？？　外交はどうなるべきなのか？？　そういう思いに囚われながらも外交官も１人の人間という観点からつぶさに思案して、コレからの先に生かせるべき所と反省点を見出して、明日へ繋げていかなければと思った今日此の頃。