日曜日は本当に久し振りにバイクのツーリングに出掛けて、久能山の東照宮にお参りしてきました。
ハーレー・ダビッドソンのお店がある沼津から出発して美保で蕎麦を食べて日本平へ。そこからロープウェーで久能山へ渡ってお参りして帰る、というルートで、短い距離でしたが結構楽しめました。
久し振りに乗った愛車(Buell XB9R)はやっぱり気持ちが良いので、インプレを書く気になりました。
見た目はこんなバイクですが、極太のフレームに半分隠れているエンジンはハーレー・ダビッドソン製です。やや小振りのVツインで984ccしかありませんが、実物を見ると「1000ccのバイク」から想像するよりもずっと車体が小さいです。
ホイールベースが1320mmで実は250ccのバイクやスクーターより短く、車重も175Kg(家のは172Kg位?)なので400ccのバイク並です。これにハーレーの大きなVツインが載っていますから、4輪で言うとロードスター(で車重は1000Kg)にアメリカンV8が載っているようなものですね。この時点で結構おかしいです(爆)。
キャスターも21°と物凄く立っていてレーシングマシン並みなので、バイクを知っている人なら「こんなディメンションでまともに走るの?」と思われる程ですが、全然自然に走ります。
普通のバイクに比べるとかなり太めのフレームは実はガソリンタンクになっていて、マフラーもエンジンの真下にあるのでかなりの低重心です。実は後輪を支えているスイングアームも、エンジンオイルタンクになっています。
元々長くて大きく重いハーレー・ダビッドソンのエンジンをスポーツバイクに使う、という発想がそもそも間違っていると言われればそれまでですが(自爆)、それをここまで突き詰めた重量の集中化、低重心化にはびっくりです。4輪だとレーシングマシン以外ではここまでのパッケージングが出来ているのはマクラーレンF1くらい、と言えばレベルが分かるでしょうか。
実際に乗ってみると、他のハーレーより小排気量なのですが車重が100kgくらい軽いため、充分Vツインのトルク感はあり、45度Vツイン独特の「鼓動(振動ではありません)」を伴って気持ちよく加速します。7500回転までしか回りません(それでもハーレーのエンジンとしては高回転なのです)が、低回転からでも瞬時にダッシュに入れ、レブリミットまで綺麗に吹け上がります。
まるでディーゼルエンジンのようですがレスポンスは自然吸気でビッグボアですから遥かに鋭いです。レーサーレプリカではないので0-100Km/h加速は4秒フラットでしかないですが、それでも余裕でM3より速いのはやっぱりバイクだからですね。ほとんどアクセルを開けてなくても余裕で交通の流れをリード出来ますが、とても小さく見えるバイクなので、普通に流していると軽自動車のおねえさんにも割り込まれます(笑)。
もう一つの面白い部分は前輪のブレーキです。普通のバイクはホイール中心のハブにブレーキディスクがマウントされていてキャリパーは外側からはさんでいるのですが、XBシリーズのディスクは外周のリムにマウントされていて、キャリパーは内側からはさむ構造になっています。
この構造にすると、ハブ部分の強度をかなり落とせる事もあってホイール、ブレーキ系を含めたバネ下が大幅に軽量化出来ます。純正の時点で、元々軽量なはずのレーサーレプリカより2.5Kg!!も軽いです。家のXB君はその上に軽量ディスクやらチタン部品、おまけにボディ同色に塗ってあるホイールも実はマグネシウムなので、普通のバイクより3Kg以上軽いです。
4輪に換算すると1輪あたり15Kg以上軽い!事になりますから、普通の構造だと実現不可能な軽さです。結構頑張ってもマグネシウム鍛造とカーボンコンポジットブレーキのコンビでせいぜい10Kgくらいでしょうか(しかも200万以上かかりそうです)。実際、路面の追従性は大幅に違ってきます。
バイパスや高速道路のゼブラパターンをBMWの標準車が「ドタドタ」と通るところをALPINAだと「トントン」といなしますが、Buell XB9Rだと「ツルルン」と通ってしまいます。スポーツバイクで足回りは固めてあるのに、信じられない乗り心地です。それでいて路面の状況は的確に伝わってきます。
当然ホイールのジャイロマスも小さいですから、ブレーキもシャープに効く上にブレーキ荷重のコントロールも繊細に出来ますし(ここがバイクでは大事です)、加速もダイレクトで痛快です。コーナリング中のギャップで揺すられても瞬時に収束するので安心感も違います。
ハードなコーナリングも出来て、ゆっくり走っていてもハーレーのVツインの鼓動を楽しめる、といういいとこ取りのバイクです。もちろん直列エンジンにくらべると振動のレベルそのものは大きいですし、パワーも最新のレプリカに比べたら全然ありません(たった92馬力)ので、好みはあると思います。
まあ、バイクというのは(最新のレーサーレプリカを除くと)電子制御とは無縁の乗り物なので、それだけ人間の感性に近いものかもしれませんね。
新車から10年経過して普通ならおんぼろのはずですが、全然調子は衰えません(ハーレーのエンジンは丈夫です)し、いまだに25Km/L(リッターバイクとしてはとても良いです)走るので、久し振りに乗ってみて「手放したら可哀相」と改めて思いました。
ところで、ハーレー・ダビッドソンのエンジン(実はOHV)でもさすがに燃料噴射なのですが、学習機能が付いているために下手な人が乗ると(ラフなアクセルの開け方に対応して補正がかかるため)切れが悪いエンジンになってしまいます。なので、物の分かるメカニックが中古車に乗ると「おっと、このバイクの元オーナーは下手くそだなぁ」とか「いい育て方をされたエンジンで気持ちよいなぁ」、と分かるそうです。
中古のハーレーに乗ってエンジンが綺麗に吹けない場合は、前オーナーが下手だったのか、自分のアクセルワークが…(以下自粛)。
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バイク | 日記
Posted at
2013/01/07 13:29:56