
車検が近いのでタイヤを交換しなけりゃとかしばらく洗車していないな、と思っていた3週間ほど前のことでした.
その日、とあるスポーツイベントに出場し、お昼前に帰途につきました.
R473を下り始めてすぐに2台の車に追いつきました.
2台は初めてのルートをつるんでゆっくり走っているようでした.
前方を見通せる追い越しポイントで追い越しました.
50km/h以下だったため、6速のままたらたらと加速していきました.
追い越し完了してすぐにスピードがいつもより上がっていることに気がつきました.
あのポイントで初速があのくらいで加速時間があの程度でここまでスピードが出ることはない...
軽くブレーキを踏みましたがほとんど減速せず、やがて回転数がスロットル全開のように上がりました.
米国レクサスの暴走事故を思い出すと同時に同じ趣味を持つS氏が"車はエンジンよりもブレーキが強いようにできている"と言っていたのを思い出し、ブレーキを強く踏みましたが、少々減速しただけでした.
このときブレーキペダルの下に何か挟まっている...と思いました.
ブレーキペダルを踏みなおすとストロークは正常のようでした.
エンジン回転数は上がったままです.
米国レクサス事故のようにフロアマットか何かがアクセルペダルに乗っているのでは、とも思いました.
また、みーたろーが一生懸命踏んでいたものはブレーキではなくアクセルかもしれません.
ブレーキから再び足を離して左側を探りましたが、何もありませんでした.
右側にアクセルペダルがあったので2回踏み直してみたらパタパタと軽やかに動きました.
もう一度ブレーキを踏み直してからアクセルを踏み直しました.
やはりアクセルペダルの上下動とは無関係にスロットル全開状態のままでした.
まずい...減速できない...隣で家人がそんなにスピード出すなと騒いでいます.
前方の左コーナーをクリアする直前には120km/hを超えていました.
MH-1に乗ってからこんなスピード出したことが無い...
コーナーをクリアしてから姿勢が不安定になり、やがてフロントタイヤの限界を超え、制御不能になりました.
反時計方向に90°向いてコンクリートブロックの法面に衝突しました.
ものすごい衝撃が来て意識が無くなるのかなあと思いました.
幸い衝撃はほとんど感じることは無く、エアバッグが膨らんでいるのが見え、火薬が燃焼した匂いを感じました.
さらにスピンして前進方向を向き、前進して縁石に乗り上げたような感覚で停止しました.
無事だった、でもMH-1は廃車かな、と思いました.
家人は"早く、早く出なきゃ"と言って開いた窓からスルスルと脱出していきました.
運転席側のドアが開かなかったのでみーたろーも助手席の窓から脱出しました.
車は縁石に乗り上げたわけでもなく、見た目損傷は少なそうです.
フロントバンパーは破損、右前輪が足回り部品ごと前方20mに転がっていました.
右後輪のブレーキディスクが割れています.
助手席の窓から放り出された小物類が法面から30mに渡り散乱していたので回収しました.
日傘持ってきていないし日焼けするかな...と思いつつ縁石に座ってとりあえずあちこちへtelしました.
警察へ110番しましたが、国道名と主な施設を告げてもオペレーターは全く分からないようです.
15分以上も通話し、携帯バッテリーが心配だったので打ち切りました.
1時間位後にパトカーが通りかかったので、無事を告げたら立ち去っていきました.
携帯にはGPS位置情報特定機能のログが残っていました.
保険会社へは付帯契約のロードサービスを依頼し、1時間半位後にキャリアカーが到着しました.
ロードサービスは30kmまでは無料なので、できればふもとの豊田のマツダディーラーあたりに持ち込みたいところですが、心当たりが無かったので諦めました.
車を購入したオートバックス名古屋ベイへ連絡したところ、担当者が席を外しているので折り返しtelいたします、と言われました.
その後オートバックスからはtelはありませんでした.
この手の店はやはりこんなもんか、と思いました.
MH-1のベースとなったNCECを卸した東海マツダ茶屋ケ坂店へtelしたところ、1ヶ月点検を受けていたせいもあってか話がスムーズに通り、持ち込むことにしました.
さすがディーラー系は頼りになると思いました.
なお、オートバックス名古屋ベイと東海マツダ茶屋ケ坂店の評価はこの後一変します.
あちこちへ連絡している間にいろいろな人が通過していきました.
先ほどのスポーツイベントに出ていた人々を数名見かけました.
地元の消防団が往復で2度立ち止り"救急車はいらないか?"と声を掛けてくれました.
年配のハーレーライダーが興味深い話をしてくれました.
何でもハーレーも高速道路などでスロットル全開になることがまれにあり、放っておくと200km/hで突っ走ることになるとのことです.
どう対処するのですが?と聞いたところ、クラッチを切ると言い、左手のレバーを握る動作をしました.
ハーレーライダーには強く訴訟をすすめられましたが、証拠が残っているとは思えません.
最初に"ケガは?"次に"水はいらないか?"と声を掛けてくれた人は先ほどのイベント会場で見かけた人でした.
そのとき初めて言葉を交わしたK氏は車が好きで山道での武勇伝をいろいろお持ちとのことでした.
(ロールケージ入りのスバル車で法面を走る羽目になり横転したとか)
いろいろと車の話をしているとなんだか山道で出会った走り仲間という気になります.
K氏は車を見ながら冷静に分析していました.
・スロットル全開になったのは、コンピューターの誤動作もあるが、スロットルワイヤーが引っかかって戻らなかったのかもしれない
・そうなったらこの車の馬力を考えるとブレーキだけで止めるのは難しいと思う
・その状況で無事だったのはボディの強度もあるが最後まで制御し切ったのだろう
・ラダー(ロードスターではPPFと言っていますね)まで変形しているので、損傷は見た目より大きいと思う
・右後タイヤのキズから判断して法面でリアもヒットし、その際ブレーキディスクが破損したのだろう
その後ロードサービスで移動するまでの間1時間半以上もいっしょにいてくれました.
(MH-1搬送 へ続く)