
被災地支援に加え、複数の都県の水道水から基準値を超える放射性ヨウ素が検出されたことなどからミネラルウオーターの需要が急速に高まっている。
日本ミネラルウオーター協会によると、山梨県は2010年には全国の生産数の約3割を占め、全国1位の生産数量を誇る。
県内に取水工場を置くメーカーは「被災地や消費者のため」と増産への取り組みに懸命だ。
「オーダーはふだんの10~20倍。電話はひっきりなし。とても対応できない。」
甲州市にミネラルウオーターの生産の主力工場を持つサーフビバレッジの常務取締役三尾秀幸さんは嘆く。
ミネラルウオーターの工場は東日本大震災の翌日から24時間のフル稼働。
それでも生産能力に限界があり、前年同期の約1.8倍ほどしか生産ができていない。
そのうえ、別のメーカーに委託しているペットボトルのキャップやラベルの生産工場が被災し、震災後入荷が少ない状態だ。「綱渡り状態。こんな状態が続けば死活問題」とも。
北杜市白州町に工場があるサントリー
震災後は前年同期比約1.6倍の増産体制だ。広報担当者は「需要は被災地に限らず、全国的に高い」と話し、4月は前年同月比1.5倍の生産を予定している。
また、同町にミネラルウオーターの主力工場を置くコカ・コーラ社の製品を作っている白州ヘルス飲料の工場でも、被災地向けの生産が続く。
節電のため、日中は3分の1ほど工場の電灯が消され、薄暗い。
同工場は2月末ごろから、夏の需要に向け、24時間のフル稼働。
その中でも、消費者庁が、保存方法などを表示しない出荷を被災地向けに限って認めたことを受け、25日までラベルを貼らないミネラルウオーターの生産も行った。
同工場の黒木政治製造課長(57)は計画停電の影響に頭を悩ます。
国からの増産の要請もあるが「3時間停電すると機械の殺菌などのため、10~13時間生産が止まってしまう」という。
フル稼働で2リットルボトル25万本、550ミリリットル50万本の生産できるが、停電があれば、生産量は半減する。
影響は別のところにも現れている。地下水を24時間無料で持ち帰れる道の駅「はくしゅう」だ。
山口光茂駅長(66)によると、震災後、ガソリンが手に入らなくなったためか、農作物などを売る店舗を訪れる客が半減したという。ところが、安心な水を求めて並ぶ人は逆に増えている。
道の駅で扱っている水を入れるボトルの売れ行きは平常時の倍。
東京都をはじめ首都圏などで水道水から放射性物質が検出されたとのニュースが相次いでいるからだ。
あるメーカーの担当者は「(ミネラルウオーターなどの)地下水は水質の変化が少なく安心できる。需要増は当分続くのでは」とみている。
Posted at 2011/03/27 16:17:59 | |
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