
2010年10月11日、あるアマチュアモータースポーツイベントがその歴史に幕を閉じた。
その瞬間、鳴り止まない拍手の波が一人のオトコを包んでいた。
この日の筑波サーキットには、霧深い早朝から大勢の仲間がその瞬間に立ち会おうと全国各地から集い、最後は日陰を求めたくなるほどの絶好のスポーツ日和となった。そう、その日は言わずと知れた晴れの特異日、体育の日。晴天など珍しくもないと思われがちな秋の日であるがこの日の天候は濃霧による極度の視界不良から、文句のない日本晴れに転じたのだ。ワタクシには何かを暗示しているように感じられてならなかった。
この一連のイベントは3年間にわたり9回催されたそうだ。ワタクシは青蕪君と共に第4回目以降の6回に参加させていただいた。
手作りで運営されるこのイベントは、毎回主宰者氏と数名の友人達の手で準備・当日の切り盛りからアフターケア(?)まですべてが賄われている。モチロン、ワタクシも一参加者として当然の、出来る限りのお手伝いはさせていただいた(つもり)。
いつも頭が下がるのは、毎回同じサポートメンバーが当たり前のように会場の取り仕切り、駐車誘導、写真撮影、受付や諸々のアイテムの配布回収、場の盛り上げ等々暗黙の了解のごとく淡々と其々の担当業務(?)をこなしていることだ。皆さんの一糸乱れぬその業務遂行ぶりには、本当にいつも感心していた(エラソーにすみません。純粋に「ありがとうございました。」)
会社組織でも地域住民でもましてや親戚縁者でも何でもない、単なる趣味を通じた「仲間」同士で、限られた時間とスペース(モチロン資金も)の中で極めて機能的にすべてを回してゆく。ひとえにこの主宰者の人望によるところであると信じて疑わない。
そもそもワタクシがこのイベントに参加するようになったのも、元々主宰者と個人的に親交があり、モータースポーツの楽しさをとても敷居を下げて体験できる場を提供し続ける、それも完全にボランタリーで。そう、採算は二の次で純粋にBMWという優れた運動性能を持つクルマで手軽にモータースポーツの門戸を叩ける機会を提供し、自身が感じている「さらなる駆け抜ける歓び」を多くの仲間に共有して欲しいという、非常にピュアな思いに心を打たれたからだった。
ワタクシはオープンカーとクローズドサーキットという組み合わせは、正直相容れないものと考えていた。サーキットでの目標となる「速く走る」為には当然軽量化やいわゆるチューニングなどを始めとする「クルマの運動性能向上」およびアクセル・ブレーキ・ステアリング操作を始めとする「運転テクニック」が不可欠と信じていた(モチロンそれは今も誤りではないと信じている)。
が、決してそんなことはなかった。確かにE93はただでさえ重いE9x系ボディにハードトップを自動開閉するメカおよび諸々のボディ補強などが装備されて、よくできたN54型3L直6ターボエンジンをもってしても、同エンジンを搭載する他の車種と比べれば大きなハンデである。が、しかし。
重い車は重いなりに楽しく速く走り止まり曲がる術があるのであり、ましてやフルアクセル、フルブレーキや、横Gのかかった状態でさらに舵角を与えたりという日常の走行においてはおよそ縁のない場面を数多く体験することにより、そういった状況でクルマがどのように(何センチくらい、どれくらいの速さで)動くのかがよく分かった。BMWのDSC/DTCは本当によくできた安全装置であることも体感できた。それはノーマル状態のクルマとて同じであり、フツーのおじさんドライバーであるワタクシごときの運転技術であってもそれは充分すぎるほどよく分かった。
わずか十数分の間にABSを何十回と作動させるなんていう体験も後にも先にももうないだろう。
自分自身のエピソードは限りなくあるが、ともかく今はこのような機会を与えてくれた主宰者にただひたすら感謝を申し上げたい。彼がこのイベントの継続について深い悩みを持っていたことも良く承知している。そんな思いを胸に毎回開催を続けてきた苦悩の片鱗も知っているつもりだ。
だからこそ、昨日彼の最後の挨拶で言葉をつまらせたとき、ワタクシはこみ上げるもの(胃液ではない)を抑えきれそうになくなり、思わず彼から視線をそらしてしまった。しかし、彼はイベント終了の最後の瞬間まで涙を見せなかった。ヘンに思われるかもしれないがなんだか嬉しかった。ワタクシは古い人間かもしれないが、オトコは涙を見せぬもの。人知れず苦悩し決断し、日の目を見ない努力も数多く経験する。それ故成功したときや関わったメンバーの喜ぶ顔を見たときに何倍もの歓びを感じるのだ。会場を湿っぽくしない努力もワタクシの心に「ぐ」っときた。
実はこの日、午前中から目頭を熱くするシーンがあったのでご紹介しておこう。入門クラスのドラミ会場でのヒトコマだ。

前日から睡眠をとっていなかったため朦朧として頭上のTVモニターの角におでこを強かぶつけ、感涙を押さえていた。ドラミ参加者の声が聞こえてきませんか?「うわっ痛そう・・・」
小ネタはともかく、今あらためてお伝えしたい。
gucciさん、ありがとう!
そして、おつかれさまでした。
安らかに休ん・・・(オイ)
Posted at 2010/10/12 01:26:36 | |
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