10月9日嘉久房窯訪問記
投稿日 : 2010年10月13日
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5月の「はまぜん祭り」で訪れた”嘉久房窯”その作品の素晴らしさは一目見れば凡人の私にも充分すぎる程伝わってくる。ただ、欲しくてもオイソレと買える代物ではない。
10月の「陶器市」でも是非訪れたいとは思っているものの、また何も買わないでというのも腰がひける。
そんな中、写真集が最近発売されていることを知り、これならば自分達にも手が出るし、何よりも嘉久房窯の魅力を存分に味わうことができる。
というわけで、前日に出版元のstudio‐Linさんに確認すると窯元でも購入できるということで行ってきました嘉久房窯。
実は、このストゥディオーリンさんは嘉久房窯の現当主今村均(平戸悦山)さんの娘さん夫婦が代表を勤めておりその関係で嘉久房ブランドとのつながりがあるそうです。(納得)
で、手にした写真集ですが、父の作品を間近に見てきた方が手掛けたものですから文句のつけようもなく「素晴らしい」の一言です。かといって作品にたいするおごりは全く感じられません。この1冊で三川内焼の洗練された技術の真髄にふれることができます。
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ストゥディオーリンさんの代表を勤めるデザイナー、森下洋氏の勧めで
最近、イタリア北部のゲンメ市において展覧会を催したそうで、その時のパンフレットもおまけで頂きました。
来賓の在ミラノ日本総領事すら「嘉久房窯」の作品を見るのは初めてのこと。現地の方が知るよしもありません。
ところが、作品を前に歓喜の涙を流す方、思わず土下座してしまわれる方等、会場は連日多くの方が訪れ賞賛の声が鳴り止まなかったとの事です。
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この日、(10月9日)窯元にて応対してくださったのは、平戸悦山の奥様、つまり森下洋氏の義母様。
小一時間程、娘さんと洋さんとの運命的な出会い、頑なまでに職人気質にこだわるご主人、三川内焼の栄枯盛衰のなかで窯を維持していく苦難等々興味深いお話を小1時間ほどさせていただきました。
ちなみに今年で25回目を迎えた「三川内はまぜん祭り」の発起人は平戸悦山さんだそうです。そういえば、今年の”はまぜん祭り”で悦山さんの傍らで(おそらくココでしか作れない)白磁のワイングラスの説明をしてくださったのが婿殿である森下洋さんだったことに今回のお話を通して気づくことができました。
なごり惜しい中、写真集の代金をわたし深々と頭を下げようとした時、
「ちょっと待って貴方お酒は?」
「よかったらコレ使ってみて」
と杯を差し出すではありませんか!
自分はまだ”平戸悦山”さんの作品を手にできるような品格を身につけていない旨、何度もおことわりしたのですが、奥様はその手を引っ込めることはなく、ご好意を有り難く受け取ることにしました。
今、この原稿を純米酒引っ掛けながら書いてます。
本当にアリガトウゴザイました。(ペコリ)
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ウラには四角に「房」の文字。
嘉久房ブランドは主に急須、湯呑み、器、徳利、といった日常使ってこそ価値のある作品。
平戸悦山ブランドは香炉や香合、建水といった茶道具を中心に道具としてそれ自体観賞用として秀悦した作品。
と使い分けているが、手にした人に至福を与える作品作りへのこだわりはどちらのブランドにも共通している
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この白磁の杯の凄さをもう一つ。
僕の使用するカメラはコンデジとはいえ、キャノン製品の中では唯一Lレンズを使用する高級機なのですが、AFでのピント合わせは無理。
ましてよって撮るなど僕には無理。やはりその素晴らしさは直に見るのが一番ですね。
(販売されている写真集はカメラマンも森下洋氏が手掛けていますが、仮にプロのカメラマンが撮ったとしても純白の作品に対してあのような暖かみがだせたかどうかといえるほど出来の良いものです)
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娘さんであり、ストゥディオーリンのHItomiさんが手掛ける、「ひと房」ブランドのロックグラス。
エッグシェルと言われる程の薄さはありせんが、この大振りのグラスからは創造出来ないほどの軽さ!
思わず、
「これでアイスコーヒー飲みたい!」
叫んでしまいました。
事前にストゥディオーリンさんのHPでその作品は知ってはいたのですが今回の訪問で実際に手にして、手造りの温もりに触れてしまってはもう持ち帰ることしか頭にありません。妻も流石にOKサイン。
めでたく、我が家へご帰還となりました。
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ウラの刻印もなかなかステキです。
ひとつひとつ手彫りされてる。
画像クリックで拡大します。
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早速、自宅にてアイスコーヒーの試飲。
ここで白磁(三川内焼)の利点をひとつ。
器は使ってナンボ!高価なものでも口に入るものと合わせて完成する。これ基本中の基本。使ったあとは当然洗う。
三川内(嘉久房窯)の白は上薬(釉薬)は使用しているものの、素材である粘土そのものが持つ白さを基本としているため年代を経てもその白さが色あせることはありません。勿論、食洗器もノープロブレム。また三川内焼を代表する呉須(藍色)1色による染付けのものも下絵つけのあと、上薬をかけて本焼きするのでよほど神経質な方でなければ食洗器OKです。
(三川内焼でもあえてその質感を変えて土を混ぜる窯元もあるので全ての作家さんの物がそうであるとは言えませんが・・・・)
これに対し、
高価な器(特に色絵付けの施されたもの、金や銀の縁どりがされたもの)は食洗器はNGです。ご注意を!
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