キャバリア・キングチャールズ･スパニエルのなな

愛犬なな（♀）、2007年11月12日生まれ。2014年5月21日に、群馬にある世界の名犬牧場より里親として引き受ける。

先代のまろんを亡くしたとき、退職するまではペットを飼うのは止めようと思い定めたのに、結局妻が堪えられず迎え入れることにした。100%正しかったとは自分でも思わない。ただ自己弁護になるが、一年以上里親の見つからなかった子を引き受けて少しでも家庭の温もりを感じて貰えるならそれも良いかな、という気持ちになっていた。

とにかくおとなしい子で、ご飯を貰うとき嬉しくて吠える以外全く吠えなかったし、リビングに居たがそこから出ることもほとんどなかった。トイレは家に来てすぐ外でする習慣になり、毎日外に出ていた。
先代のまろんを散歩させなかった後悔から色々なところへ連れて行った。安曇野ちひろ美術館の公園、烏川渓谷緑地、碌山公園には特によく行ったし、遠くは京都へも行った。ななも知らないところへ行くのが好きらしく、しきりに匂いを嗅いで探検して飽きることが無かった。そうした想い出をたくさん残せたことは、良かったと思っている。

2014年12月27日、急に尻込みしてご飯を食べようとしなくなったので急いで医者へ連れて行った。身体を掻こうとして「キャン」と鳴くことが2ヶ月ほど前から時々あったのでその話をすると、腰のあたりに痛みの異常があるのだろう、ということで痛み止めの注射と消炎剤の処方を受けた。それで良くなったように見えたが、12月31日夜、てんかんのような発作。1月2日夜と3日朝にも同様の発作があったため3日午前、開いていた松本市の医者に通院。血液検査･神経症状にも異常無く、突発性てんかんではないかとのこと。4日にも尻込みして食事に興味を示さなかったのでかかりつけの医者へ行くが、原因はよくわからず、脳の病変の可能性もあるがMRIで診断しないと分からないので様子見、となる。
7日朝までは割と元気だったが、7日午後買い物から戻ってみると身体を起こしていることができなくなっておりすぐかかりつけ医へ。家に連れて帰って様子を見るか、入院して脳の減圧剤を試すかという話になり、減圧剤を試すことにして入院。医師の話では、その夜食事への食いつきも良く身体を少し起こしていたので持ち直すかと思ったとのことだったが、8日午前2時半頃には入院先の医院で心肺停止して死亡していることが確認された。

医師は解剖などで原因を特定した訳ではないので一切語らないが、私見ではキャバリア・キングチャールズ･スパニエルでは7割が罹患しているという、キアリ奇形が原因。ここから脊髄空洞症を引き起こしたことで、痛みを感じて尻込みしてご飯を食べようとしなくなった。またキアリ奇形により脳髄膜炎などの脳内にダメージを与える病気が発生して、てんかん様の発作を引き起こしたり呼吸困難となったりし（医師は死後、呼吸中枢が侵されていた可能性があると話した）、死に致ったのではないかと考えている。

死後見つけた動画だが、このような身体を掻いたり首を擦りつけたりする動作が、かなり以前から見られていた。

今までみるく・まろん・ななと3匹のキャバリアを飼ってきたがいずれにも見られた動作で、この動画を見るまで脊髄空洞症の症状と知らず単に痒がっているだけだと思っていた。

キアリ奇形・脊髄空洞症を患っても生きているキャバリアはいる。ネットで見る限りそれらはかなり早い段階でMRI検査によりキアリ奇形・脊髄空洞症の診断を受け、脳内減圧剤・消炎剤・抗てんかん薬の投与を受け続けることで生存している。MRI検査はかかりつけ医によると1回20万円（ネットではこの半額くらいだがそれだけマージンが必要ということだろう）、脳内減圧剤・抗てんかん薬が毎月数万円と予想され、自分にはその費用が出せないし、また出せる家庭は限られると思う。

亡くなったななには申し訳ない話だが、自分達が引き受けず施設に残っていたり他の里親に引き受けられたりしていても、この病気が発症して亡くなったのではないかと思う。そうであれば、わずか7ヶ月とはいえ色々なところに出かけたり思い切り甘えたりできただけ、ななにとっても幸せだったのではないかと思っている。

次もきっと、キャバリアを飼う。せっかく3匹が命を犠牲にして教えてくれた知識･経験である。他の犬種にしたらこの経験が活かせない。
とはいえ、MRI検査や高額な投薬も出来ない。みるくやななのように7～8歳で発症して死亡するものと覚悟を決めて、それでも引き受けようと思う子に出会ったら、きっとまたキャバリアを飼う。