氷菓キャンペーンで、多治見まで献血に行ってきた。
アニメなんて観る気になれないという人がいるのと一緒で、献血なんて考えただけでも怖くてイヤ、という人もいるからそういう人は読むだけ無駄だが、献血はしても良いけど何か怖くて、という人には何かの役に立つかも知れないと思い、少し献血について記すことにする。
最初に献血の必要性についてだが、一言で言えば血液は合成不可能だからである。血液の成分(赤血球や白血球など)には繁殖機能がないので、培養出来ない。従って毎日全国で多数の人が輸血や血液製剤の投与を受けているが、この血液は全て献血に拠っている。
献血で一番嫌われるのは針で、何十回も献血した私でも針が刺さる瞬間は正直少し痛いし怖くもある。だが健康診断の採血と同じで刺さってしまえばそれ以上痛くはない。毎日何千人という人が全国で献血していて今だに事故が起きたことがない(過去の献血事故は売血のために過剰に献血したのが原因)ので、その位なら我慢しようと思うかそんなの絶対にイヤと思うかで、献血出来るかどうかが分かれるのだろう。
献血には身体への負荷が小さい順に以下の4種類がある(末尾は次回同じ種類の献血をするまでに必要な間隔)。
- 成分献血(血漿)(2週間)
- 成分献血(血小板)(2週間)
- 全血献血(200mL)(4週間)
- 全血献血(400mL)(男性:12週間、女性:16週間)
成分献血は一度採取した血液を遠心分離して赤血球などの主要な成分を身体に戻す献血で、身体への負荷が小さい。血漿献血に至っては献血後飲み物飲んで一息ついている間に血液が元に戻ってしまうくらいである。その代わり献血するのに時間がかかり、血漿で1時間半強、血小板で2時間強かかる。
全血献血は赤血球なども含めて血液をそのまま採取するもので身体への負荷が大きく、年間の総献血量が男性で1,200mL、女性で800mLに制限されている。その代わり時間が短く、200mL献血は20分程度、400mLは30分程度で終わる。職場やショッピングセンターなどに来る献血バスは、設備が最小で時間もかからない全血献血のみとなっていることが多い。
さて献血には最適な曜日や時間があり、実は平日の午前中が最適である。献血された血液はその後血液センターに送られて様々な検査に合格した血液のみが利用されるのであるが、平日午前の献血は午後には検査されて夕方には供給可能となるので、利用される場面が増えるのである。平日でも午後だったり祝祭日だったりすると血液検査が翌営業時間となり血液が冷蔵保管となって鮮度が落ちるので、利用場面が限られ血液製剤としての利用(要は薬にすること)が多くなる。
なので週末でなく平日が休みの人の方が、献血には好都合である。
ところで今回の氷菓キャンペーン、ポスターは全員だがクリアファイルは2人以上でないと貰えない。私が受付して献血を待っている間、隣にいた一人の男性がポスターもクリアファイルも全部貰って帰っていったので一人でも貰えるのかな、と思ったが私はポスターだけでクリアファイルは貰えなかった。これにはちゃんと訳がある。その男性は間違いなく、日赤の方からお願いして献血してもらった人である。でなければ、受付開始時間に献血を終えて出ることなど出来ない。
血液には一般に知られたABOやRhの他にも何十種類ものパラメータがあり、本当に身体に合う血液というのは何千~何万人に一人というレベルらしい。このレベルで合致する血液が必要な患者さんがいると、稀に日赤の方から「何日の手術で使うので何日に献血してもらえないか」といった電話が来ることがある。無論断るのは自由で、その日は遊びに行くからという理由で断っても全然構わないのだが、これに応じるとVIP待遇になって大抵の記念品は全部持たされることになる。
かくいう私も学生時代にたまたま血液が合う患者さんがいるとのことで、何度か献血の依頼を受けたことがある。時にはその日の午後には使うから、ということで献血が終わる頃には血液センターの人が待機していて、献血したての血液をクーラーバッグに入れて持って行くこともあった。
自分一人のために何人かのスタッフが朝早くから献血ルームを暖めて待ち(寒いと血管が収縮して支障が出る)、献血が終わると待っていたスタッフがすぐに運んで血液センターでも優先順位を高めて検査して供給するのだから、そのコストや労力は尋常ではない。
自分の存在が誰かの生命の役に少しでも立っていることが感じられて嬉しかったが、社会人になってからこの依頼がピタリと来なくなったのは仕方がないとはいえどうも寂しかった。
なお時々血液センターのツーリングワゴンなどが赤色灯を点滅させサイレンを鳴らして緊急走行することがあるが、これは手術などで緊急に必要な血液を搬送するためである。患者が乗っていないからといって緊急性を軽視することなどないように心がけたい。
Posted at 2013/02/11 13:56:27 | |
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