先日の
ムッシュさん とのAMG試乗の事も書きたいのですが、写真整理する時間がないので僕は後日書くことに?
します。
直ぐにでもその様子を見たい!という方は、
こちら と
こちらをどうぞ☆
その変わりに今日は魚の話を・・・。
日頃ボランティアでお世話をしている水族館館長より、希少魚が近隣住民より持ち込まれたとの一報を受けました。
その希少魚種というのは、川魚の
ウシモツゴ。
自然下での自然個体群は、もう絶滅寸前といった大変貴重な川魚の一種です。
日本固有種で、東海三県(愛知・岐阜・三重)のごく限られた箇所にしか生息しておらず、今やその生息地は数える程。
外来魚による捕食の他、池沼の埋め立てや密漁等も手伝って、今や幻の魚となっています。
これは僕の見解ですが、国の天然記念物指定をいずれ受けるであろう(候補魚種の中でも真っ先に)魚種の一種です。
普段目にする機会の多い普通のモツゴ(日本全土に分布)は、側線が完全であるとともに黒い縦縞*が明瞭ですが、このウシモツゴは側線が不完全であるとともに、黒い縦縞も見られません。また体型は寸胴で、モツゴより短いのが特徴です。魚に詳しくなければ、判別はつきにくいです。
このウシモツゴ、東海三県では現在、全地域での捕獲が禁止されています。
ただ県単位の条例によるもので、捕獲禁止の指定を受けたのは、まだ最近のこと。
特筆すべきは愛知県。
昨年開催のCOP10(10月開催)を前に、その半年前の3-4月頃に捕獲禁止の条例が定められたばかりです。
意図的に慌てて条例枠に整理・記載されたような感が滲み出ていると、僕は感じましたね。
この点が
「さすがお役所仕事!」って思わず声を上げたのは言うまでもなく汗。
岐阜や三重は数年前から条例指定されているんですよ。
話が逸れましたが、そんな貴重なウシモツゴを市民が水族館へ持ち込んだと聞き、僕は嬉しくもあり、また凄く心配でもありました。
それは、上述の通り今では既に捕獲禁止の魚。
偶然網に入ったにしろ、許可無く捕獲・飼育・譲渡は基本的には出来ません。仮に捕獲された場合は、すぐさま逃がさないといけません。
ウシモツゴと認識しているからには、密漁という線も大いにありうる・・・。それが非常に心配のタネでした。
僕は館長に即電話を入れ、事情を聞いてみました。
しかし結果は、全く問題ないということが判明し、肩の荷がおりました。
どうやら、条例指定以前に捕獲した個体群で、その方が地元の市と共同で行っているビオトープに放流する魚種の一種として、お宅で継代飼育されているものだそうです。
でも安心したのも、つかの間のこと。また別の事で不安要因が発生しました。
そもそもビオトープとは、その土地土地にある自然状態の環境を、そのままの形で残そうというのが目的。
ビオトープ=生き物の生息空間 というのが直訳ですが、よく勘違いされるのは、希少種だから守らなければならないという理由で、地元には本来生息していない生物を各地から持ち寄り、完成させたビオトープにそれを放流するというもの。
それは、ビオトープ造成に関わる方達の、ただの自己満足に過ぎません。
勿論、希少種保護はとても大切なことですが、その希少種を元々生息していない環境に、地方から持ち込むことは、はっきり言ってただの「移入」に過ぎません。もっと言うと、国内外来種です。
僕の言いたい意味、分かりますかね?
例えば・・・分かりやすい所で、今問題となっているのがメダカくん。
1999年のレッドリスト改訂により、絶滅危惧種にランキングされました。
それを受け、メダカ保護の気運が一気に高まり、あちこちでビオトープ作りや家庭での飼育・繁殖が行われました。
そのメダカを、本来生息していない土地に多くの方が放流し、結果、遺伝子混乱を招いてしまいました。
放流した彼らの立場から言うと、メダカの保護をして何が悪い!希少種保護だぞ!?
・・・大概、そのような答えが返ってきます。
でも僕から言わせれば、ただの自己満足です。メダカの生態を全然理解していません。
彼らは遺伝子情報の事など何も考えていないからです。
北日本集団・南日本集団・山陰集団等々・・・同じメダカでも、地域によって形態・色味・大きさ・それに遺伝情報等・・・全てが異なるわけです。
その土地土地において、それに見合った形でこれまで独自に進化してきた個体群が、人間の身勝手な思いつきの判断で、一瞬にして壊されることになるわけです。
遺伝子混乱というのはとても恐ろしいことです。
病気に強い個体群、冷水に強い個体群、塩の影響を受ける地域に住む個体群・・・。
広い日本の中で生きるメダカでも、色々な地域にそれぞれが順応して生きていますので、それがもし混在することになれば、いつか全てのメダカが滅びる事だって大いにあり得ることです。
長くなりましたが話を戻しますと、これがウシモツゴでも当てはまるということです。
ウシモツゴを持ち込まれた方が携わっているビオトープがある某市内では、私の知る限りウシモツゴの生息地があると言うのは聞いたこともありませんし、古い文献にもその記述は一切ありません。
希少種故、生息地発見の際には必ず新聞記載がなされる程です。
恐らく、他の生息地の個体群を、そのビオトープへと放流しているのだろうと、私は推察しています。
そのビオトープの生き物を、地域の大切なものとして後世へと伝えるということが、僕はとても疑問を感じています。
本当に自然と向き合うのであれば、上辺だけではなく、その奥にある事もちゃんと理解した上で、保護・啓蒙活動をして頂きたいと思います。
小さな魚だって、我々と同じ命あるもの。
声が出せない彼らに、もっと耳を傾けてあげて欲しいと僕は思っています。
僕がボランティアで水族館の飼育員を申し出たのも、こうした環境教育も一緒に公布したいと思ったからです。
どうか皆さん、安易な放流・飼育は避けて下さい。
どうしても飼えなくなった個体もそうですが、飼育する前によくよく考えてから、飼うかどうかを決めてください。
彼らは決して道具ではありませんから。それが僕からのお願いです。
*縦縞:魚の場合、頭を上・尾を下に向けた場合の時に見える縞の方向で区分けします。
例)、カツオに見られる横に伸びるラインが「縦縞」、イシダイに見られる上下に伸びるラインが「横縞」となります。面白いですね。