
[写真]
(上)SAI S“Cパッケージ”<オプション装着車> 2015年5月11日
(下)HS250h特別仕様車“Harmonious Style Edition”<オプション装着車> 2016年12月15日
レクサス・HS
HS250h(エイチエス250エイチ、Lexus HS250h)は、トヨタ自動車が展開する高級車ブランド「レクサス」から販売されていた中型セダン(Dセグメント)である。レクサスでは初めてのハイブリッド専用車である。
レクサス・HS
ANF10型
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2009年-2017年
設計統括 古場博之
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドアセダン
エンジン 2AZ-FXE型 2.4L 直4 DOHC
駆動方式 FF
モーター 2JM型 交流同期電動機
最高出力 エンジン 110kw(150PS)/6,000rpm
モーター 105kw(143PS)
最大トルク エンジン 187N・m(19.1kgf・m)/4,400rpm
モーター 270N・m(27.5kgf・m)
変速機 電気式無段変速機
サスペンション 前:ストラット 後:ダブルウィッシュボーン
全長 前期型 4,700mm、後期型 4,710mm
全幅 1,785mm
全高 前期型 1,505mm、後期型 1,495mm
ホイールベース 2,700mm
車両重量 1,640kg
生産工場 トヨタ自動車九州 宮田工場
プラットフォーム トヨタ・新MCプラットフォーム
1 概要
2009年に登場した「HS」は、レクサスとしてはSUVの「GX」(2002年登場・日本未発売)以来の新車種となり、また同ブランドでは初となるハイブリッド専用車種となった(トヨタ自動車全体で見ると「プリウス」に次いで2車種目)。日本で販売されるレクサス車としては初のFF方式の4ドアセダンとなる(日本国外では「ES」がFF方式の4ドアセダンとして既に存在する)。海外ではアメリカのみで販売されていたが、販売不振により2012年1月をもってハワイ以外での販売は終了した。
円高による輸出採算の悪化や、2011年にはより安価な「CT」の登場により販売不振が加速する結果となり、ハワイでの販売も2012年12月で終了したため、それ以後は完全な日本市場専用車種となった。
同じハイブリッドカーであるトヨタ「プリウス」(2代目モデル以降)のハッチバックの“トライアングルシルエット”ではなく、コンサバティブなノッチバックスタイルのセダンスタイルとなっている。ボディサイズは、DセグメントFRセダンである「IS」に近い(HSは全高が70mmほど高く、全幅はほぼ同じで全長が若干長い)大きさで、日本の大都市圏での取回しなどにも配慮したという。プラットフォームは、「プリウス(3代目モデル)」や「アベンシス」、「オーリス」などに採用されている「新MCプラットフォーム」を採用。リアサスペンションには(トーションビーム式ではなく)ダブルウィッシュボーン式を採用した。
メカニズムはプリウスなども搭載される「リダクション機能付THS-II」と呼ばれるトヨタ独自のハイブリッドシステムを踏襲しており、105kW・270Nm を発生する2JM型電気モーターやバッテリーも共通である。ガソリンエンジンはプリウスの1.8L(2ZR-FXE)から、2.4L(2AZ-FXE)へと変更され、パワフルで静粛性の高い走りと同時に、コンパクトカーの「ヴィッツ」をも凌ぐ23.0km/L(10・15モード)[1]という低燃費を実現した。また、日本のレクサス車としては初の直列4気筒エンジン搭載車、かつレギュラーガソリン対応車となった。
エクステリアデザインは、レクサス共通のデザインテーマ「L-finesse」に基づき、空力性能(Cd値=0.27)を実現。2013年にフロントマスクは、先に2007年発売の「IS F」からレクサスのテーマデザインとして採用された“スピンドルグリル”(糸巻き台形のグリル)を採用。また、「LS600h」や「RX450h」に続いてLEDヘッドライトを採用した。
インテリアデザインは、視認性と操作性を両立するために「計器類やカーナビゲーションのディスプレイはダッシュボード付近に集中して設置されている。そのため、操作デバイスには「リモートタッチ」が採用され、マウスのように手元で操作することができる。インテリアの一部にはエコプラスチック(部位により植物由来、植物+石油由来を使い分ける)を採用するなどエコロジーに配慮されている。
2 年表
2009年1月
北米国際オートショーにおいてワールドプレミア。Dセグメント車としては初のハイブリッド専用車種となった。
2009年7月14日
日本にて発表・発売開始。日本科学未来館にて報道発表会を開催。発売後1か月間で8,600台の受注を記録した。月間販売目標は500台と発表された。
「プリウス」をはじめとしたハイブリッドカーブームによってHSにも注文が殺到し、同年9月8日にはトヨタ自動車が「9月8日以降注文の納期が2010年4月中旬以降の工場出荷になり、エコカー補助金期間には間に合わない」とプリウス同様、異例の発表を行っている[2]。
2012年5月17日
アメリカの自動車メディア「Inside Line」が、同日付の記事でHSの北米向けの販売終了を報じた。Inside Lineの問い合わせに対してトヨタは「HS250hの生産は2012年1月で終了した」と回答している。また、同年にモデルチェンジされた「ES(6代目モデル)」にハイブリッド仕様のES300hが設定されるが、同車については「HS250hを置き換えるものではない」としている。なお、アメリカにおけるHSの販売は不振を極めており、2011年の販売は前年の10,663台から73%減少し、わずか2,864台に留まっていた[3]。
2013年1月24日
マイナーチェンジを実施[4][5]。
エクステリアは、レクサスの新たな共通デザイン「スピンドルグリル」やL字型のLEDフォグランプを採用、車高を10mm下げることによって低重心化。後期車は日本国内専用車となったため、アメリカ合衆国の法規で求められるオレンジサイドリフレクターは廃止、ホワイトリフレクターとなった。
インテリアは「version L」・「version I」において、インテリアカラーに「エクリュ」、「ブラック&ガーネット」などを新採用し、オーナメントパネルに環境負荷を抑制する「天然素材バンブー」や「縞杢(しまもく)」を設定。装備面ではフロントドアに紫外線を99%カットし、赤外線を遮断する「撥水機能付スーパーUV・IRカットガラス」を採用したほか、イオン発生数を従来比20倍に高めたプラズマクラスター(高濃度タイプ)エアコンを標準仕様を除く全タイプに搭載。センターコンソールのUSB/AUX入力端子脇にスマートフォン用の小物入れを追加。
ハイブリッドユニットについては、2011年に発売されたトヨタ「カムリ」に新採用された燃費性能のより高い2AR-FXE型エンジンの搭載は見送られ、前期型からのキャリーオーバーとなったが、システムの制御の見直しや充電効率の改良により燃費を向上させている(JC08モード燃費で20.6km/L)。
走行面では吸・遮音材の追加や材質変更により静粛性を高め、スポット溶接打点の追加によりボディ剛性を強化。車体の前後に微振動や撓みを吸収する「パフォーマンスダンパー」を追加し操舵性や走行安定性と乗り心地を改善。ドライブモードセレクトに「SPORT MODE」を追加し加速性能と電動パワーステアリングの特性を改善した。環境性能では植物由来のエコプラスチックの採用範囲をルーフトリムやピラーガーニッシュの内装表皮などに拡大。
2016年12月15日
特別仕様車「Harmonious Style Edition」を発表(2017年1月16日販売開始)[11]。
標準仕様をベースに、外観はフロントグリルにシルバーメッキ塗装を、リアガーニッシュにメッキをそれぞれ施し、内装は専用仕様のファブリック/L texシートを採用。内装色はブルーステッチを施したブラック&ブルーとアイボリーステッチを施したアイボリー&ベージュの2種類を用意。ボディカラーは5色が用意されるが、このうち3色は内装色の選択が可能、2色はどちらか一方の内装色のみの設定となる。装備面では、ミリ波レーダー方式のプリクラッシュセーフティ、ブレーキ制御付レーダークルーズコントロール、レインクリアリング機能・サイドターンランプ・ヒーターを備えたオート電動格納式ドアミラーを特別装備した。
2017年12月11日
ホームページにて「販売終了」の告知がなされた。
2018年3月9日
ホームページへの掲載を終了。販売も終了した。
3 姉妹車種
後にトヨタブランドから発売された「SAI」はHSの姉妹車にあたり、プラットフォームは勿論のこと、ハイブリッドシステムや車体の基本骨格、フロントドアなどの部材に至るまで多くが共通設計である。但し、「SAI」は日本国内向けに車体サイズが若干縮小されているほか、吸音材の違いによる静粛性の差異や内外装の製造基準など、品質全般においてはレクサス車たるHSの方が高い。
4 車名の由来
車名「HS」は「Harmonious Sedan」の略で、「地球・人・上質」との調和(ハーモニー)を目指して開発されたことに由来。
5 脚注
1^ JC08モードでは19.8km/L。
2^ 新型HS250hの納期目処のご案内
3^ Paul Lienert (2012年5月17日). “Lexus Quietly Kills HS 250h Hybrid”. Inside Line. 2012年5月17日閲覧。
4^ 2012年11月に一部メディアが報じた情報によれば、発売後約3年が経過していることから、2013年初頭に大幅な改良が予告されていた
レクサス HS、大幅改良か…スピンドルグリルで表情一新GAZOO 2012年11月24日
5^ LEXUS、HS250hをマイナーチェンジ LEXUS プレスリリース
11^ “LEXUS、HSに特別仕様車“Harmonious Style Edition”を設定” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2016年12月15日) 2016年12月15日閲覧。
最終更新 2018年5月6日 (日) 08:46 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
トヨタ・SAI
SAI(サイ)は、トヨタ自動車が日本国内で製造・販売していたセダン型ハイブリッド専用車(スプリット方式)。
トヨタ・SAI AZK10型
販売期間 2009年12月 - 2017年11月
設計統括 加藤亨
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドアノッチバックセダン
エンジン 2AZ-FXE型 2.4L 直4 DOHC
駆動方式 FF
モーター 2JM型 交流同期電動機
最高出力 エンジン 110kW (150PS) /6,000rpm
モーター 105kW (143PS)
最大トルク エンジン 187N·m (19.1kgf·m) /4,400rpm
モーター 270N·m (27.5kgf·m)
変速機 電気式無段変速機
サスペンション 前: ストラット 後: ダブルウィッシュボーン
全長 4,605mm-4,620mm(前期型) 4,695mm(後期型)
全幅 1,770mm
全高 1,495mm(前期型)1,485mm(後期型)
ホイールベース 2,700mm
車両重量 1,570-1,590kg
生産工場 トヨタ自動車九州 宮田工場
燃費 19.8km/L(JC08モード)
先代
トヨタ・プログレ(トヨペット店)
トヨタ・ブレビス(トヨタ店)
トヨタ・ウィンダム(カローラ店)
トヨタ・アベンシスセダン(ネッツ店)[1]
後継 トヨタ・カムリ[2]
プラットフォーム 新MCプラットフォーム
デザイン
エクステリア
ハイブリッド専用車であるが、エクステリアは2代目以降のプリウスのような5ドアハッチバックの「トライアングル・シルエット」ではなく、初代プリウス以来の保守的な4ドアノッチバックセダンのスタイルを採用した。
基本的なボディシェルはHSと同じで、かつ全体的なフォルムも酷似しているが、寸法はHS比で全長-15mm、全幅-15mmとそれぞれ短縮、全高も10mm低められた。空力性能はCd値0.27とHSと同一の数値である。またHSと同様、さらなる空力性能の向上に寄与するフロントバンパースポイラーやリアスポイラーも装着する(AS Packageのみ)。また、プリウスに続いてLED式ヘッドランプ(G系に採用、S系はディスチャージヘッドランプとなる)を搭載した。外観デザインでは近年のトヨタのデザイン哲学である「ヴァイブランド・クラリティ(活き活き・明快)」を踏襲し、3代目プリウスと同様の完成されたモノフォルムである「トライアングルシルエット」に対し、あえてトランク部を組み合わせることで、「パーフェクト・インバランス(崩しある完成)」や「インテグレーテッド・コンポーネント・アーキテクチャー(主張ある調和)」を追求したという[3]。
後期型については、前期型が開発コードネームであり、同時に車名の由来でもある「才」の色が強すぎた反省から、プリウスのDNAに頼ることなく(もうひとつの車名の由来でもある)「彩」に重きを置いた大胆なデザインとされ[6]、ヘッドライト、リヤコンビネーションレンズとも横一直線につなげ、サイドのショルダーラインに中継することでボディを大きく見せるように工夫した。また、フロントグリルに内蔵されるLEDは全体的に均等に光るのではなく、発光部分から徐々に消えていくようになっているが、これは書道の筆遣いを意識している[7]。また、ドアミラーもターンレンズの位置とデザインを変更した新造品となっている。
インテリア
エクステリア同様、インパネ部もHSのイメージに似たものとなっているが、細部を見ると、ほとんどの部品にHSとは異なったデザインのものが使用されている。インテリアデザインのコンセプトは、「薄いものを重ねる、薄いものを湾曲させる」などをキーワードとし、「分厚い(重厚な)ものこそ尊く高級である」という旧来の価値観を打破することを意識している[3]。インパネ操作を行うための前方配置エレクトロマルチビジョン&リモートタッチをトヨタブランド車として初搭載した。これはレクサス・RXに初めて採用され、通常はモニターの液晶画面に直接タッチすることでカーナビゲーションやオーディオシステム等を操作するところを、「操作ノブ」と呼ばれる固定式のマウスを指先で操作して、モニター上のアイコンを動かしメニューにタッチするというシステムである。ただし、トヨタブランドであるSAIに採用された「リモートタッチ」はレクサス車のそれと基本を同じくするものの、前期型のSAIの操作ノブはツマミ状のものに変更されている。
また、SAIでは室内の表面積の約60%の部材で植物由来プラスチックを使用している。現在、植物由来プラスチックの原材料がアメリカの化学会社1社のみの独占供給状態であり、使用量を増やして複数社の競合によるコストダウンを図るため、この車がその旗振り役に選ばれたという[3]。
後期においては、色味を配色を若干変え、ファブリック仕様には新たに赤みを増させた「ファブリック茜(アカネ)」を設定した。これはSAIのメインユーザーである50〜60代男性が選定時、インテリアカラーで妻(女性)の意見を求めることが多いことに配慮したためである。
1 概要
トヨタブランドとしてはプリウスの発売以来12年ぶり、2車種目のハイブリッド専用モデルとして2009年に発売された。プリウスの上位クラスに位置するアッパーミドルクラス版のハイブリッドカーとして販売されており、先に発売されていたレクサスブランドのハイブリッドカー、HS250h(以下HS)とは姉妹車の関係にある。なお、当モデルは日本国内専売である。
開発担当のチーフエンジニア(主査)はかつて同社の小型4ドアサルーン「プログレ」の製品企画部門の主担当員を務めた経歴を持ち[3]、1990年代にデビューしたプログレの理念を2000年代のデザイン手法や技術で復活させた車といえるものである。プログレの理念に通ずる「小さな高級セダン」を作ることから構想が始まったため、当初はハイブリッド専用車とは決まっていなかった[3]。トヨタのハイブリッド車のラインナップにおいて、クラウンハイブリッドとプリウスの間を埋める中間車種としての役割も担っていて、月間販売目標は3,000台と発表されている。
正式発表の前にニューモデルマガジンX誌などにおいて「HSのトヨタ版」という触れ込みで紹介がなされたため、HSをトヨタ用にスタイリングし直したのみの、別ブランド向け廉価版と思われがちであるが、企画構想はSAIの方が早く[3]、開発はHSとほぼ同時並行[3]で、ボディやインパネなどのデザインも一から行われ、シャシーもSAI独自の設計で開発されている[3]。ただしプラットフォームやその他メカニズム、フロントドアなどボディの一部はHSと共通であり、「姉妹車(兄弟車)」と呼べるものである。HSが先行発売となった裏には、SAIの販売は当初1チャンネルのみの予定であり、途中でトヨタの全チャンネルからの販売へと変更されたことが原因で遅れたためで[4]、実際には「HSの廉価版がSAI」というよりも、「SAIをベースにした高価格版がHS」というのが実像に近いのではないかと言われる[3]。
登場後はクラウンよりも維持費が安く、室内空間にも余裕があり、同時に環境問題に配慮していると言うイメージアップ効果もあるため、首都圏を中心に、法人・個人を問わず、タクシーとしての需要があった。
メカニズム
プラットフォームにはプリウスやHSと共通の新MCプラットフォームを採用しており[5]、パワートレインなどをHSと共有している。
基本となるハイブリッドシステムはプリウスと同型のリダクション機構付THS IIであるが、エンジンはプリウスの直列4気筒1.8L・2ZR-FXE型エンジンに対して、HSやエスティマハイブリッド、そして日本国外専売のカムリ・ハイブリッドなどにも採用された、直列4気筒2.4L・2AZ-FXE型エンジンを搭載する。このため、プリウスよりもハイパワーでありながら軽自動車や1,000ccクラスのコンパクトカーに匹敵する低燃費(JC08モード燃費で22.4km/L)を実現した。また、平成27年度燃費基準+20%を達成し、同時に平成17年度基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)認定も取得した。なおプリウスやHSに装備されている「POWERモード」のスイッチは省かれているが、後期型ではHS共に「SPORTモード」としてPOWERモードが搭載される。
1.1 メカニズム
プラットフォームにはプリウスやHSと共通の新MCプラットフォームを採用しており[5]、パワートレインなどをHSと共有している。
基本となるハイブリッドシステムはプリウスと同型のリダクション機構付THS IIであるが、エンジンはプリウスの直列4気筒1.8L・2ZR-FXE型エンジンに対して、HSやエスティマハイブリッド、そして日本国外専売のカムリ・ハイブリッドなどにも採用された、直列4気筒2.4L・2AZ-FXE型エンジンを搭載する。このため、プリウスよりもハイパワーでありながら軽自動車や1,000ccクラスのコンパクトカーに匹敵する低燃費(JC08モード燃費で22.4km/L)を実現した。また、平成27年度燃費基準+20%を達成し、同時に平成17年度基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)認定も取得した。なおプリウスやHSに装備されている「POWERモード」のスイッチは省かれているが、後期型ではHS共に「SPORTモード」としてPOWERモードが搭載される。
1.2 デザイン
1.2.1 エクステリア
ハイブリッド専用車であるが、エクステリアは2代目以降のプリウスのような5ドアハッチバックの「トライアングル・シルエット」ではなく、初代プリウス以来の保守的な4ドアノッチバックセダンのスタイルを採用した。
基本的なボディシェルはHSと同じで、かつ全体的なフォルムも酷似しているが、寸法はHS比で全長-15mm、全幅-15mmとそれぞれ短縮、全高も10mm低められた。空力性能はCd値0.27とHSと同一の数値である。またHSと同様、さらなる空力性能の向上に寄与するフロントバンパースポイラーやリアスポイラーも装着する(AS Packageのみ)。また、プリウスに続いてLED式ヘッドランプ(G系に採用、S系はディスチャージヘッドランプとなる)を搭載した。外観デザインでは近年のトヨタのデザイン哲学である「ヴァイブランド・クラリティ(活き活き・明快)」を踏襲し、3代目プリウスと同様の完成されたモノフォルムである「トライアングルシルエット」に対し、あえてトランク部を組み合わせることで、「パーフェクト・インバランス(崩しある完成)」や「インテグレーテッド・コンポーネント・アーキテクチャー(主張ある調和)」を追求したという[3]。
後期型については、前期型が開発コードネームであり、同時に車名の由来でもある「才」の色が強すぎた反省から、プリウスのDNAに頼ることなく(もうひとつの車名の由来でもある)「彩」に重きを置いた大胆なデザインとされ[6]、ヘッドライト、リヤコンビネーションレンズとも横一直線につなげ、サイドのショルダーラインに中継することでボディを大きく見せるように工夫した。また、フロントグリルに内蔵されるLEDは全体的に均等に光るのではなく、発光部分から徐々に消えていくようになっているが、これは書道の筆遣いを意識している[7]。また、ドアミラーもターンレンズの位置とデザインを変更した新造品となっている。
1.2.2 インテリア
エクステリア同様、インパネ部もHSのイメージに似たものとなっているが、細部を見ると、ほとんどの部品にHSとは異なったデザインのものが使用されている。インテリアデザインのコンセプトは、「薄いものを重ねる、薄いものを湾曲させる」などをキーワードとし、「分厚い(重厚な)ものこそ尊く高級である」という旧来の価値観を打破することを意識している[3]。インパネ操作を行うための前方配置エレクトロマルチビジョン&リモートタッチをトヨタブランド車として初搭載した。これはレクサス・RXに初めて採用され、通常はモニターの液晶画面に直接タッチすることでカーナビゲーションやオーディオシステム等を操作するところを、「操作ノブ」と呼ばれる固定式のマウスを指先で操作して、モニター上のアイコンを動かしメニューにタッチするというシステムである。ただし、トヨタブランドであるSAIに採用された「リモートタッチ」はレクサス車のそれと基本を同じくするものの、前期型のSAIの操作ノブはツマミ状のものに変更されている。
また、SAIでは室内の表面積の約60%の部材で植物由来プラスチックを使用している。現在、植物由来プラスチックの原材料がアメリカの化学会社1社のみの独占供給状態であり、使用量を増やして複数社の競合によるコストダウンを図るため、この車がその旗振り役に選ばれたという[3]。
後期においては、色味を配色を若干変え、ファブリック仕様には新たに赤みを増させた「ファブリック茜(アカネ)」を設定した。これはSAIのメインユーザーである50〜60代男性が選定時、インテリアカラーで妻(女性)の意見を求めることが多いことに配慮したためである。
2 年表(2009年-2017年)
2009年10月20日
正式発表。
2009年12月7日
販売開始。CMではSalyuの楽曲「新しいYES」が起用された[8]。CMキャラクターは伊集院静。
2010年10月19日
トヨタ製ハイブリッド車の国内累計販売台数が同年7月で100万台を達成したことを記念し、「S」をベースにLEDヘッドランプ(2連プロジェクター式/ロービーム/ポップアップ式ヘッドランプクリーナー付)を装備すると共に、スポイラー(フロント、リアバンパー、リアリップ)、本革巻き・木目調ステアリングホイール、木目調加飾のドアトリムスイッチベース、フロントフォグランプ、プラズマクラスター(マイナスイオン発生機能付)を装備した特別仕様車「S LEDエディション」を発売。
2013年8月29日
マイナーチェンジ[9]。
内外装を刷新し、エクステリアはフロントエンブレムからサイドのキャラクターライン、リアへと流れるようなラインを描くデザインとなり、ほぼ車両の全幅をカバーできる超ワイドサイズヘッドランプを採用。新デザインの16インチアルミホイールを標準装備したほか、「G」系グレードにオプション設定されている18インチアルミホイールのデザインも変更した。ボディカラーは「レッドマイカメタリック」、「グレーマイカメタリック」、「クリアーストームメタリック」の新色3色を含む7色を設定。
また、ハイブリッド制御を変更したことでJC08モード燃費を1.4km/L向上。この他、吸・遮音材の増強や遮音ガラスの採用、エンジンマウントの改良などで静粛性を、スポット打点の追加によるボディ剛性強化によって走行安定性を強化するなど基本性能を高め、軽いアクセル操作で力強い加速性能を生み出し、パワーステアリング制御の切替と相まってダイレクト感あふれる走行を可能にする「スポーツドライブモード」を追加。
さらに、「G」系グレードにはmicroSDカードスロットやBlu-rayを新たに備え、USB端子を2つに増やすなど機能も強化したSDナビゲーション(10スピーカー)を標準装備する(「S」系グレードにもオプションで装備可能)とともに、災害時に非常用電源として利用できるアクセサリーコンセント(AC100V・1500W)のオプション設定を追加した。
グレード体系が一部変更となり、「ツーリング・セレクション」及び「S"Lセレクション"」を廃止する代わりに、「S"Cパッケージ"」を新設した。
なお、デザインの大幅な変更に伴って、前期型では左上に配置されていた「SAI」の車名エンブレムが後期型では左下に移動となっている。
また、元来「エコカー」はプロモーションカラーが青系になるケースが多く見られる(前期型も「アクアマイカメタリック」)が、後期型では斬新さを打ち出すため、新色の「レッドマイカメタリック」がプロモーションカラーに選定された。CMキャラクターは真木よう子に変更。
2015年5月11日
一部改良及び特別仕様車「G"Viola(ヴィオラ)"」を発売[10]。
新たに、99%以上カットできる紫外線の波長の上限を380nmから400nmに変更した世界初の「スーパーUV400カットガラス」をフロントドアに採用。また、洗車などによる小さなすり傷を自己修復するクリア塗装「セルフリストアリングコート」をすべてのボディカラーに採用したほか、ヒルスタートアシストコントロールは坂道を感知する機能を追加し、車両のずり落ちを緩和する性能を高めた。さらに、「G」と「G"Aパッケージ"」に標準装備されているナビゲーションシステムを「T-Connect SDナビゲーションシステム」に変更。ボディの剛性を高めるとともにサスペンションのチューニングとステアリングギア比を変更して操舵時の車両応答性を高めたことで優れた操舵安定性を実現し、ライセンスランプを白色LEDに変更した。
「G"Viola"」は、「G」をベースに、シート表皮(ファブリック×合皮)・ドアトリムオーナメント・シートベルトにダークバイオレットを、ステッチ類にバイオレットを、ドアアームレスト・センターコンソール・リモートタッチの側面にライトバイオレットを、木目調パネル(ステアリング・インパネセンタークラスター・ドアトリムスイッチベース)にクールブラックをそれぞれ採用するとともに、快適温熱シート(運転席・助手席)やスカッフイルミネーション(運転席・助手席)などを装備した。ボディカラーは専用色の「スパークリングブラックパールクリスタルシャイン(オプションカラー)」を含む4色を設定するほか、ブラックの専用加飾を施した18インチアルミホールをオプション設定した。
2017年11月15日
カムリに統合され、販売終了。ホームページの掲載も終了。
3 車名の由来
「環境性能や安全性を持つ才能→“才”に満ちた先進性と、上質感をお洒落・シックに演出する彩り→“彩”を放つ上質感」という開発コンセプトのキーワードとなった漢字の「才」と「彩」を掛け合わせて「SAI」と名づけられた。元々は開発コードネームだったが、それがそのまま市販車両名に活かされる形となり、結果的にカムリ(冠)同様和名の車となった。
4 販売店
プリウスと同様にレクサス専売店を除くトヨタの全販売店(トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店)で取り扱う。なお、ネッツ店についてはアベンシスが輸入中止になって以来およそ1年ぶりにセダンを取り扱うこととなり[11]、カローラ店については2006年1月に販売終了したウィンダム以来、3年10か月ぶりにカムリの上位クラスに属するフラグシップ系セダンを取り扱うこととなった。
5 脚注
1 ^ 事実上。ただし前者と中者は共にSAIの登場まで2年3か月の空白期間があり、後者はSAIの登場まで3年11か月の、最後者はSAIの登場まで1年の各空白期間がある。
2 ^ これにより、東京地区以外のトヨタ店から後継車種が事実上なくなった。
3 ^ a b c d e f g h i 三栄書房 『モーターファン別冊 ニューモデル速報 No.435「トヨタ SAI」のすべて』 2010年
4 ^ 八重洲出版 『driver』 2010年2-5号
5 ^ 【トヨタ SAI 発表】高品質、秘密は生産ラインにあり Response.
6 ^ 【トヨタ SAI 改良新型】かっ飛んだデザインはもっといいクルマづくりの意識から - Carview!2013年8月30日(2013年9月12日 閲覧)
7 ^ 【トヨタ SAI 改良新型】“書道の筆遣い”を意識したヘッドライト Carview! 2013年9月2日(2013年9月12日 閲覧)
8 ^ 当楽曲は、オンエア直後の翌2010年3月10日にシングル化され発売。
9 ^ TOYOTA、新型「SAI」を発売 (PDF) - トヨタ自動車 ニュースリリース 2013年8月29日
10 ^ TOYOTA、SAIを一部改良 - トヨタ自動車 ニュースリリース 2015年5月11日
11 ^ プリウスをセダンと考えればそれより早く取り扱いを再開していることになるが、同車は5ドア車であるため、アベンシスの販売終了からSAIの登場まで純粋なノッチバックセダンはネッツ店にはなかった。
6 関連項目
・レクサス・HS - 姉妹車で、「姉」といわれる車種。
・トヨタ・カムリ - 国内向けモデルは9代目以降より全車ハイブリッド仕様に統一されている。同車はカローラ店の専売車種だったが、10代目からはトヨペット店・ネッツ店・東京トヨタ店でも販売されることになる。
・ダイハツ・アルティス - 上記のカムリのOEMにしてダイハツの国内向けモデルにおけるフラグシップ。
・トヨタ・カローラアクシオハイブリッド - 2017年4月現在におけるトヨタ最小のノッチバックセダン型ハイブリッドカー(ちなみに前期型のフロントラジエターグリルのデザインは前期型SAIのフロントラジエターグリルのデザインにやや酷似している)。
最終更新 2018年5月11日 (金) 09:33 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
以上 ウィキペディア より。
≪くだめぎ?≫
事実上、5系列・全店舗扱いの車種が終了した。レクサス『HS』が2012年以降に国内限定販売になり、姉妹車車種が国内だけで販売されてきたが、新型「カムリ」投入を機に廃版になった。「ビスタ」が無くなった気分のようだ。