今回は日本を代表する高級車、トヨタ・クラウン(S120系)を紹介します。
初代から数えて7代目となる120系クラウンは、1983年にフルモデルチェンジ。
先代のクラウンらしさを引き継ぎながら、Cピラーに樹脂製のクリスタルピラーを配したそのスタイリングは、より伸びやかなものに。
ワイドさを強調する横長のテールランプは、その後何代ににもわたってクラウンのアイデンティティとなるものでした。
一方、先代まで設定されていた2ドアハードトップは、先に登場したソアラに後を譲り姿を消しました。
セダンは従来通りメインとなる法人需要を重視した造り。
先代まで「カスタム」と呼ばれていたワゴンは、今回からより現代的な「ステーションワゴン」に改められ、フルフラットシートや2段ルーフにスカイライトウィンドウを装備するなど、リゾート感覚が高められました。
キャビンはエレクトロニクス化が著しく、デジパネやマイコン式オートエアコン、クルーズコンピューター一体型ナビコンなどの装備が目をひきます。
その他にも、空調のスインググリルやロイヤルサウンドシステムなどはクラウンならではの装備でした。
インテリアは見た目の豪華さよりも、触れて分かる上質さを感じるもの。
当時は高級車と言えばキャバレーのようなワインレッド内装が定番でしたが、クラウンに限っては写真の「青内装」もよく印象に残っています。
もちろん、このようなワイン色も用意されていましたが(笑)
ロイヤルサルーンには全席パワーシートはもちろん、セダンロイヤルサルーンGの後席にはバイブレータを内蔵したリフレッシングシートとヒーターシートが奢られていました。
搭載されるエンジンは全6種類。
モデルチェンジ当初は先代から引き継いだ2.8Lツインカムの5M-GEUを搭載していましたが、途中からライバルと並ぶ3.0L、190psのツインカム、6M-GEUが登場。
その他にも、マークⅡシリーズ等でお馴染みの2.0Lツインカム24、1G-GEUやターボのM-TEU、セラミックチャンバーを採用した電子制御ディーゼル、2L-THEなどが搭載され、ツインカムとターボには電子制御ATのECTが組み合わされました。
後期型ではターボに代わり、スーパーチャージャーの1G-GZEUが新搭載されましたね。
そして今回のクラウン最大のトピックといえば、伝統のペリメーター型フルフレームの骨格に初めて4輪独立懸架が与えられたこと。
セミトレーリングアームのリヤサスペンションはロイヤルサルーンのみに採用され、今まで3ナンバーモデルの代名詞であった「ロイヤルサルーン」が2リッターにもデビュー。
写真2000ロイヤルサルーンは「Sタイプパッケージ」装着車。
1サイズ太めのタイヤにアルミホイール、専用パワステやハーダーサス、フロントスポイラーを特別装備した本格派。
2000ツインカム24搭載車は「ロイサル+5MT」という組合わせも可能にし、後に登場する「アスリート」の先駆けとも言える存在でした。
ハードトップのラインナップ。
当時はセンチュリーを除けばクラウンは事実上の最高級車だったわけで、3リッターのロイヤルサルーンはまさに別格。
存在感が違いました。
今でこそロイヤルサルーンは当たり前になりましたが、あの頃は「いつかは、クラウン」と皆が憧れていたのは、やはりこの3.0ロイヤルサルーンGでしたね。
また、下段のスーパーサルーンエクストラやスーパーエディションに装着されている「飾りホイール」は、凝ったデザインながら実は鉄チンホイール。
今やコレクターズアイテムなんだそうです。
セダンのラインナップ。
セダンは全車にフェンダーミラーが標準装備。
スーパーサルーン辺りを年配の方が運転しているのをよく見かけましたね。
デラックスやスタンダードはやっぱりタクシーのイメージ。
但しタクシー仕様の4気筒LPGとは違い、6気筒の1G-EUが搭載されるのがポイントです。
タクシーメーター装着を前提とした専用インパネも懐かしいですね。
120系クラウンも生産終了から30年近くが経過し、こうして振り返ってみるとさすがに隔世の感があります。
しかし、そのステータスという点においては現代においても、現行モデルの比ではない気がしますね。
“やはりクラウンは違う。”
そう誰もが認める日本の高級車。
また再び体感してみたいものです。