今回は、Y33型セドリック&グロリアの2リッターモデルを掘り下げてみたいと思います。
今からちょうど25年前、1995年6月にフルモデルチェンジされたY33型セドリック&グロリアは、新世代VQ型3リッターエンジンをメインとしたラインナップで登場しました。
Y33初期型発売当初のバリエーション。
VQ30DET
┳グランツーリスモアルティマタイプX
┣グランツーリスモアルティマ
┣ブロアムVIP
┣ブロアムV
┗ブロアム
VQ30DE
┳グランツーリスモSV
┗ブロアム
VG30E
┳グランツーリスモS
┣グランツーリスモ
┣ブロアム
┗ブロアムJ
RD28
┳ブロアム
┗ブロアムJ
の4機種。
ガソリン車は全て3リッターとし、上級グレードにはA32セフィーロに続く新開発のVQエンジンを新たに搭載。
エントリーモデルには熟成の域に入った従来型のVG30Eを継続採用しています。
発売から約半年、今回注目する待望の2リッターモデルが追加されることに。
【前期型グロリアV20Eグランツーリスモ】
【前期型グロリアV20EブロアムJ】
設定されたグレードも各シリーズの最廉価となる、(無印)グランツーリスモとブロアムJ。
エンジンは廉価版らしく、ライフ終盤を迎えたVGシリーズのボトムレンジを担うVG20Eを搭載。
125ps/17.0kgmというスペックだけを見れば、DOHCが当たり前になりつつあった当時の2リッターNAとしてもかなり見劣りするもので、同年代の日産製1.8リッター直4のSR18DEとエンジンスペックはほぼ同等。
実際に運転した記憶によれば、1.5t超のボディに明らかなアンダーパワー感は否めませんでしたが、、低速トルクたっぷりのVG30Eとは正反対に2リッターV6らしい、意外にも高回転まで吹け上がる独特のシルキーなフィーリングが印象的でした。
ここで例えば新開発のVQ20DEでも搭載していれば、商品的にはより魅力的なものになったのかも知れませんが、当時まだ5~8年落ちだったY31の2リッター車や、Y32初期に設定されていたV20Eクラシック系など、性能は二の次でも見た目は重要という層からの代替需要も担う必要があり、併せて買い換えに伴うコストにシビアな層でもあるため、あえて開発コストが償却されたVG20Eを採用して車両価格を270万少々に抑えたのは正解であったと言えそうです。
さらに言えば、この時点でライバル車には設定されていたメインストリームの2.5リッター車がセドグロには存在していなかったため、97年に本命のVQ25DEエンジンが追加された後期型までの場繋ぎ的な役割もあったのでしょう。
【後期型セドリック25ツインカムグランツーリスモ】
マイナーチェンジ後はVG20E・30E搭載車ともカタログの片隅に残ってはいましたが、グレードが削減され、販売台数のほとんどが拡充された2.5リッターモデルに移行していましたので、4WD車の追加やグレード体系の複雑化の流れもあって後期のVGエンジン車はとても希少ですね。
【後期型セドリックV30EグランツーリスモS】
【後期型セドリックV20EブロアムJ】
【参考】Y33後期型マイナーチェンジ直後のバリエーション
VQ30DET
┳グランツーリスモアルティマタイプX
┣グランツーリスモアルティマ
┣ブロアムVIP
┗ブロアム
VQ30DE
┳グランツーリスモSV
┗ブロアム
VG30E
┳グランツーリスモS
┗ブロアム
VQ25DE
┳グランツーリスモS
┣グランツーリスモ
┣ブロアム
┗ブロアムJ
VG20E
┳グランツーリスモ
┗ブロアムJ
RB25DET
┳グランツーリスモSV FOUR
┣グランツーリスモ FOUR
┣ブロアム FOUR
┗ブロアムJ FOUR
RD28
┳ブロアム
┗ブロアムJ
このように終始お買い得モデルとしての印象が強かったY33の2リッターモデルでしたが、前述の過去に自分が運転した前期V20Eグランツーリスモは、マルチAVシステム、バーチャルビジョンメーター、サンルーフの所謂「高級車三種の神器」をオプション装備したまた珍しい個体。
細かいディテールの違いはともかく、運転席に座ってしまえば「アルティマです」と言われてもわからないくらいでした。
事実、自分自身もこの個体を当初はアルティマかSVあたりだと思い込んでいて、車検証の「原動機の型式:VG20」を見て初めて気付いた次第。
いざ動かしてみたらこりゃ遅いアルティマだこと…(笑)
ボンネットを開けたら大きなエンジンルームにやや小振りなVG20Eが申し訳なさそうに鎮座していらっしゃいました。
他にもよく観察すれば、VGは1本出しのマフラーやあの独特のセル音でもVQとの違いがわかりますね。
それ以前は高級車と言えど、安いグレードは見た目も明らかに違い、装備もそれなりというのが当たり前でしたが、ひと世代前のY32辺りからグレード差が少なくなって、ベースグレードでも背伸びした感が無くなったように思います。
ブロアム系も廉価版のクラシックを捨て、Y32後期からはブロアムのみとしたところにも読み取れます。
LLクラスとしてはかなり控えめなプロフィールを持ったモデルではありますが、高級車の雰囲気をリーズナブルに楽しむという点ではなかなか見逃せない存在であるV6-2000のセドグロだと思います。
Posted at 2020/05/24 09:10:33 | |
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