新型クラウンアスリートに試乗してきました。
試乗グレード:3.5アスリートS
トランスミッション:8AT/FR
ボディカラー:ダークレッドマイカメタリック
天気:晴れ・昼
約20分ほどの試乗
・奇抜?異端?革命?
現在数ある車名の中でも2番目に歴史のあるクルマ”クラウン”
『いつかはクラウン』というキャッチコピーで親しまれてきた高級車でありながら近年は保守的で運転して楽しいとは思わないクルマ、おやじ臭いデザインのクルマ、というマイナスなイメージが付いてしまった。
これがクラウンの一般的に知られる内容であろう。
そのクラウンが大きな変化を遂げたのが12代目の通称ゼロクラウンの時、
内面はエンジンをV6に変更しシャシーもブランニュー、外見も以前のものより若々しくなった。
そして今回の14代目はさらにインパクトのあるエクステリアデザインでデビューした。
特にCMのピンククラウンはかなり奇抜である。
反面中身は先代先々代からのキャリーオーバー、そんなクラウンアスリートにまずは試乗してきた。
・稲妻グリル
新型クラウンの最大の特徴が大きく王冠をモチーフにしたグリル、
開発者の間では稲妻グリルと呼ばれてたそうで確かに稲妻のようなエッジングが特徴です。
確かに写真を見ると面構えに迫力を感じます。
ただ、実際にこの目で見てみると意外にも地味、というか落ち着いてしっくりとくる印象である。
最近のトヨタはグリルを大きくする傾向にありレクサスのスピンドルグリルなどがいい例だが、それらよりもクラウンのほうがマッチしているように感じる。
今回のアスリートとロイヤルではグリルの他にもフェンダーの盛り上がりやボンネットの形状にも違いがありアスリートの名の通りに筋肉質な躍動感を感じさせる。
ただしフロントフォグランプに関しては後付け感のあるデザインで主張が強すぎる印象、ここはさりげないくらいに引っ込んでいるくらいでよかったと思うところ。
他にはライトのところに王冠マークがあったりと細かなところにもクラウンらしさを押し出している。
賛否は分かれるところだが個人的には悪くないエクステリアデザインだと思った。
ボディカラーもダークレッドマイカメタリックも意外とマッチしていい感じに思えた。
ただあのピンクのクラウンは流石に度肝を抜かれた。
・個人的には好きな内装
今回の試乗車の内装はテラロッサというワインレッドのような渋めの赤が基調な配色。
いろんな方の試乗記や雑誌の批評を見ると、安っぽい、趣味が悪い、まがいもの的な発言を良く見ますがあまり高級なものを普段から身につけない私からはそうは見えませんでした。
まぁカローラの内装に納得してしまう私ですからね。そのあたりのセンスは人と違うか皆より貧相なのかもしれません(笑)
インテリアデザインは現代チックになったのかなって印象。でもゴテゴテしてなくて適度なすっきり感もあり個人的には嫌いではない。
インテリアカラーも赤いボディカラーとマッチしているのでこのコンビネーションはアリだと思う。
室内は高級サルーンとしての基準並の広さは確保されてるっていうところだと思いますね。前席後席ともヘッドスペース、レッグスペースには必要十分の余裕があります。
今回のトピックとして『トヨタマルチオペレーションタッチ』というエアコンや車両設定などの各種操作できるタッチディスプレイが装備される。
基本的なエアコン操作はもちろん、シートヒーターもデュアルに操作可能であり、走行制御モードではスポーツ、ノーマル、エコの3モード+スノーモードの選択できる。
操作感は上々であるし視認性も位置、画面とも悪くないです。
タッチディスプレイにそれらをまとめてあるのでインテリアがシンプルになりこれは非常に良いことだと思います。
センターにTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイを備えたオプティトロンメーターは最近のトレンドですね。
メーターカラーが赤になりちょっとスポーティーにしてるのかなと思いましたがこれはアスリートにというわけではなく全ガソリン車共通なそうです。ハイブリッドでは青基調になりタコ―メーターがハイブリッドシステムインジケーターに代わってます。
あと黒木目調パネルは幾何学柄になっています。従来通り樹脂製のパネルにはなりますが大量生産品としては仕方ない部分です。
トヨタは木目調パネルの処理は上手いと思います。
パネルも貼っている面積が少なくシフト周りとナビ、タッチパネル付近と少し控えめですがこのくらいがさりげない感じで丁度いい塩梅なのかと思います。
シートは先ほどの通りテラロッサという渋い赤系基調のカラー、アスリートのシートはサイドサポートがしっかりとしたスポーツシート風になっている。
とはいえホールド性は高いかというと、普通のシートレベルである。クッションの厚みはしっかりあるので快適ではあるがスポーツ走行に向いているというものではないです。
ヒップポイントが下がったのでスポーツセダンっぽさが増したような気になるのはいいところ。
座面が小さいという批評も見受けられましたが自分のように小柄で足が短い(涙)いわゆる日本人体型の人には今の座面が大きいシートだと深く腰掛けづらくて腰が疲れやすいという点がある。
クラウンは日本のための高級車というところをこういうところに感じることができますね。
トランクにはゴルフバックが4つ積めるだけの容量を有しており、さらに最近の流行(?)に漏れずスペアタイヤレスなので床下収納もあるのでスペース的には必要十分でしょう。
ただし、個人的にはスペアタイヤがあったほうが安心感はありますけどね。そこは最近どの車もそうだから条件は変わらないですが
・ドライバーズカーとして
クラウンアスリートに求められるものは、ドライバーズカーとしての楽しさと高級車としての乗り心地や快適性の両立というのが必要だと思う。
なので86のような楽しさだけを追い求め、ある程度快適性などは犠牲してもOKではないし、センチュリーのように快適さだけを追い求めればいいというわけでもない。
これは極端な話であるが、この両面をどれだけバランス良く高次元で実現できるかが評価のポイントとなるでしょう。
で今回のアスリートですが、エンジンは3.5Lの2GR-FSEに8ATをの組み合わせ。
エンジンを始動するとおもてなし演出としてオープニングムービーが流れる。少々くどい感じもする。
アイドリングはエンジンの存在を感じる程度で比較的静かな印象。
先ほどのトヨタマルチオペレーションタッチを操作し走行モードをSPORTにして、アクセルを踏み込む。
発進時の加速には不満なしだし、がっつりと踏み込めば鋭い加速を見せてくれる、
8ATの出来も良くパドルシフトでシフトダウンしてもブリッピングして変速のショックはほとんどなく、非常に滑らかである。
少しショックがあるほうがスポーティーに感じる場合もあるが同乗者にはこのくらいのほうが快適だろう。
なので全域ロックアップ機構のついてるIS-Fのものとは違いマイルドなATに仕上がってる印象だ。
ステアフィールはしっとりとしたもののやや軽め、レスポンスは過敏ではないがだるさはなく丁度いい塩梅です。
コーナーでの安定感もしっかりとしていて安心できます。
乗り心地は硬すぎず、柔らかすぎず、というと文才のなさが露呈しますねw
ショックはあまり感じないけどフワフワ感もないといえばいいんでしょうか?
これがいなし効果何でしょうかね?
225/45R18でしかもPOTENZA RE050Aというプレミアムスポーティータイヤを履いてこの乗り心地なら十分満足が行きます。
またこれは装着されてなかったし、仮に装着されても試す機会がなかったのですが今回のクラウンには様々な安全装備がなされています。
ここからはサイトの記事引用します。
アダプティブハイビームシステム:前方車両に光が当たる部分だけを自動的に遮光し、ハイビームを保持したまま走行できる頻度を高め、夜間の優れた視認性を確保する最先端システム。
インテリジェントAFS(ヘッドランプコントロールシステム):夜間のコーナリング時にタイヤの切れ角・車速に応じて、ロービームの照射軸を3秒後に車両が到達するポイントに自動的に向けることにより、優れた視認性を実現。コーナーや交差点の先にある情報や歩行者をいち早く認識できる。
上記はアスリートG、アスリートG i-Fourに標準装備。
ライト関連ですね、夜間の走行にはあるとうれしいです。
インテリジェントクリアランスソナー:アクセルの踏み間違いや踏みすぎなどで起こる衝突を緩和し、被害の軽減に寄与するシステム。車庫入れなどの運転時、障害物の接近を表示とブザーで知らせる「クリアランスソナー」に、障害物との接触を緩和する機能を新たに追加。前後進行方向にある壁などの障害物を検知している場合、発進時にエンジン出力を抑制し、さらに距離が縮まると自動的にブレーキをかける。
クリアランスソナー&バックソナー:超音波センサーを利用して車両前方コーナー部や車両後方の障害物を検知。障害物との距離と接近部位の位置を、メーター内のTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイに表示し、同時にブザーでドライバーに注意を促す。
プリクラッシュセーフティシステム(ミリ波レーダー方式):進路上の先行車や障害物などをミリ波レーダーで検出し、衝突する可能性が高いと判断した場合に警報やブレーキの制御により衝突回避を支援する。万が一、先行車と衝突する場面に遭遇した場合には、警報の後、ドライバーがブレーキを踏むと、プリクラッシュブレーキアシストがブレーキ力を強力にアシストし、先行車20km/h、自車80km/hの場合では、最大60km/h程度減速する。また仮にドライバーがブレーキを踏めなかった場合でも、プリクラッシュブレーキが作動。先行車20km/h、自車50km/hの場合では、最大30km/h程度減速し、衝突を回避あるいは衝突の被害を軽減する。
レーダークルーズコントロール(ブレーキ制御付):高感度なミリ波レーダーセンサー*3からの情報によって、先行車を認識。設定車速内で車速に応じた適切な車間距離を保ちながら追従走行する。
上記はアドバンストパッケージとしてアスリートG、アスリートG i-Four、アスリートS、アスリートS i-Fourにメーカーパッケージオプション。
今流行りの止まる技術です。レクサスLSに比べて10万円のパッケージと安くなりましたがこのクラスの車なら上級グレードには標準装備をしてほしかった。
ドライブスタートコントロール:シフト操作時における急発進の抑制や衝突時の被害軽減に寄与するシステム。例えば、後退時に衝突し慌てたドライバーが、アクセルを踏み込んだままシフトを「R」から「D」へ変更した際、表示で注意を促すとともに、エンジン出力を抑えて急発進・急加速を抑制する。
上記は全車標準装備
あと基本的なABS、VSC、TRCなどは標準となってます。
余計な装備かもなと思うものもあるのですがクラウンは高年齢層がおもな購入層になっているのでこういった装備は基本標準装備でも良いくらいなのかもしれません。
・いつかはクラウン
”かつてゴールだったクルマがいまスタートになる”ゼロクラウンの時のキャッチコピーですがやはり現実は価格もあるし”いつかはクラウン”というクラス帯のクルマだと思う。
現在では国産には身内にレクサスがありますし、輸入車だってクラウンくらいの価格があれば結構な車種を選び放題です。
たしかにBMWに乗ってれば女子受けもいいですし、(成人式の女子に「乗せてほしい車は」と質問したらプリウスかBMWという現実)、アウディやVWも人気。もちろん定番のメルセデスだってあります。
レクサスもスピンドルグリルの是非はともかく高級車としての地位をしっかり確立してます。
ただし、クラウンには”和”といいますか非常に日本のために考えてくれたクルマであります。
車幅は昔より幅広になったとはいえこのサイズのサルーンにしては頑張った1800mm。
例えば日産のライバルになるフーガは1845mm、BMW・5シリーズは1860mm、と約5cmの差があります。
これは結構大きいですよね。最小回答半径も5.2mとサイズを考えるとかなり小回りが利きます。
5.2m、単純に数値だけならZZTセリカのマクファーソンストラット仕様と変わらないんですよねw
クラウンだから、クラウンなのにって理由では否定してほしくない。そんな車ですね。
日本人のおもてなしの心をもったクルマだと思います。