2011年10月16日
地震学会が311の大地震を予測はおろか、可能性すら指摘できなかった事を自己批判しています。
反省すべき所は大いに反省すべきだと思います。
しかしこれは敗北ではない。
新たな挑戦への始まりだと思いたい。
この数ヶ月、科学技術に対しての信頼が失墜してしまいました。
この時期だからこそ日本の総力をあげて取り組んでほしいと思います。
「しんかい6500」の東北沖海底の潜水調査。
深海掘削船「ちきゅう」の震源地の海底掘削調査。
少し前は仕分けの対象になっていた分野ですが、
これを惜しんではいけない。投資は必ず返ってきます。
科学技術の復権以外に日本の進む道はないと思います。
それから、科学は一部の科学者だけが発達させるものではないとも思っています。
わたしたちの科学リテラシーを引き上げて底上げすることも重要なのだと。
卑近な例ですが、弊社は技術系の会社なのに震度とマグニチュードをちゃんと説明できる若手社員がいませんでした。
(教えながら腹立ちました。日本の教育どうなってる?)
ちなみに星の等級(明るさ)も英語でマグニチュードと言います。
どちらも対数表現です。
対数と言っても拒否反応を起こす必要はないです。人間の感覚は対数ですから。
たとえば・・・
音楽の音階(ドレミ)
音量(dB)
社会(個人・家族・町・市・県・国)
お金(一円・十円・百円・千円・万円・・・)
Posted at 2011/10/16 00:55:33 | |
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震災 | 日記
2011年07月27日
地震はプレート境界型にしろ断層型にしろ地殻の歪が解放される時に起きるわけですが、
地球の内部を割って直接見ることはできません。
地震や地殻変動の過去のデータには限りがあるし、
条件を変えて実験してみるなんてこともおいそれとは出来ません。
そこで地球以外の天体を調べて比べてみるんです。
「地球の事すら分からないのに宇宙を調べても仕方がない」とかいう意見もありますが、
とんでもない、地球の事が分からないから宇宙を調べるんです。
以下天文マニア的考察
・月
一番近い天体で、唯一人間が降り立った天体ですが、地震計を設置して地震を観測したことがある唯一の天体が月です。
(月の場合は「月震」と呼ぶそうです)
アポロ計画の6回の着陸で設置した地震計は1969年から1977年の間に12558回の地震を観測したそうです。
ロケットの最終段を月面に衝突させて起こした人工地震も観測しています。
月震以外の沢山のデータとも合わせて、月の誕生はジャイアントインパクト説が主流になりました。
(原始地球に大きな天体が衝突し、その時の破片から月が誕生した)
こうして月の構造に関して様々な知識が得られたのと同時に地球の構造も分かるようになったのです。
着陸地点は月の表側(地球側)の緯度が低くて平坦な場所(=着陸し易い場所)に限定されていたし、40億年の内のたった8年間のデータが代表的なデータと言えるはずもありません。
ということで日本にも月探査機から地震計を搭載したプローブを月の地下に打ち込むという野心的な計画があったんです。
そのLUNAR-Aという計画は残念なことにプローブの開発に手間取ったため中止となってしまいました。
(多額の予算・成果ゼロ・・・日本の宇宙探査の汚点の一つ)
私は是非、何かの形でこの計画を続行してほしいと思っています。
もっとも地震計を設置しなくても、天体の周回軌道上で磁場や重力分布を観測することによって、その天体の内部構造を知ることができます。
・火星
火星は各国が探査機を送っていますが地震計は70年代のバイキング着陸船に搭載されたものだけです。
しかし結局(想定外の強風のため?)地震の観測には失敗しています。
太陽系最大の山、オリンポス火山とグランドキャニオンの10倍も大きいマリネリス峡谷がある火星。
内部活動は活発だったはずですが、今は冷めてしまったのでしょうか?
超巨大な火山が成長したということは大規模なプレート活動は無かったのかもしれません。
また重力分布が偏っていることも分かりましたがコアが中心からズレているんでしょうか?
・金星
濃い大気をまとっているいる為地表の様子はよく見せてくれず、
地表は高温高圧なので地震の直接観測は絶望的かもしれません。
プレート活動も無いという話ですが、実際どうなんでしょう?
旧ソ連は熱心に探査機を送っていましたが、アメリカはあまり金星に萌えていないようですが、
スペースシャトルで打ち上げた探査機マゼランのレーダー観測結果にはびっくりしました。
大気観測が主の計画ではありますが日本のあかつきにも頑張ってほしいものです。
・水星
太陽に近く重力井戸に降りるのも大きなエネルギーが必要なため、70年代の米のマリナー10号がスイングバイ観測をしただけでした。
その時も表面の半分しか撮影出来ていませんでした。
しかし、今年ついに探査機メッセンジャーが水星の周回軌道に投入されました。
周回軌道に入る前に逆断層の痕跡を観測しています。
これからの観測成果に期待が膨らみます。
大きなコアを持ち、自転と公転が2:3で共鳴している水星、潮汐力も大きそう。
・木星の衛星
イオには活火山が沢山あって今も激しい噴火を続けています。
他のガリレオ衛星と公転が共鳴関係にあるのでその大きな潮汐力が内部で熱エネルギーに替わっているんでしょう。
ガニメデの無数の溝は地殻活動の痕跡なんでしょうか?
エウロパの表面は厚い氷で覆われていて、その下には液体の水が大量にあると考えられています。
氷が割れて水が吹き出し、また凍る。これを繰り返してマスクメロンみたいな表面を作っているのであれば、(地球のプレートテクトニクスに比べて)規模も周期も短い活動なんでしょうか?
・土星の衛星
タイタンは大気をもち液体メタンの湖があり、そのメタンは循環しているといいます。
エンケラドスは火山がありました。
土星の強い重力で潮汐加熱されている内部構造はどんなでしょうね。
太陽系の惑星、衛星は活動的なものも多いですが、潮汐力や火山による地震も普通にありそうです。
プレート移動はまだ直接発見されていないと思いますが(私が知らないだけ?)、
凄い勢いで探査している今、地球の地震学へのフィードバックも大きいんではないかと思います。
tbc
Posted at 2011/07/27 00:53:53 | |
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震災 | 日記
2011年07月12日
いうまでもなく日本は地震が多い国です。
世界中の地震の1割が日本でおきている(観測されている)という話もあるくらいですが、
逆にそれだけ観測網が発達していると言えるのかもしれません。
ただし、充分とは言えなかったかも知れませんが・・・
しかしその割には日本の地学教育はずいぶん軽んじられていると思います。
かく言う私の通った高校では地学は選択科目にも無くて、
宇宙・天文好きにはがっかりでした。
地震が科学的に観測され始めてから100年ぐらい。
大陸移動説が提唱されたのも100年前。
地球物理学は歴史の浅い分野だけれど、その割にはずい分進んだと思います。
人類は38万キロ先の月にまで到達し、太陽系の果てまで探査機を送り出しましたが、
地面を垂直に掘ることはまだ数キロしか出来ません。(高温高圧の為)
ではなぜ地球の内部構造が分かり始めたのかと言えば、
その手段の一つが地震の観測なんですね。
地盤の固さで地震の波の伝わる速さが変わります。
反射、屈折、(多分回折も)がおきます。波ですから。
スイカをトントンたたいて熟れ具合をみたり、
お医者さんが背中をトントンたたいて診察するような感じです。(多分)
地道な観測や、地層の調査、古文書の解読・・・ようやく今のレベルに達したわけです。
他にも宇宙からの観測、コンピュータ等どれが抜けてもここまで来れなかったでしょう。
東北沖で発生したマグニチュード9の巨大地震。
これほど大きなエネルギー放出なのに現代の科学では予知することが出来ませんでした。
前兆すら判断することが出来ないようです。
この無力さは悔しくてなりません。
相手が自然の力だと分かっていても悔しいです。
3/11の巨大地震とその無数の余震、そして津波。
あまりにも大きな犠牲を払いましたが、
我々はそれと引き換えに膨大なデータを手に入れたはず。
地震学を目指そうという人も増えたんではと思います。
人間はいつか地震を予知出来るレベルに達すると信じます。
それまで地震・災害に備えましょう。
次の巨大地震は必ず来ます。
それが明日なのか、何十年後なのかは分かりませんが、天災は必ず来ます。
tbc
Posted at 2011/07/12 00:51:58 | |
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震災 | 日記
2011年06月30日
311東日本大震災から3ヶ月半、いろんな事を考えさせられました。
あの日以来考えさせられた色々な事を何回かに分けて書いてみようと思います。
地震・津波・原発・電力・エネルギー・温暖化・政治・マスコミ・復興・支援してくれた国々・そして、いのち・・・
今何をすべきで、何をすべきでないのか。
今の日本で起きたという事、私たちが直面したという事に、何か意味があると思いたい。
突然問題を突きつけられ、待った無しで選択を迫られた方々にとっては、
私の意見など安全なところで見ている者の寝言に聞こえるかもしれません。
どの分野に関しても私は中途半端な知識しかもっていないですし・・・
答えも結論も無いけれど、これからの長い道のりを考えてながら進まねばならないと思うわけです。
一方的な批判の文章はできるだけ避けます。
批判だけでは何の解決にもならないと思うからです。
それから、この震災でひとつ気がついた事は、
私は日本が大好きだったということ。
tbc
Posted at 2011/06/30 06:56:05 | |
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震災 | 日記