2009年05月03日
久しぶりに、映画を見てきた。
クリント・イーストウッドが監督・主演ならば、見逃すわけにはいかない。
上映館は、旭川で一件。しかも、一日4回きりの上映。
レイトショーなら間に合う。チケットを買うと、7番スクリーンの自由席。入場して、狭さにショック。イーストウッドの話題作にこの仕打ちは・・・(>_<)。
そんなにこの作品の見込み観客数は少ないの?
『グラン・トリノ』
傑作でした(*^_^*)。イーストウッドのファンにとっては、大きな意味を持つ作品でもあります。ファンが見れば、わかります。
私が好きな彼の後期の作品は、「許されざる者」「ミリオンダラー・ベイビー」「ミスティック・リバー(監督)」ですが、勝るとも劣らない作品です。
主人公コワルスキー(イーストウッド)に共感し、その行動にあこがれます。
今年79歳になるイーストウッドの時代の流れや人間性を見る目と私の感じ方に共通する部分がたくさんありました。劇中で、息子夫婦や孫たちとの間に溝ができてしまう心情は、私が周囲の人たちや社会に感じている無念さと同じだと思います。
この映画の主題は、ビンテージ・カー「グラン・トリノ」が象徴していますが、このブログでは、あまり触れないことにします。イーストウッド自身であり、ラストシーンでは、彼およびアメリカの未来を示唆しているのでしょう。これから見る人が、見終わってから、イーストウッドからのメッセージにどっぷりと浸れるように、口にチャックです(^_-)。
おまけ
私は、思い出の箱にしまわれていた「勲章」が、コワルスキーとタオを理解する鍵だと思いました。タオを馬鹿にしていたコワルスキーですが、彼の価値に気づき、友人だと認めた証が「勲章」であり、「勲章」を渡したのは、彼を守る決意を示したのです。
タオは、弱虫でしたが、誰も傷つけませんでした。自分が辱められても、耐え続けました。コワルスキーは、仲間や国のために自分の意志で人を殺した過去を持ち、年を重ねてからも自分のプライドを傷つけるものは許しません。そんなコワルスキーの正義感に裏付けられた行動は、一時は人を救いますが、取り返しのつかない事件に結びついていきます。コワルスキーが、そのことに気づいたとき、タオの行動が暴力の連鎖を防ぐ勇気や強さであったことを知るのです。「この勲章は俺ではなく、おまえがつけるべきだ。」の台詞は、映画の一部であるとともに、ガンマン役からダーティーハリーを経て、力で正義を行使する役を自分のカラーとした俳優イーストウッドに区切りをつけた言葉だったように感じました。
Posted at 2009/05/03 22:29:30 | |
トラックバック(0) |
映画 | 日記
2009年02月24日
しょうもないDVDを発掘。
たぶん掘り出し物。
「デトロイト・メタル・シティ」
題名は、ヘビメタバンドの名前。
主役は、「デスノート」の松山ケンイチ。
嫌々ながらヘビメタのボーカリストになった男のコメディ。
いいよ。笑えた。失笑じゃなく、コロッケの物まねを見て笑う感じ。馬鹿にした笑いじゃなく、計算されたくだらなさで笑わせる。
ヘビメタなんか全然興味ないけど、主人公も嫌々ながらやっているから、抵抗感はなかった。メンバーも、社長も、ずれているので、反感も感じない。こういう手で引き込むのもありなんだ。開始十数分で、引き込まれてしまった。
テーマは、たぶん「夢」。
「NOMUSIC NODREAM」とか、「夢は叶わなくても、見るのは自由・・・」など、夢にまつわる名言(迷言)がちりばめられている。
主人公は、自分が追っていた夢と異なるものを負わされたように錯覚していたが、実は異なっていなかったことに気づく。そして、みんなの夢と自分の夢が一致するところがクライマックスだろう。でも、テーマなんか考えなくても、お笑いと同じで十分楽しめる。
松雪泰子のS社長ぶりはもう一押ししてくれればうれしかった。イメージダウンを避けたのかな。
個人的には、対決会場に向かうシーンが好き。ランニングを愛するもの者としては、目的地に向かってあんな風に走ってみたい。人数が増えてくるところなんかは、「フォレストガンプ」みたいだった。
弟の馬鹿っぷりも最高。これから見る人は、エンドロールの後を見逃すな!
Posted at 2009/02/24 21:53:09 | |
トラックバック(0) |
映画 | 日記
2009年02月01日
現在、めちゃくちゃ不安定。
体の中で、マグマのごとく怒りがエネルギーを爆発させようとしている。
先週までは、怒るエネルギーがなかった。
一月から運動もできるようになり、人とも話せ、苦しみが薄れてきた。
だんだんエネルギーが戻ってきたのかもしれない。
弱り切っていたときに受けた仕打ちを復讐せよという体の欲求を感じる。
上司を攻撃しそうである。
感情が理性を上回って、馬鹿なことをやってしまいそうだ。
そんな気持ちを切り替えたくて、映画を見てきた。
「誰も守ってくれない」
私にとっては、共感するところあり、自分を客観的に顧みられるシーンもあり、多角的に窮地に陥ったときの身の振り方・心の落ち着かせ方を考えさせられた。
「誰も守ってくれない」は、加害者の家族だけを指しているのではない。
心に傷を持つすべての者に対するメッセージである。
私も同じように感じていた。
鬱病になり、どん底にいたとき、救いを感じないばかりか、心ない言葉にさらに打ちのめされた。
この先は、映画を見るつもりなら、ネタバレになるかもしれないので、読まない方がいいです。
「誰も守ってくれない。」は、真理です。
人は、一人で生まれ、一人で死んでいく。
他人と関わることはできても、結局は孤独なのです。
生まれたときに、母親に守ってもらったことを当たり前と錯覚して、他者に望んではいけない。
家族ですら、自分が生きるために、見捨てるのです。
「その現実をすべて受け入れたとき、人は、静かに、強くなる。」
これが、この映画のテーマです。
そして、誰も守ってはくれないが、守ってあげることはできると言うのが、観客へのメッセージだと思います。
矛盾しているようだけれど、守ってあげることが、自分を守ることと表裏一体なのです。
家族崩壊直前の勝浦(佐藤浩市)は、かつて自分が関わった事件で幼児を死なせてしまい自責の念から逃れることができずにいる。自分を肯定できない勝浦だから、家庭を守るためにすべきことができない。
その勝浦が、自信を取り戻し、娘に電話するシーンがすがすがしい。
何が、勝浦を変えたのか?
勝浦は、容疑者の妹の心を守った。妹に言った言葉、
「おまえが、お父さんとお兄さんを守るんだ。」
は、勝浦自身を変える言葉でもあったのですね。
この映画、どの役者もオーラを発しています。
特に、柳葉敏郎さん。押さえた演技なのに、内面の変化がびしびし伝わってきます。
松田龍平さん。巧いです。役柄と同化しています。エキセントリックな刑事ですが、違和感がありませんでした。
木村佳乃さん、目がきれいですね。あの目で見つめられたら、狂わされちゃう。
佐野史郎さん、嫌なやつをリアルに演じてくれました。俺の上司とそっくり。こういう嫌なやつって、結構いるのかもしれないと思うと、少し気持ちが楽になりました。
Posted at 2009/02/01 21:56:31 | |
トラックバック(0) |
映画 | 日記
2009年01月18日
たまに、「あなたなら、どうする?」と問いかけてくる映画に当たる。
「ゴーン・ベイビー・ゴーン」
も、その一つ。
監督・脚本 ベン・アフレック
主演 ケイシー・アフレック
共演 モーガン・フリーマン、エド・ハリスほか
幼女失踪事件を追う私立探偵が行き着いた真相は、・・・・。
ネタバレ無しに感想を書くのは、無理みたい。
未見の人と今後見る可能性のある人は、ご遠慮ください。
オープニングまもなく、「人を形作るのは、自分以外のものである。」と意味深な台詞が打ち込まれる。また、「この街で生きるのは、オオカミの群れの中にいる羊と一緒だ。」とも言っていた。
オオカミの群れの中に、子羊を見つけたらどうするか?
連れ出す。or そのままにする。
私に力があれば前者を選びたい。
では、オオカミの群れの中にいる羊が、オオカミが産んだ羊ならどうする?
そのままにしておけば、オオカミに食われるかもしれない。もしかすると、生き延びて羊からオオカミに変身するかもしれない。
もし私が前者を選び、羊の群れに、その子羊をゆだねたらどうなるのだろう?
大きくなって自分の正体を知ったとき、私に感謝するのか?それとも、なぜ余計なことをした!と恨むのか?
オオカミが産んだ羊ならば、手を出さぬべきだ。たとえ、群れに喰い殺されても。
子どもは、親を選ぶことができない。
子どもにとって、望ましくない親が存在するとき、周囲に何ができるか?
法の下で、あなたの親はこの人しかいませんと、その子の不幸を見ぬふりするか?
法を犯してでも、安全な場所に連れて行くか?
社会では、自分の行動に責任を持たなければならない。
原因を作れば、必ず結果が訪れる。
良心に従って、命を落とすこともある。
我欲のせいで、身を滅ぼすこともある。
原作名は『愛しき者はすべて去りゆく』だそうだ。
子羊と子羊を救おうとする者は、オオカミの社会で生きることはできない。
Posted at 2009/01/18 21:24:53 | |
トラックバック(0) |
映画 | 日記
2009年01月17日
ふらりと、シネコンに寄ったら、先行上映をしていた。
予告編で、楽しみにしていた作品
「007 慰めの報酬」
カーチェイス、スタントアクション、ボートチェイス、徒手格闘、ボンドガール、派手な爆破、ガンファイト、ハイテク、スカイチェイス、海外ロケ、しゃれた会話、悪役との対決など、007のお約束はそのまま。
でも、そのシーンにかける力の入れ具合は相当なもの。
カメラワーク、美術、セット、仕掛け、スタント、カット編集など、それぞれのプロがその技術を尽くした気迫が画面からほとばしってくる。
アクションシーンばかりではなく、どのシーンも目を離せない。
1時間46分、ドキドキしっぱなしでした。
ただ、テーマについては、これまで通りかな。
復讐がストーリーの柱だから、やられたらやり返すってかんじ。
ボンド映画は、サーカスと同じで、ハラハラドキドキと美女を楽しむものだから、これでいいのだ。
007シリーズは、おきまりのシーンが詰まったおせち料理映画ですが、今回のは一流ホテルのシェフが腕によりをかけて作った豪華な一品でした。
Posted at 2009/01/17 22:16:06 | |
トラックバック(0) |
映画 | 日記