なぜかセンチュリーの試乗インプレッションは、自動車雑誌にもインターネットサイトにも掲載がありませんよね…
それだけ特殊な車ということでしょうか(笑)
素人目線ではありますが、トヨタ・センチュリー(GZG50型)に試乗した感想を書き綴ってみます。
(GZG50型・マイナーチェンジ後の6ATモデル)
【エンジン始動】
以前の記事でも述べましたが、独特なセル音がします。何とも言えない高級感のある音です。
ちなみにクランキングホールド機能付きで、START位置でキーを保持しなくても大丈夫です。
【アイドリング】
無音無振動です。クラウンでもハンドルにアイドリング振動が若干は伝わりますが、センチュリーは全く振動がありません。これだけでこの車の凄さがわかります。LSでもかすかとは言え、エンジンの鼓動がステアリングに伝わります。エンジン音は閑静な場所だとかかっていることはわかりますが、ほぼ無音です。
【乗り心地】
これこぞセンチュリーの真骨頂、エアサスらしいとてもソフトな乗り心地です。日常でよくある、橋のジョイントやマンホールの蓋などの突起はほとんどショックが伝わりません。足(サス)だけが動いて、ボディーが動かないと言ったらわかりやすいでしょうか。縁石や工事補修路など大きな段差通過時もさすがソフトに動いて、ガツッという振動はしません。
加速・減速時はソフトな乗り心地ゆえ、ノーズリフト・テールダウンしますが、個人的にはこの挙動が好きです。特に停車時はフワンフワンフワンと心地よく揺れ、優雅に停車します。70年代のアメ車のように…
特に乗り心地が固すぎる車が多い中、この乗り味はより際立っています。
【加速感】
○ノーマル(ショーファー制御)モード
アクセルの踏み始めは穏やかで、踏み込んでもGを感じさせない走りです。
○パワーモード
アクセルを踏み込むとグワッ!とテールを沈めるほど加速します。V12・5Lエンジンは伊達じゃないですね。
【静粛性】
かなりエンジンを回してもシューンというおとが多少するぐらいで、非常に静かです。クラウンの3千回転の音量とセンチュリーのレブリミット手前の音量が同じくらいです。
車外で聞こえるエンジン音も非常に静かです。
【ハンドリング】
今では貴重な油圧反力式パワーステアリングです。とても軽く、片手でクルクル回せ、とても穏やかなセッティングです。小回りも大柄なわりに利きます(回転半径5.7m)。
ソフトなサスペンションですが、カーブでは意外にロールが少なく、安定しています。これぞエアサスの本領発揮と言ったところでしょうか。
【視界・見切り】
角ばったボディー故、ボンネットは隅まで見切りが非常に良いです。Aピラーも立っており、ベルトラインも低く、視界も非常に良好です。バックはオーバーハングが非常に長いため、駐車場にある輪留めは信用してはいけません(笑)危うく壁にぶつけるところでした…
【フェンダーミラー】
前を見たままでミラーが視界に入るので、楽ですね。
ただ、ドアミラーに慣れてしまうと、慣れるまで違和感がありますね。特に左ミラーは、ロングノーズゆえミラーまでかなりの距離があるため、像が小さく映ります。そのため、後退はかなり難しいです。
【ライト類】
ハロゲンライトなのでHIDに比べると暗いのは仕方ないですが、ライトの配光がよく、フォグランプと同時点灯すれば視認性は良好です。
コーナーリングランプつきです。
***最後に***
素晴らしい車の一語に尽きます。
静かに滑らかに、そして優雅に走れる車はセンチュリーの真骨頂だと思います。
クラウンですらスポーツ路線に走った今、柔らかい乗り心地に滑らかで重厚な乗り味を味わえるのはこの車だけだと思います。
まさに、古き良き日本の高級車です。
ヨーロッパ車に倣えで、ハンドリングやら走行安定性やらがもてはやされる現在の車開発。軽自動車からミニバン、SUVそしてハイソカーまでも、扁平タイヤを履かせ、固いサスペンションセッティングが主流になりました。
そして、ソフトな乗り心地でダルなハンドリングは古き(悪しき)価値観に…。
速度無制限のアウトバーンがあるヨーロッパならともかく、100km/h制限の日本に、過度な扁平タイヤや固い足回り、クイックなハンドリングは果たして必要なのでしょうか?
センチュリーに乗ると速く走ることなんかどうでもよくなります。ゆったりとハンドルを握る至高のひと時。
疲れていてもハンドルを握ると疲れが取れ、そして癒される車…それがセンチュリーです。
Posted at 2023/01/07 16:15:05 | |
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