去る5月16日、
数多くの雑誌評価で
Dセグメント御三家に太刀打ち出来るとも評されたLEXUS Nwe ISが発表になりました。
このNew ISは特に
BMW E90系をターゲットとして造られコンセプトからもレクサスが目指す走りの愉しさをご提案致しますという感じのキャッチフレーズも掲げられています。
”冴えわたる走りに、心が目覚める。
コーナーが視界に入る前から、すでに気持ちは昂ぶっている。
まさにそこへさしかかった瞬間、
あたかも意思を感じ取ったかのように鋭く反応し、
イメージしたラインを走り抜けて行く。
研ぎ澄まされたデザインと、さらなる高みをめざして磨き上げた俊敏さ、
正確さ、揺るぎない安定性。
コーナーワークでひときわ輝く、ISのポテンシャル。
それは、あらゆる道で力を放ち、あなたの胸は高鳴りつづける。”
こうなってはE90系ユーザーとしては気になる存在となるわけで…。
本日早速New IS 300hを試乗させて頂きBMW E90系との違いを感じ取ることにしました。
ショウルームではボトムグレードとなるIS250が展示してありましたので内外装含め細部に渡ってチェックしてきました。
以下、短評ですがBMW E90系との比較・インプレッションをして勝ち負け判定してみたいと思います。
またこの記事はあくまで個人素人の見解・感想ですので各オーナーの方のご気分を害されましても責任は負い兼ねます。
【展示車:LEXUS IS 250】
【外装デザイン:個人的にはE90系のほうが好きだけど甲乙付け難く好みで選んで下さい!】
先代のアテンザを引きずったようなデザインから一新!レクサスの象徴としようとしているスピンドルグリルの採用で一気にアグレッシブなデザインとなりました。これは賛否両論あるとは思いますが、個人的にはまぁアリかな。でも特段格好良いとは思わないのは何故だろうか?まぁ普通な感じがします。
特にE90LCIと比べるとオーラが薄く直線的なデザインが簡素で何か物足りないな印象を受けます。ただ塗装の質感、外装ボディパーツの建て付けは世界トップレベルでしょう。
【内装デザイン・質感:E90系の圧勝!】
ここからはコスト削減との戦いです。
BMW 1シリーズ、MB Aクラスでも鋳鉄ブロック蝶番を使いますが…。
萎え〜ポイントの一つ、お馴染板金プレス蝶番です。
目に見える部分はこうして革・ステッチを使い高級感を醸し出しています。
ただ革の質感は悪く、ドアパネルの表皮もBMWみたく深いシボのある柔らかい素材ではなく、硬いプラスチッキーな感じがします。
一部E89,82 1シリーズではプラスチックで代用している箇所もありますが、
E90系は全てフロントダッシュボード、メーターフード、センターコンソール、ドアパネル全て深いシボのある柔らかく厚みのある、質感の高い素材が使われています。
目に見えない部分に目を移すと…
完全にマークXとかさらにいえばパッソ等のコンパクトカーと同じクオリティーの部分が見えてきます。
ドアパネル下部の収納は完全に樹脂一体形成のプラスチック丸出し。
トリムは当然の如く、ピアノウッド調のプラスチック製フェイクです。
ダッシュボードのグローブボックスは節度感のないカパカパしたものでした。
イスはノーマルにしてはなかなかいい感じだと思いました。
イス本体の素材・質感・クッション性は国産車としてはかなり進化したと思えます。
ただ身を包み込むようなBMWとは違いかなり幅を持った造りでホールド性はあまりありません。
長距離をコンフォートにクルージングするのに適したイス形状ではないかと思います。
スポーツマインドを売りにした車にしてはちょっと中途半端なイスになってしまっています。
プラスチック部分の表面仕上げ、操作系のスイッチを押した際の感触など個人的にはイマイチな点が露呈します。
このNew ISの操作系統はシフトにしてもパドルにしてもウィンカーレバーにしても操作感がにゅるにゅるしててが気持ちが悪いのです!
展示車のプライスタグを見れば車両価格約480万円。
E90 LCIの320i Mスポと同じくらいと思いますがこの内装を見るとう〜んとなります。E90 320i Mスポならシンプルながらもちゃんとした質感のある内装で本物アルミトリムですし、イスももっとちゃんとしたサポート性のあるものになりますからね。
それでは本命の走りはと言うと…。
「う〜ん…。」いまいちぱっとしませんねぇ(´・ω・`)
”ドライバーとクルマの一体感を強め、「対話」をテーマにしたISの走り。
身体がしっかりと沈み、手を伸ばすと自然にステアリングを握れるスポーティなドライビングポジション、タイヤが感じ取った路面の状態がダイレクトにわかるステアリングフィール。クルマとの密なコミュニケーションにより意のままに操るという愉しさを、走り出した瞬間から感じられるほどに、その性能を磨き上げています。”
だそうですが。
【走行性能:E90系の勝ち!】
今回試乗したのはIS 300hというグレード。"h"が付く通りハイブリッドで先に登場した210形クラウンロイヤルと同じハイブリッドシステムです。システムトータル出力が220PSなので
E90 325iと比較してみたいと思います。
加速はもう圧倒的にIS 300hのほうが早いです。スポーツモードにすれば出だしから積極的にモーターの太いトルクアシストが入り静かに早いという印象です。しかし、ある程度の速度70キロあたりを過ぎると急激にトルクが細くなり、後はもわ〜っと官能性の素っ気の無いエンジン音と共に緩慢に加速していきます。出だしでは負けますがあの
クォーンというシルキーシックスが7000rpmまで気持ちよく回る楽しさはIS 300hにはありませんし、100キロ以降の加速力で言えば325iに及ばないと思います。加速フィーリングもIS 300hは完全にハイブリッド車。
アクセル開度に比例したリニアな加速は325iには及びません。
次はステアリング、脚回りですがこれは雑誌等の前評判が良かったので期待していたのですが若干期待外れだったようです。ステアリングは中立10度付近まで不感帯があり国産車にしては適度な重さがあります。フィーリングとしては決して悪くは無いのですが、
如何せんロードインフォメーションが絶対的にE90と比べる欠けています。路面情報を緻密かつ正確に伝えるステアリング。
BMWはハンドルを握り道路を走り出した瞬間ここはどういう路面なのか正確に手に取るように分かります。1mmハンドルを切ったら1mmタイヤが動く。
「カラスがクルミを道路に置いてそれをBMWが避けて走り去る」CMがあったように正確無比なハンドリング。それらはNew IS 300hでは感じられませんでした。脚は良く路面を吸収して適度な硬さを持ちつつしなやかで乗り心地も良いです。しかし、コーナリングに入ると
リアのスタビリティが不足気味なのか引きずる感触が残ります。E90よりもアンダー傾向が強いと感じました。
プラットフォームとしてのボディ剛性は最新のモデルですから高いとは思いますが、脚回りの局所的な剛性やそれらを構成するパーツ・ブッシュ類の造り、チューニングノウハウがやはりBMWのほうが一日の長があると思います。ブレーキに関して言えばこれもハイブリッド特有のモノで通常の真空倍力式とは異なり、油圧と回生ブレーキを電子制御で同調させるものとなっています。このECBと呼ばれるシステムがクセモノで初期のちょっとしたタッチでガクッと効いてしまい踏力によってリニアに減速力を調整するのが難しいのです。慣れと言われればそうですがフィーリングとしては決して良く無いです。この部分に関してはまだまだ改善の余地ありです。
短い間ですが試乗させて頂きましたが、
残念ながら私はレクサスのご提案する走りの愉しさを感じることが出来ませんでした。
レクサスの担当者曰くBMWみたいな走りの愉しさを感じられるクルマを造ったと、
でも決してBMWのマネではなくレクサスの考える走りの愉しさをこのISで体感して頂きたいと。
「駆け抜ける歓び」「Freude am Fahren」
これはBMWが四輪車を製造して80年間脈々と受け継がれてきたBMWのIdentityでありPhilosophyなのです。
レクサスはブランドとしてデザインにしてもクルマの中身についても一貫としたIdentityを感じられないのです。だから今回このようにISに試乗しても一貫としたこれがレクサスだというモノが伝わりませんでした。レクサスはこれから
走りを売りにすると担当者は言いますが
BMWの真似事のようにしか思えません。それではいつまでもBMWのお尻を追いかけてても一向に追いつけないし、追い越せも出来ませんよ。国産車だからこそ出来る事…他に沢山ありませんか?そこにレクサスとしてのIdentityを築いて欲しいなと思いました。
おまけで。エンジンルームとストラットタワー部分。
マークXの2.5Lモデルと大差ありませんね(~_~;)(爆)
続編、ご興味ある方はどうぞご覧下さいませ。
LEXUS IS350 F Sports vs BMW E92 335i M Sports 比較試乗♪