
『花より男子』のことではありませんので念のため。独創的な作風で一世を風靡した松本大洋の「花男」です。
Kさんのブログで、息子と私とそして2輪と… という感じのエントリを拝見したので、似た感じのコマを載せてみました。
この作品では、それまで別居生活をしていた父と息子のゆるやかな和解…というか相互理解…が、コミック3巻で描かれています。
細かいプロットを言うと息子は小学生、塾の特進クラスでイヤなやつ(ガリメガネ)。父親は長嶋茂雄に憧れて巨人軍入団を目指す、30過ぎのプータロー。父親をアホだ恥だと思っていた息子だが、母親の命令でしかたなく(『夏休みの間だけでもいいの。あの人と生活なさい。』)父が生まれ育っている異郷の街へ。…
という出だし。
あとは買って読んでね!
というのは、ストーリーだけちゃっちゃとこの漫画を説明してはいけないから。
硬質な線で構成されたシンプルな作風。比喩的なマンガ線(動きをなどを表わすあの線)は極力使わないし、トーンも重ね張りなどは論外。一コマひとコマを止め絵で表しながら、読む者の脳内で
なんでこんなに動くんだ!!
という真骨頂を味わいたい方は、映画化もされた『ピンポン』をぜひどうぞ。
「止め絵」でかつて漫画界に衝撃を与えたのは、『童夢』で一躍有名になった大友克洋。彼のフォークロアがその後数多登場しました。彼は『AKIRA』の後映像の世界に進み、現在はカップヌードルCMの製作に関わったりしています。FREEDOM!
しかし、松本大洋は『ピンポン』(実写)『鉄コン筋クリート』(アニメ)という2本の映画化を経たにも係わらず、まだマンガにこだわっています。現在では『花男』の時のカッチリした線を捨て、筆を使ったウェットな画風で作品を発表。そして、現在もなおその作風は すばらしく 前向き。
成功者であるほど、自分を変えていくのは難しいのでしょう。しかし、松本大洋には、まだこの先のスゴい画を見せてほしい。読者はいつでも貪欲なのですから。
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『花男』松本大洋 全3巻 小学館
連載 「ビッグコミックスピリッツ」 ビッグコミックス(絶版)
同社から愛蔵版もあり
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Posted at
2008/11/12 23:13:03