
『YAWARA!』『MASTERキートン』『20世紀少年』『PLUTO』と、1980年代からメガヒットを連発し続ける もはや巨匠、浦沢直樹。
この方のうまいところはもう画から何から数えきれないのですが、ストーリーの進め方で私がうまいなぁと思うのは(多くの方が既に言及されていますが)、
じらしの駆け引きです。
(部屋で)「あ、あなたは…」(顔!影かかってて顔見えないよ!!)
(日記を見て)「これは…」(何!?何書いてるあるの?え、スルーして別場面!?)
もーそんなことしょっちゅう。
かと思えば進めるところでは急に進めてビックリさせるし。
(その少年がアトムかッ!!!!)
(すいません、『PLUTO』見た人だけわかってください)
そんな怪物級の代表作のひとつ(出すほとんどが代表作なのですが)が、幾つもの賞を取りアニメ化もされた『MONSTER』。
過去に助けた少年が、現在「犯罪者を超えたもっと恐ろしい何か」に成長していることを知ってしまった元天才外科医・テンマが主人公。少年(今や青年)を追ううちに見えてくる、旧ドイツの光と影、人間の光と影…
という非常に雑な作品案内ですが、詳しい内容は漫画喫茶等で補完してください。全18巻。しかしまあ全編において、上記のヒキとオシのオンパレード!そりゃ引っ張って18巻まで行くってものですよ。その最も象徴的なモノが、作中に出てくる「絵本」。
「なまえのないかいぶつ」
「めのおおきいひととくちのおおきなひと」
「へいわのかみさま」
「めざめるかいぶつ」
この事件のキーマンであろうと思われる人物が書いたこの絵本たち、寓意があるようなないような、喩えているようないないような、非常に思わせぶりで気になる内容に仕上がっていました。もちろんストーリーを引っ張っていく重要なアイテム。
本編に出てくるお話たちを、「完全版完結記念別冊」と称してこの度小学館が売り出しました。商売上手だねえ、小学館。本編は諸事情で手放してしまいましたが、これはほしいと即購入。 …でも、表紙のホログラム加工はいらない…
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『なまえのないかいぶつ』 作:エミル・シェーベほか 訳:浦沢直樹(お約束)
小学館
ビッグコミックオリジナル連載 「ビッグコミックススペシャル」
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2008/11/13 21:13:50