なろう!
なろう!
明日は檜になろう!
(川端康成『あすなろ物語』)
という名句とともに、
満賀道雄・才野茂の二人が
上りの夜汽車に乗っているシーンから始まる…
『まんが道』!
中学生の頃から何度も読んでいる作品ですが、
功成り名遂げた大作家・藤子不二雄の、青雲立志伝として
あるいは当時のマンガ界の雰囲気を読み取る良資料として
そのたびに楽しませていただきました。
※ちなみにこの頃はまだペンネームをAとFに分けてはいません。※
しかし 今改めて読むとまた面白いですねえ。
主人公の満賀道雄、
チビ・メガネ・運痴のダメ男子。
勉強も不得手、
唯一の取り柄が「マンガ」
クラスの好きな子の似顔絵をこっそり描いて、いじめっ子に晒される。
無二の友人の才野といえば、同じく運動音痴で青瓢箪。
しかし「マンガ」というつながりで結ばれた二人は、
個人同人誌を作って近所の子供に見せたり、
書店に数冊しか入荷しない
マニアックなマンガ雑誌を読み合う仲。
雑誌への投稿を続けた2人は、まんが家を志す…
うん、どう考えてもオタク!
絶対21世紀では主人公をハれませんね!
なんせ高校卒業後の進路、
満賀道雄は親戚のコネをたよって なんとか地方新聞社に入社。
しかし。
友人の才野茂にいたっては
入社して一日でドロップアウト!
このゆとり世代が!!
という戦中派の怒声が聞こえてきそうです。
母子家庭、女手一つで育てた長男が
「俺、高校卒業したら、東京行って ツレとマンガ描くんだ…」
なんてこと言い出したらそりゃ、親戚は問答無用で
「お前 卒業したらうちの新聞社へ入れ」
(作品より引用)
て言いますわな。
十代のときには「なんておじさんだ!」と憤慨していたのですが、自分がおっさんになった今ではそっち側の気持ちはよく分かります。
それが悲しいなっ とも思うのですが、
いろんな年齢でもいろんな読み方で楽しめる『まんが道』、やはり傑作です。
20年後もまた読みたいですね。
ちなみに現在「週刊少年ジャンプ」では、
有名な『DEATH NOTE』を作った原作・作画コンビが、現代版『まんが道』を連載中。
『バクマン』、興味のあるかたは一読を。『まんが道』をきっちり意識した作りで、比較すると楽しいです。
Posted at 2009/05/13 00:35:34 | |
トラックバック(0) | 日記