
これを青春時代に読んで
いたく感銘を受け、
微妙に間違った幕末知識を持ってしまった、
という人も多いほどの名作、
『お~い!竜馬』。
を今ずるずると読んでいます。
一部の史実にとらわれず、あくまでもこの作品なりの
「幕末群雄伝」を作ろうとしたのが成功しています。
なにせ
史実虚構いり乱れたあげくの、キャラ立ちっぷりの良さで
物語は、幕末はどんどん進められていきます。
主人公 坂本竜馬
→作画:小山ゆうのデビュー作「おれは直角」の主人公を彷彿ともさせる、
明るく、実直で不器用、弱さを見せながら芯は通った正直者。
幼少期は泣き虫、しかし成長後は剣豪。お手本キャラ。
ここまではいい。
山内容堂(土佐藩 藩主)
→「功名が辻」山内一豊の子孫。
基本、庶民は犬。
板垣退助(のちに自由民権運動の人)
→容堂の臣下。やな奴。
立場:スネオ。
武市瑞山(土佐藩 尊王攘夷運動の旗頭)
→竜馬・以蔵の幼馴染。
青春時代のトラウマから
一穴主義を貫く。
岡田以蔵(土佐藩暗殺部隊 通称「
人斬り以蔵」)
→竜馬・瑞山の幼馴染。
隠れマザコン。
勝海舟(幕臣。江戸城無血開城のキーマン)
→屋敷を訪れた竜馬に対し、
はじめは使用人のような態度で現れ、
「…あなたが勝先生!」のノリで再登場。
当時の将軍にもなぜか親しい。この漫画の、ある意味なんでもあり。
西郷隆盛(維新のトップ。薩摩藩)
→
童顔。カミングアウトマザコン。
大久保利通(維新のトップ。薩摩藩)
→
偏執狂。趣味は折鶴。
桂小五郎=木戸孝允(維新のトップ。長州藩)
→
女装の達人。
松田松陰(維新を盛りたてた思想家)
→
マゾ。
佐久間象山(吉田松陰の師匠)
→
ウザい。
あえて有名どころばっかり並べてみましたが、
こうやって見ると改めて「維新の英雄=カコイイ!」というイメージを
あえて覆そうというキャラクターの立て方ですね。
逆に、幕府側の人間、
たとえば新撰組の面々なんか、一般のイメージ通りなのですよ。
豪快な近藤、クールな土方、早逝の美少年剣士沖田。
ここまで「味方側」を変えちゃうと、「敵役」までいじったらバランスが取れなかったでしょうしね。
よく考えられたキャスティングと、読んでいて改めて思います。
で、
この実嘘あいまぜのキャラクターの性格が、
史実のすきまでからみあう中で、
いろんな感動が生まれてくるのがこの作品の真骨頂。
親しい物売りの子を無礼斬りされたことで
坂本竜馬は反・山内容堂の意志を持ち、
岡田以蔵と竜馬が幼馴染だったから
勝海舟は晩年を迎えることができるのですよ。
でもフィクション!
他の文献資料を読んでいなかったら、
フィクションの40~60%は信じてしまいます(自分調べ)。
しかし なんせこの作品の感動NO.1ポイントは
大政奉還後の組閣シーン!
前述の西郷・大久保・桂(各藩でエラい人)にさきがけて、
明治政府のメンバーリストを提出した竜馬(
この時点で素浪人=プー)。
以下引用抜粋。
西郷「坂本さァ…
こん中に…
土佐から出るべき、おまんさァの名が…
落ちとりもんど…」
竜馬「わしかいの、 わしゃあ出らん!」
西郷「役人がいやなら…
坂本さァは… なんばやられもす!?」
竜馬「そうさな…
世界の海援隊でもやりますかいのう…」
ああ…格好いい。
あまりに勿体ないので、このシーンは実際に作品を読んで、どうぞ。
ちなににこのシーン、
その場に臨席していた画像右の人物、
陸奥宗光(明治の名外相)
→
かっこつけヘタレ
が
実際に後年よく話していたというエピソードなのですが、
実は
それ自体が怪しい!陸奥の作り話なのでは!?という論もあります。
ますます虚々実々奇奇怪怪、
しかしそのトワイライトゾーンを楽しむのもこの漫画の一興。
ご一読下さい。
今回はだらだらと書いてしまいました。うーむいかん。
『お~い!竜馬』
原作:武田鉄矢 作画;小山ゆう 小学館文庫 全14巻(ヤングサンデーコミックスは絶版)
↑!!!!!
Posted at 2009/05/27 23:37:58 | |
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