七夕にまるい月。
良き哉 良き哉。
北海道はこの時期でも、雨は少ないので
牽牛織女のデートスポットには
もってこいです。
そこに叢雲というのもまた乙ですね。
本当は兎が見える程でしたが…私のカメラではこれが限界。
ということで、
七夕にちなむマンガと言えば
これしかありません。
岩明 均、『七夕の国』。
いやー これはいいマンガです。大好きです。
…
「新技能開拓研究会」という怪しげなサークルの部長、
南丸洋二。
彼が持っている、部長たりうる能力「新技能」、
それは…
ケント紙に小っさい穴をあけられること。
しかし その 遺伝(らしい)される力は、実は 本来 人を殺傷しうるほどの破壊力を持ったものだった…
その遺伝のルーツを探る意味もあり、様々な奇縁もあり、
失踪した民族学の教授を探すために、
そのゼミ生たちとともに、
七夕の時期に訪れる
その 目的地は
A県黒嶺町丸川町…
古称、「丸神の里」。
折しも季節は七夕。
宵宮のヒロインの登場に、心揺らす主人公 なんてシーン。
しかし。
主人公たちの この里への来訪を中心にして始まった、ささいな不協和音は、
やがて日本中を巻き込む大事件へと発展していきます。
七夕の夜、山頂で密かに執り行われる祭儀。
里の住人の心理にに圧倒的な存在感を持つ、
決して面を晒さない「頼之さん」の存在。
主人公に力の解放の術を教えた、
「丸神の里」の「高志」にはルビーのような結晶が…
住民が口々にこぼす、
さまざまな言葉には どんな意味があるのか?
すべては、七夕 という 我々にとって身近な祭事を意匠にして、
そこからいろんなストーリーのバリエーションを紡ぎだし、
そして最後にはやはり七夕に収束させてくれます、岩明均。
この作者の他の代表作 特に2つ挙げれば
『寄生獣』と『ヒストリエ』になるのでしょうが、
私の捉えでは
『寄 生 獣』 …現実ベースで「寄生獣」というコンセプトのみ変える
『ヒストリエ』…史実ベースで「主人公エウメネス目線」というコンセプトのみ変える
つまり
現実の一部が変わっちゃえば世の中の「物語」ってすごく変わっちゃうよ!
というハナシの作りをしてるんだなー
と思ってるんですが(勝手に)、
岩明均、この『七夕の国』では、
超能力・民族学・架空史・●●●(←あまりにネタバレで書けない)等々
いろんなところに手ぇ出して、
その貪欲さが
大好きです。
なおかつ素敵なのは、
そのストーリーを全4巻で終わらせたことです。
一般には無名な作品ですが、私は大好きなのでこの七夕を機にプッシュ。
謎を解明しつつ謎のままに残る部分がある余韻を持つ、4巻の濃密な感じは本当に…
ごちそうさまです。
あー、本当は
もっとあげたい画像もあったのですが、いかん。
自分が未読の読み手だったら怒りそうなネタバレ画像ばっかなので自粛します。
最後にこれだけ。
これで「なんだ、わかっちまったよがっかりだ」と思ったあなた、
さらにその先を行ってるので安心してください。
ということで七夕の日じゅうに間に合うか?のUPでした。
『七夕の国』岩明 均
小学館 ビッグスピリッツコミックス
(←そうだこれも衝撃だったのだ)全4巻
Posted at 2009/07/07 23:48:05 | |
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