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トニー滝谷のブログ一覧

2009年03月16日 イイね!

すべてを俎上に [All Things Considered]

すべてを俎上に [All Things Considered]「ベイブと私」

1947年の夏の、ある土曜日のことだった。翌日にはクリーヴランド・インディアンズの旧本拠地ミュニシパル・スタジアムで、インディアンズの試合の前にOB戦が行われることになっていた。私は13才になったばかりだった。土曜日になるとよく、特許の弁護士をしている父親についてダウンタウンの事務所に行き、棚に並んでいる発明品をいじったりして遊ぶことが多かったが、この日もそうだった。
正午になって、私は父親の言いつけで、通りの向かいにあるホレルデン・ホテルのコーヒーショップに二人分のサンドイッチを買いに行った。店に一歩入った瞬間、すぐにベイブ・ルースだとわかった。本物のベイブ、伝説の英雄その人が、私の目の前で、二人の男と一緒にテーブルを囲んでいた。
興奮と緊張で、頭の中が真っ白になった。ペンも紙も持っていなかったが、まさか近づいていって、本人に向かってペン貸してくださいというわけにもいかなかった。私は一目散にかけだし、通りを横切り、ビルの4階にある父の事務所まで一気に階段を駆け上がった。
「父さん!」私は叫んだ。「ベイブ・ルースがいるんだよ! はやく、ペンと紙を!」。父は私に負けないくらい興奮して、自分のペンとルーズリーフの紙を一枚、私の震える手に押し込んだ。
私はコーヒーショップに飛んで戻り、勢いよくドアを開けた。ベイブはまだいた。友人たちはもう帰って、ひとりでのんびり新聞を読んでいた。私は小走りに近づいていき、キンキンに裏返った声で言った。「ミスター・ルース。あの、サイン、いただけますか?」
ベイブは振り返り、にっこり笑った。「ああ、いいよ」。そうして誰もが知っている、あの美しいスペンサー体のサインをさらさらと書きながら、こうつけ加えた-----「もう5分早く来りゃよかったのにな、坊や。さっきまでここにタイ・カップとトリス・スピーカーもいたんだぜ」

ソール・アイズラー
カリフォルニア州サンラファエル


NPR - Weekend All Things Considered: National Story Project
http://www.npr.org/programs/watc/features/1999/991002.storyproject.html




Bruce Springsteen - Born in the USA
Posted at 2009/03/16 22:24:25 | コメント(2) | トラックバック(0) | All Things Considered | 暮らし/家族
2009年02月22日 イイね!

すべてを俎上に [All Things Considered]

すべてを俎上に [All Things Considered]『数学的媚薬』


 サラとしょっちゅう仲たがいしていたころ、軽いつきあいでいようとふたりで決めた。デートはいいが、週に一度まで。それぞれの人生を歩み、気が向いたら会うけれど、身を固める云々については考えない。
そう決めて間もないころ、サラの一間のアパートの床にふたりで座っていた。彼女は自分のセーターを編み、僕は『フェルマーの最終定理』を読んでいた。時おり僕は編み物の邪魔をして、本を読み上げていた。
「親和数って聞いたことある? 完全数みたいなものだけれど、自分の約数の合計じゃなくて、相手の約数の合計なんだ。中世の人たちは切り分けた果物に親和数を刻んだんだ。最初の一切れを食べて、もう一切れを恋人に食べさせる。数学的媚薬さ。いいなあ、数学的媚薬」
サラはさほど興味を示さなかった。数学があまり好きではないのだ。僕とは違う。気ままなつきあいでいたほうがいい理由がまたひとつ。
折しもクリスマスの時期で、僕は買い物嫌いだったから、贈る相手リストからサラを消せるのはありがたかった。僕らは物を贈るには気まますぎる関係なのだ。だが祖母への贈り物を買う際、難解なクロスワード・パズルを見かけて、サラのために買った。『
ニューヨークタイムズ』誌の後ろに載っている難解なクロスワード・パズルをいつもふたりでやっていたから、5ドルなら贈ってもいいやと考えたのだ。
クリスマスがやってきて、サラに本を渡した。包装もなしに、ごくさりげなく。彼女は何もくれなかった。別に驚かなかったが、少し傷ついた。気にしてはいけないはずなのに。
翌日、サラがアパートに招んでくれた。「クリスマスプレゼントがあるの」と彼女は言った。「遅くなってごめん」
不器用に包装した包みを渡された。開けると、手編みの長方形が膝に落ちた。手にとって眺めたが、なんだか見当がつかなかった。片側には124155、もう一方の側には100485が編み込まれていた。サラを再び見上げると、彼女はもはや興奮を抑えきれなくなっていた。
「親和数だよ」と彼女は言った。「コンピュータのプログラムを作って、12時間計算させたの。見つかった最大のやつがそれで、二重編みして入れた。鍋つかみなんだよ。昨日の夜は目の止め方がまだわかってなくて、渡せなかった。ちょっとへんてこだけど、気に入ってもらえるかなと思って」
そのクリスマス以来、僕らはいろいろな関係になったが、もう気ままな関係ではなくなった。いにしえの数学的媚薬がまたしても効いたのだ。

アレックス・ゴールド
オレゴン州ポートランド


NPR - Weekend All Things Considered: National Story Project
http://www.npr.org/programs/watc/features/1999/991002.storyproject.html



Jack Johnson - Better Together
Posted at 2009/02/22 19:01:48 | コメント(1) | トラックバック(0) | All Things Considered | 暮らし/家族
2009年02月15日 イイね!

すべてを俎上に [All Things Considered]

すべてを俎上に [All Things Considered]『雨天中止』


 タイガー球場(当時はブリッグズ球場と呼ばれていた)に最後に行ったのは、8歳の時だ。仕事から帰ってきた父が、私を野球の試合に連れて行ってくれると宣言したのだ。父は野球ファンで、デーゲームには何度か連れて行ってもらっていたが、ナイトゲームはこれが初めてだった。
 早めに着いたので、ミシガン・アベニューに無料で駐車できた。2回から雨が降り出し、土砂降りになった。20分もしないうちに、拡声器を通して、試合中止が告げられた。
 雨が上がるのを待って、父と一緒にスタンドの下を歩きまわった。ビールの販売が終わった時点で、車まで走っていこう、と父が言った。
 うちの車は1948年型セダンで、運転席側のドアは壊れていて中からしか開かなかった。私たちはハアハア言いながら、ずぶ濡れで助手席側のドアにたどり着いた。父がごそごそ鍵を探すうち、鍵が手から落ちて、道ばたの溝に落ちた。勢いよく流れる水から鍵を拾い上げようと父がかがむと、ドアの取手が茶色のフェルトの中折れ帽を父の頭からたたき落とした。半ブロックほど先まで行って私は帽子に追いつき、全速力で車に戻った。
 父はすでに運転席に座っていた。私は車に飛び込んで助手席に倒れ込み、父にうやうやしく帽子を渡した。帽子は今やもう濡れ雑巾のようだった。父は一瞬帽子を見つめてから、頭に載せた。中から水が流れ出し、まず父の肩と膝にはねてから、ハンドルとダッシュボードに跳ねかかった。父は大声で吠えた。怒って怒鳴ったのだと思ったので、私は縮み上がった。笑い声だとわかると、私も笑い出して、しばらくはふたりともそのまま狂ったように笑い転げた。父がそんな風に笑うのを聞くのは初めてだった------そして最後だった。それは父のどこか奥深くから出てきた、生々しい爆発だった。父がそれまでずっと抑えていた力だった。
 何年も経ってから、父にその晩のことを話して、父さんの笑い声をよく覚えていると私は言ったが、そんなことはなかったと父は言い張った。


スタン・ベンコスキー
カリフォルニア州サニーヴェイル



Rainy weather discontinuance  

The tiger ball park (at that time it was called the buritsuguzu ball park) as for going lastly, at the time of 8 years old is. It declared that the father, who returns from work, keeps accompanying me in the tournament of the baseball. The father had had keeping accompanying with the baseball fan, several degrees in the day game, but the knight game this was unprecedented.  
Because it arrived ahead of time, being free in the Michigan Avenue, it could park. The rain started getting off from 2 times, the downpour became.20 minutes while being, you could inform the tournament discontinuance through the loudspeaker.  Waiting for the fact that the rain stops, you walked under the stand to the father and simultaneous turned. At the point in time when sale of the beer ends, it probably will keep running to the car, that the father said.  
The car inside with 1948 type sedan, having been broken, opened the door of driver's seat side from only in. We while [ha-ha] saying, arrived to the door of suicide seat side with the getting wet. While the father searches the rustling key, the key falling from the hand, it fell to the groove of the roadside. That to pick up the key from the water which spirit well flows, when the father stoops, the knob of the door hit the medium breaking hat of the felt of brown from the head of the father and dropped. About semi- block going to ahead, I overtook the hat, returned to the car with full speed.  
The father already had sat down in the driver's seat. I jumping in the car, collapsed in the suicide seat, gave the palm hat to the father. The hat got wet now already and it seemed like the dustcloth.After the father staring the instant hat, it placed in the head. The water to flow out from in, after first leaping to the shoulder and the knee of the father, it started to leap in the steering wheel and the dashboard. The father cried with yell. Getting angry, because you thought, that you yelled, I shrank up. When you know, that it is laughter, I producing to laugh, for a while as also the cover deviated that way, it convulsed. It was unprecedented to inquire about that the father laughs in such a wind------And it was last. It was the vivid explosion where that came out somewhere of the father the after deeply. It was the power which the father held down to that directly.  
After many years passing, speaking the thing of that evening to the father, that you remember the laughter of the father well, I called, but as for such a thing that it was not, as for the father you persisted.

Stun benkosuki,
California state sanivueiru



NPR - Weekend All Things Considered: National Story Project
http://www.npr.org/programs/watc/features/1999/991002.storyproject.html




Eric Clapton - My Father's Eyes
Posted at 2009/02/15 06:07:56 | コメント(1) | トラックバック(0) | All Things Considered | 暮らし/家族

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