HARBOR BUSINESS online
【転載開始】
■安倍首相や閣僚の答弁は「赤信号だらけ」。
一介の会社員が「信号無視話法」を思いついたワケ
■「自分ができること」を通じて何かを伝えられないか
考えた
――編集部が犬飼さんのことを知ったのは、
あの「信号無視話法」による視覚化を初めて
行った枝野代表と安倍晋三首相の党首討論
の記事で、ハーバービジネスオンラインの
「党首討論、議論は本当に『平行線』だったのか?
論点ずらしで逃げる安倍答弁を書き起こしてみた」
から答弁部分の文字起こしを引用してくれていた
のがきっかけでした。
あのとき、引用以前に
「色分けで見せる方法とはやられた!」と思った
ことを覚えています。
そもそも、なぜああした可視化を思いついたので
しょうか?
犬飼:実は「可視化」するということは以前から
やっていたんです。
今年の2月頃、統計学の専門知識を活かして、
Twitterやnoteで政治情勢分析の情報を発信
している「はる/みらい選挙プロジェクト」さんの
活動を知り、私も直感的に「何か」を分かりやすく
視覚化することで、国民の政治への関心を高め
られないかと考え始めていました。
ただ、私には「統計学」のような確固たる専門分野
が無く、何ができるのか分からずに悶々と過ごして
いました。
そんな中、森友問題の公文書改ざんが発覚して、
官邸前などでデモが連日行われるようになった
3月中旬、人生で初めてデモに行ってみました。
が、コールを叫ぶのはちょっと攻撃的な感じがして
デモに加わる気にはなれないので、何をしていい
のかわからず、現場をただウロウロしているだけ
でした。
まぁ、せっかく現場に来たんだからと思い、
現場の空気感を伝えるために群衆の動画や
写真をTwitterにアップしているうちに、ある
ことに気づきました。
デモの参加人数が警察発表や一部メディアの
報道では、実際よりも大幅に少なく公表されて
いたのです。
そこで、まずはデモの参加人数試算を始め
ました。
Jacob’s Method(1960年代にカリフォルニア大学
Herbert Jacobs教授が考案した群集の人数を
数える手法)という手法で、人がいた面積に対して、
混雑度に応じて単位面積当たり人数を乗じて、
ざっくりとした人数を算出する方法です。
(参照:「2018年3月25日緊急新宿大街宣の
人数試算」、「2018年4月14日国会前デモの
人数試算」)
ただ、数万人が集まった4月14日の国会デモ
の帰り道、このままでは何も変わらないと気付き
ました。
国会から目と鼻の先の日比谷では、まるで
デモなんて無かったかのように休日を楽しんで
いる人たちで溢れていたんです。
その日の国会前と日比谷は、物理的には徒歩
15分ほどの距離なのに、まるで別の国かと錯覚
するほどに遠く感じました。
この時、政治に無関心な人たちに関心を持た
せること、これが最も重要だと悟りました。
そのために何ができるかを考え始めた折、
5月30日の党首討論で枝野さんの質問に全く
答えずにダラダラと喋り続ける総理答弁を見て、
「質問と全く関係ない話」と「質問内容の繰り返し」
が回答の大半を占めていることに気付きました。
私は現在、コンサルに近い仕事をしており、
2色程度で問題点の原因を色分けしながら
資料を作成することがよくあります。
それを応用して、この不誠実答弁をパッと一目
で分かるように色分けすることを閃き、
翌5月31日にはパイロット版のような形で
信号無視話法の分析結果を公開しました。
――それがあの「信号無視話法」だったわけですね。
■全く関係ない話、質問内容の繰り返しを色分け
犬飼:質問と全く関係ない話をする、質問内容を
繰り返す、等のルール違反を繰り返す答弁を
そう名付けました。
「信号無視話法」という名前をつけたことには
明確な意図があリます。すでに上西充子先生の
「ご飯論法」(参照:『「朝ごはんは食べたか」→
「ご飯は食べてません(パンは食べたけど)」の
ような、加藤厚労大臣のかわし方)』)が新聞記事
になり注目を集め、国会での不誠実答弁がやり
づらくなったことを目の当たりにしていたので、
「名前をつける」ことが不誠実答弁を防ぐことに
繋がると考えたからです。
私が最もアプローチしたいと考えている
「政治に関心のない人たち」が長い国会答弁を
読むことはありえません。
そのため、パッと見ただけで内容を理解できる
ように一定の配色ルールに従った色分けが
有効だろうと考えたのです。
そこで、以下2つの条件を満たす色の組み
合わせを探しました。
・質問と関係ない内容、質問内容の繰り返し、
質問に対する回答の3つを色分けしたいので、
最低でも3色は必要
・説明なしでも日本人が直感的にその3色の
意味を理解できる
この条件を満たす色の組み合わせは、私が
知る限り、信号機の赤黄青しかありません。
赤はダメ、黄は要注意、青はOK。
老若男女だれもが知っています。
しかも、海外でも通用するので、いずれ海外に
向けて発信することになっても、そのまま使え
ます。
実は、配色にはもう1つ案がありました。
それはサッカーのレッドカード、イエローカード
です。
赤は1発退場、黄色は2回で退場になるくらい
悪いこと、という概念がピッタリだし、ちょうど
ロシアワールドカップ直前の時期でサッカー
への感心も高まっていたし、政治に関心は
ないけどサッカーには興味がある人たちに
伝わりやすい点も魅力的でした。
しかし、重大な問題があって、この概念は2色
しかないので、回答にあてる3色目の色が
無かったのです。
そのため、泣く泣くボツにしました。
もしサッカーにフェアプレーやファインプレー
に特定の色のカードを出して褒め称えると
いう謎のルールがあれば、間違いなくサッカー
の配色を採用していたと思います。
――発表後は物凄い反響でしたね。
犬飼:はい。5月31日にパイロット版のような
形で部分的に公開した信号無視話法の
note記事は大変な反響を呼び、立憲民主党
の公式、東京新聞・望月衣塑子記者、
タレントの松尾貴史さん、などの著名人にも
拡散して頂き、note記事の閲覧数も7万PV
ほどになりました。
また、朝日新聞さんには信号無視話法と
私の視覚化による情報発信の取り組みを
記事にして頂きています。
(参照:『「信号無視」のモリカケ答弁』
朝日新聞デジタル6月18日)
そして、7月20日の枝野代表の2時間43分に
及んだ国会での大演説では、不誠実答弁の
一例として、信号無視話法を引用して頂き、
ついに国会デビューも果たしました。
(引用元:「枝野代表演説文字起こし」)
――他にも、平成30年7月豪雨時の安倍政権
の災害対応について、首相動静と気象庁発表、
被害状況をタイムテーブルで並べ、
「空白の66時間」を視覚化した記事も見事で
した。
犬飼:ありがとうございます。
ただ、すでに国会は閉会したので、今後
どのような活動をするかは試行錯誤して
います。
今後も「政治に無関心な層」に政治に関心
を持ってもらうことを目的に、パッと見て
分かるような「視覚化」に取り組んでいく
つもりです。
【犬飼淳氏】
サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnote
で政治に関するさまざまな論考を発表。
党首討論での安倍首相の答弁を色付きで
わかりやすく分析した「信号無視話法」や、
7月豪雨時の官邸の対応の遅れについて
可視化した「空白の66時間」がSNSで話題に。
編集部とは「信号無視話法」の記事のときに
当サイトの書き起こしを転載したことが縁で
やり取りをすることになった。
犬飼淳氏のnote(https://note.mu/jun21101016)、
TwitterIDは@jun21101016)
【転載終了】
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なるほど、信号の色分けだとよくわかりますし、
的確な分析だと思います。
日本国民の弱点は、無関心による無知です。
その象徴が、安倍支持の50%であり、この
50%が日本の一般的な国民なのでしょう。
Posted at 2018/08/05 09:13:25 | |
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