
みなさんこんにちは
今日は仕事が暇なので、かなーり長文で「北米漫画について」を書きますので、お暇な方のみ読み下さい(笑)
先日、村上龍さんが電子書籍の制作・販売会社を立ち上げましたね。これは現在出版不況の中で、従来の出版業界のビジネスモデルを刷新し新たな出版ビジネスを創出しようという村上さんの思いがあるのではないかと思います。このビジネスモデルが成功すれば出版社は生き残りの道が見えてくるのではないでしょうか(まー簡単に構造変更は難しいと思います)。しかし、これ以前にも日本の出版社は生き残りに掛けて様々な手を打ってきましたが失敗に終わっています。その1つが海外進出です。
一ツ橋グループは日本での出版不況による減収を補填すべく2005年から本格的に北米に進出しました。当時はまだ少年ジャンプ系タイトルの他少女漫画などの売れ行きが北米で良かった為、一ツ橋グループとしては「これだったらいける!」と踏んだんでしょうね。当時は各メディアも「アメリカで漫画ブーム」とか報道していたと思います。しかし現実は違いました・・・。
日本での漫画市場規模は出版業界全体の市場規模2兆円に対して5千億の規模を誇ります(データが間違えていたらすみません)。さて北米での和製漫画市場規模はいくらだと思いますか?北米の出版市場は2008年度で4兆円程度(PR-inside.comデータ参考)で、和製マンガブームということを考えると日本の2倍程度の市場規模を想像する方は多いと思いますが・・・・、たったの200億円(日経ビジネス参考)です。これは米国でのコミック総売上の約2~3%にあたります。ちなみに米国大手コミック出版社Marvel(スパイダーマン、X-men等のコミックで有名)1社のシェアは約35%です。まーこの数字を見れば
まだまだ和製漫画市場はニッチで日本での減収分を十分補填できるほど大成功したとは言えません。これがせめて1社で4%~5%程度行けば大成功と言えると思いますが・・・。もちろん「米国にしては良いんじゃない」と思う方もいると思いますが、一ツ橋グループの考えはそんな甘っちょろいものではありません。やはり米国のMarvel程度は目標にしていたと思います。
では何で北米で和製漫画が大成功しなかったんでしょうか?私もちょっとアメリカでのマンガ出版に携わったので述べさせてもらいます。簡単に言ってしまうとこれは日本とアメリカの文化の違いもあると思います。日本では今では少なくなりましたがマンガは子供から大人まで幅広い層が読みます。アメリカではマンガ=子供なので一番お金を持っている大人はマンガを買いません。更にアメリカの子供は日本の子供と違って自分で本を買えるほどお金を持っていません。なので、子供が読める本は親が許可した本のみです。その親はもちろんマンガ=悪いものとイメージしている人が大半なので、基本的に子供にはマンガを読ませません。なので売れません。大人でマンガ(特に和製漫画)を読むのはごく少数の「オタク=geek」だけなのです。なので一般の大人も取り込もうとした「ドラゴンボール実写版」も不評でしたね。あの「米で人気」と言われていた「ドラゴンボール」でさえ「オタク」のものなのです。
編集者であるジェイソン(自称マンガオタク)は言っていました。「マンガ(和製)は本来ごくわずかなオタクの間で楽しまれていたのに、日本の出版社がそれをシリアスにビジネスとして捕らえた。それが間違いだったんだよ」と。更に彼は「ほぼ趣味の延長でやっていた編集作業が、日本の出版社が本格的に参入したことによってビジネスライクになり、楽しめなくなったよ」と言ってました。本来アメリカでのマンガというのはごくわずかなファンの間で楽しまれる貴重なニッチ商品だったのです。なので、市場が拡大しないのは当然なのです。この点を出版社は見落としていました。
でも海外において日本の自動車メーカーや家電メーカーの優位性が韓国メーカーによって無くなりつつなる中、唯一優位性が失われていないのが日本のマンガ、アニメです。この日本が誇れる産業を何とか国を挙げてしっかりとした産業に育て上げ(前の麻生さんではありませんが)、全世界の大人が楽しめるスパイダーマンのようなキャラクターが日本から生まれる事を期待したいです。
失礼しまーす(笑)
Posted at 2010/11/17 16:42:01 | |
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