いやね、こういう記事を見たワケですよ。
<「車はカッコよくない」、ギャルのイメージ改善が課題-自動車販売 >
(ブルームバーグ 09/07/27)
トヨタ自動車は20日、東京・お台場のショールームで、20代前半の母親をターゲットにイベントを開催した。ファッション誌「iLOVE mama」と共催して、若者の車離れを食い止める狙いだ。パステルカラーのブラウスにカウボーイ帽と三分丈のショートパンツ、栗色の髪を丁寧に巻き上げた「ギャルママ」たちが「カワイイ」と歓声をあげたのは、キラキラ光るラインストーンやピンク色のシールで赤い車体を飾り付けたトヨタのハイブリッド車「プリウス」。
記事の見出しにうっかり誤解しそうになるけど、「車はカッコよくない」って言うコメントじゃないワケですよ、重要なのは。
クルマ離れした若者とかいうお題目を掲げておられるのだけど、要はクルマ離れがどうこうとか、ファッションにビンカン(死後)な20代前半の母親がどうこうじゃなくて、単に「プリウス買ってよ」って言ってるだけですよね、このイベント。
以下の部分についてもそう。コメントの切り取り方が滅茶苦茶。
集まった約300人のギャルママの多くはファッションショーを見るために来たという。井上光葉さん(19)は「プリウスはカワイイ」が、「飾り付けをしたまま道路を走らせるわけにはいかないから、ほしいとは思わない」と素っ気ない。3歳の息子と1歳の娘の2人を連れて参加した新井真理さん(26)は「子どもの送り迎えのために車はいつか買いたい」というものの、「ガソリン代も高いし維持が大変」と現実的で、運転免許も持っていないという。
井上さんのコメントは「飾りはかわいいけど、素のプリウスにはキョーミないです」だろうし、新井さんのも「ガソリン代が高いし」っていう部分が実は非常に大事なんじゃないかと。つまり、「ガソリン代も安く上がる(>イメージ)クルマがあったらいつか欲しい」っていうコメントでしょ。
とどめはコレ。2chでも「意味不明」って言われているんですが。
「ボーイフレンドが車で迎えに来たら恥ずかしいと思うし、デートでドライブすることがカッコいいとは思わない」とブルームバーグのインタビューで語り、立ち会ったトヨタ関係者を驚かせたのは、今回のイベントでトークショーに出演した藤田志穂さん(24)。若い女性参加の農業プロジェクトなどで知られる「ギャル事業家」だ。
藤田さんは、今の20代女性に「車は古いもの」というイメージがあると指摘する。20代の若者が物を買う時には、興味を持てること、さらに自分の個性に合っていることの要件が必要と説明した。
「起業」ブームの際はギャル起業でならし、「エコ」ブームの現在は畑を耕しておられる、ビンカン(>死語)な彼女のブログにも
このイベントの記事が出ていました。こちらには内容に触れておられませんが、
前日の日記の方に少し。
エコのトークショーやらせてもらいます
つまり彼女、「エコ」の文脈で話しているんですね。トヨタさんというクライアントに対してあくまでエコの役回りで応えている。
・ボーイフレンドが車で迎えに来たら恥ずかしい
・デートでドライブすることがカッコいいとは思わない
のは既存のガソリンで動くクルマを想定しているんでしょう。要は「化石燃料でなんだか体に悪そうなケムリ出しているクルマ(>イメージ)はエコじゃないわ」と。
・車は古いもの
コレもそういうコトで、裏返せば広告宣伝のベタ過ぎて今や誰もほとんど使わない手法「いま、○○が新しい」っていうキャッチコピーの焼き直し。とりあえず説明はいいから「新しい」って言いきれば客の耳目を引ける、「え?知らないの」っていう類の脅迫商法的売り文句ですよね。つまり「いま、プリウスが新しい」っていう意味。
・興味を持てること
・自分の個性に合っていること
少なくとも藤田さんと会場に仕込まれた300名のギャルママは興味がなく、自分の個性に合わないと考えているのは分かりました。だってエコじゃない上にカワいくないワケでしょ、クルマは。小悪魔アゲハの派生
ファッション誌「iLOVE mama」に広告載せても反響ないでしょうし。
藤田さんも社長やるくらいだからバカじゃないワケで、プリウスを貶めないように、既存のクルマを上手に貶めて、プリウスのようなハイブリッド車やエコカーをけなしてはいない。ただまあ、会場のギャルママはもっと素直なので、プリウスまで「やっちゃって」ますけども。でも、素のプリウス見たって、オヤジセダンがぬめっとしたようにしか見えてないと思いますよ、彼女らには。
オヤジの俺にだってそう見えますしねえ。空力ばっかり気にして、速そうでもなければ、道具感にも乏しい。使用済み電池の捨て方も埋める以外にはリサイクルもできない状況の中、なんでプリウスがエコなのかオヤジにすら分からないですよ。まして「飾り」の有無でどうこういう彼女らは、機関にも駆動にも興味が行かないでしょうしね。でも、現行プリウスをそう簡単にひっこめるワケに行かないのが大企業の辛いところですね。
さらにさらに、アムラックストヨタの塚越富夫企画室長のコメント。
「若者の車離れというが、これまで販売する私たちもこの世代に近づこうとしてこなかった」
好意的に解釈すれば、たぶんデータ主義と教条的エコで宣伝しているハイブリッド車の宣伝が、実はギャルママにはちっとも届いてなかった、とおっしゃりたかったのだと思います。哀しいのは、彼のコメントが結局のところマーケティング手法に対する反省でしかない点。
実際にはガソリン車でも血のにじむような努力を重ね、驚異的な燃費を叩きだしているクルマがいっぱいいるワケですし。特に軽自動車はその急先鋒。残念ながらトヨタさんのラインナップにはないですが。
要はそういう状況の中「いま、プリウスが新しい」っていうダサいコピーを今更言えないから、こういう「仕掛け」を施しているに過ぎないワケですよ。
でも、クルマに興味を持っている、クルマ所有予備軍自体はきっと他の所にいると思うですよ。ただ彼らは様々な理由があるにせよ、今の新車にインセンティブを持てないだけで。なんでオープンスポーツで安くて4人乗れるエコカーが企画できないのでしょうか?まずそこを向いた方がいいはずなのに、なぜギャル?
Posted at 2009/07/29 06:53:47 | |
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