父の死

どうも



昨日、父が亡くなったと連絡が入った。
享年80歳。

自分が高校の頃に母と離婚して以来、30年近く会っていない人だ。


父は酒飲みで、そのせいで家の暮らしは決して裕福とは言えなかった。
酔っ払っては母に暴力を振るい、その度に施設（精神病院）に入院し、子供ながらに肩身の狭いを思いをしていた。
父なんて居なければいいと思っていた。


父との縁が切れたあと、自分も家庭を持ち、幸せに暮らしていると自負していた。





でもいつかひょっこりと父が戻ってきて、この幸せを壊されるのではないかとの恐怖が心の何処かにあった。

そんな恐怖を抱えたまま妻と子供と暮らしていた。






亡くなった一報を聞いたとき、

「ああ、やっとこの恐怖から解放される・・・」


とか、そういこうことは思わなかった。




何も感じなかった。




それくらい長い時間が経っていた。






父は自分と同じ市内に暮らしているらしく、身寄りも無く、ひとり静かに死んでいたらしい。

兄のところに市の職員から、父の死の連絡がった。

そして今日、警察の検死後に火葬が行われ、遺骨を引き取りに来てほしいとの連絡があったらしい。




心臓を患い長く一人暮らしだった父が、せめてもの罪滅ぼしにと、100万円の貯金を自分ら子どもたちに残していったと、市の職員が語っていたらしい。






このまま遺骨を引き取りに行かなければ、無縁仏として処理されることになるのであろう。


父に想うところは無いが、それでも子供としては、なにもしないことはできないと、兄弟で本日話し合って、遺骨は父の生まれ故郷近くの永代供養が出来る墓地へ埋葬することとした。




まだ埋葬の日取りは先だが、これでひとつのけじめをつけたと思いたい。






兄も姉も自分も、父の残した金は受け取りたくないという気持ちでいると思う。





でも、父の子どもたちに何か残していきたいという気持ちを聞いて、今夜は眠れない。




いつもは飲まない酒を、

父が好きだった酒を、

自分の家庭を壊した酒を、




気持ちを紛らわすために飲んでいる自分がここにいる。