再び映画ネタです。
改めて我が家のDVDコレクションを見ていると、B級~Z級映画の多さに驚きます。
「こんなモン、誰が買うんだよ~」という作品を買ってしまう、困った僕なのです。
第2回目のネタは:
ヘアピン・サーカス 1972年 日本
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(C)伯爵
五木寛之原作の短編小説を映画化した作品です。
原作も映画も、殆ど知られていないと思います。
僕がこの作品に遭遇したのも偶然の産物で、それまでは存在すら知りませんでした。
特徴としては、当時現役のトヨタワークスドライバーだった見崎清志氏が主役を演じていること。
01_Misaki posted by
(C)伯爵
ドキュメンタリー作品ではないので、レーシングドライバーが演技していることになります。
でも、見崎氏の人生を諦めたような目付きは、この作品の主人公のキャラ(元々はレーシングドライバーだったが、事故で同僚を死なせたことが原因で引退→自動車教習所の教官をしているが、満たされない日々を送っている)にはピッタリ。
実はハマリ役だったのかも知れません。
他にも、現トムス会長の舘信秀氏(舘会長も当時はトヨタのワークスドライバーでした)が脇役で出演していたり、ジャズヴォーカリストの笠井紀美子が登場したりと、かなり異色のキャスト陣です。
ストーリーをザックリ書くと、
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元レーサー、今は自動車教習所の教官が、かつての教え子(トヨタ2000GTを駆る女子)に再会したとき、彼女は仲間と夜な夜な公道バトルを仕掛けては、相手を事故らせ、撃墜した数をボディーに刻むという遊びに興じていることを知る。
再三止めるよう説得するが、全く聞く耳を持たない教え子と仲間たち。
口で言っても無駄なことを悟った教官は、実力行使を決意、教え子に「お仕置き」する・・・
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みたいな感じです。
何てことないストーリーだし、俳優も素人に毛が生えた程度の面子が揃っているので、映画としてはちょっとどうなの???と思う作品ではあります。
しかし、製作サイドの「クルマに関してはウソをつきたくない」というポリシーが反映されているため、このテの映画にありがちなコマ落とし(スピード感が向上する)は全く使われていません。
それでいてスピード感のある映像に仕上がっているわけだから、相当無茶な撮影をしたものと思われます。
オープニングからして、首都高速でのゲリラ撮影。
02_Opening posted by
(C)伯爵
池尻ランプの入り口みたいですが、この後本線に合流し、早朝の首都高で滅茶苦茶な運転をしてくれます。
トヨタ2000GTの前端部分にカメラ(恐らくパナフレックス)を固定し、一般車
(間違いなく映画とは無関係)を煽る煽る!
03_オラオラ! posted by
(C)伯爵
今だったら、関係者は間違いなく警察に出頭する事態になっていることでしょう。
余談ですが・・・
撮影機材として使われたパナフレックスは、当時としては革命的な小型カメラでしたが、今のレベルでは巨大と言えます。
これをトヨタ2000GTに固定するのも、ハナ先にぶら下げて運転するのも、相当大変だったのではないでしょうか?
また、トヨタ2000GTが全開で走る姿を見られるのも、この作品ならではの部分です。
04_Toyota_2000GT posted by
(C)伯爵
今や博物館にでも行かないと見るチャンスのないクルマに、容赦なくムチ打つという凄まじさ。
撮影当時も、希少なクルマだったでしょうに・・・
でも、全てがホンモノというわけにはいかないようで、マカオGPのシーンでは実際のレース映像と、後から撮影した(ロケ地は読売ランド)ショボい映像のチャンポンになっています。
05_読売ランド posted by
(C)伯爵
↑コレのどこがマカオなのか???
最終的に見崎清志氏がトヨタ2000GT打倒のため、愛車のボロいクラウンを売り飛ばして手に入れたクルマは・・・
06_RX-3 posted by
(C)伯爵
マツダ・サバンナRX-3。
正直、トヨタワークスなのにそれで良いの?と思いました。
でも、フェアレディZやスカイラインGT-Rを使わなかったところに、トヨタワークスの意地を感じたりして。
70年代のレースシーンで「セリカ遣い」として知られる舘会長は、やっぱりセリカに乗っていました。
07_Celica posted by
(C)伯爵
今ではダンディーなおじ様になっている舘会長ですが、
08_21世紀の舘会長 posted by
(C)伯爵
この頃は若かったんですね。
09_20世紀の舘会長 posted by
(C)伯爵
面立ちも整っているし、さぞやおモテになったことでしょう。
舘会長ファンの嫁は、「ガ~ッカリ!」と言っておりましたが・・・
今の舘会長のほうが、数倍カッコイイそうです。
オヤジ好きなので、仕方ないか。(w
最終的に、見崎センセの「お仕置きだ~べ~」攻撃で、トヨタ2000GTを駆る生意気な教え子は・・・
10_絡み posted by
(C)伯爵
ネタバレになるので、この先はナイショにしておきます。
そして、この作品で特筆すべきは、音楽の素晴らしさ。
これはドライブのときに聴きたいぞ!と思い、サントラ盤CDを買ってしまいました。
11_OST posted by
(C)伯爵
全編に渡って菊池雅章セクステットのジャズをフィーチャーしているのですが、その出来が良いのです。
アツい走りの映像に、クールなジャズがとってもマッチしています。
菊池雅章のフェンダーピアノと峰厚介のソプラノサックスの絡みがとてもセクシーで、日野元彦の控えめなドラムスが良いアクセントになっている感じ。久々に「買って良かった!」と思えるCDに巡り会えました。
この映画、間違いなく一般ウケしない作品ですが(公開当時の興行成績もズタボロだったと思う)、僕は独特の世界観が好きです。
前回紹介した
コチラの作品よりは、100万倍マシと言えます。(w
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2009/04/18 23:41:14