
最初に断っておくと、残念ながら試乗車はありませんでした。
先週末の時点で各地で試乗車が出回っていたみたいで、試乗ブログを上げている方も大勢いましたが、自分の住んでいるところの近くのディーラーでは、試乗車は3月4日に登録予定で、系列店舗全てで1台のみ。
しかも、ホンダ本社からの営業向けの説明会が1月に開催された際、ちょうどそのディーラーの全社員出席のミーティングと重なってしまった為、CR-Zの運転をした事がある人はそのディーラーでは1人もいないというていたらく。
作っている場所から50km程度しか離れていないんだから、もっとしっかりしてよと言いたい気分。
三重県でも、より鈴鹿に近い北部の別系列のディーラーなら試乗車があったのかな?
でも、この日は時間が無かった為、別のディーラーに行っての市場は断念。
とりあえず見るだけ見てきました。
外観は…前から見ると、実際の寸法通りコンパクトに見えるけど、後ろから見るとそれなりに大きさを感じます。
よく言えば最近の車らしい塊感がある、悪く言えばずんぐりむっくりって感じでしょうか。
少なくとも、昔のCR-Xや国産ハッチバックのシビックのようなコンパクトさは感じられませんでした。
リアハッチを開けてみると、想像していたよりかは大きなスペーズがあります。
少なくとも、JZA80型スープラやFD3S型RX-7、V36型スカイラインクーペ(そんなに狭いって訳じゃないけど、セダンだとちゃんと深さがあるのに、排気系の取り回しの影響でか浅底になっている)のような、実用面を考えるとありえない浅底感はありません。
リアシートを倒す事も出来るし、フロアのカバーを上げるとちょっとした収納スペースもありました。
フロア下にはバッテリーと、パンク修理キットやジャッキやレンチなどの車載工具もあります。
助手席側のドアを開けて覗き込むと、シートの肩付近にはワンタッチで倒せるレバーがあります。
(運転席側にはありませんでした)
早速倒してリアシートを覗いてみると…
…狭い、ありえないくらい狭い。
足元スペースなんか、皆無に等しいです。
助手席をスライドさせてリアに足が入るスペースを確保すると、今度は助手席が窮屈になります。
実際にリアシートに座ってみると、頭上スペースもかなり狭い。
首からどころか、腰から前かがみにならないと座れません。
自分がもしホンダの営業マンで、この車の試乗希望者が2人でやってきた場合は、全力で同乗を拒否しそうです(苦笑
この車のリアシートには、安全面的にも人を座らせるべきではないと思います。
事故をおこした時の危険性って意味だけでなく、普通の移動時に体に負担がかかるって意味で。
この車を買う人は、便利な手荷物置き場つきの2シーターと思って割り切って買うべきでしょう。
そう思いさえすれば、2シーターよりかは便利でしょうし。
次に運転席に乗り込んでみます。
運転席から見えるダッシュボードは、なんって言うかサイバーチックですね。
個人的には、もっと落ち着いた趣向のデザインの方が好みで、気恥ずかしくも感じますが、この車の雰囲気には合っていると思います。
でも、ホンダとしては、元々の購入層を昔スポーツカーに乗っていた40代前後と想定していたのに対し、実際には20代の購入比率が高いらしいですが、このデザインを見るかぎり、確かに40代向けとは思えず、若者向けに感じます。
メーターのアップ
これまた気恥ずかしい…と言うか、個人的にはブルーのイルミって好きじゃないです。
ここ10年の日本車では、高級車のクラスでも平気でブルーイルミを多用してくるのがたまったもんじゃないです。
でも、これまたこの車の雰囲気には合っていると思いますし、好みは置いといて作りや形状も凝っていると思います。
展示車には、メーカーオプションのナビゲーションシステムが装着されていました。
ホンダのインターナビのシステム自体はすばらしいと思います。
でも、インサイトもそうなんですが、今時WQVGA(480×234ドット)なんですよねぇ。
しかも、メーカーオプションナビなのに、パネルと一体感のあるデザインじゃないDINタイプだし。
まぁ、WVGA(800×480ドット)やパネルとの一体化をするとコストが高くなるからでしょうが。
でも、例えばトヨタの高級車向けのメーカーオプションナビとかだと、高機能版と通常版の2種類から選択できたりしますから、そういう高機能を求めるユーザーに対しての選択肢も用意してくれるといいと思うんですが、どうでしょうか。
そして、この車で一番気になった(気に入った)ところ。
あ、インナードアハンドルの事じゃないですよ。
確かにデザインは凝っていると思いますが、実用面ではちょっと指先がかかりにくそうだし、特にアウタードアハンドルなんて、デザインに懲りすぎたせいでか実用面では終わっていると思いますから。
で、気に入ったのは、内装の質感です。
残念ながら硬質樹脂ではありますが、まぁそれはクラスを考えたら仕方の無い事。
ホンダの場合(にかかわらず)、2.4リットルエンジンを積むクラスでも硬質樹脂を多用してますし。
バブルの頃は、1500ccの車でもソフト素材を多用していましたが、バブル崩壊後はコストダウンとリサイクルのし易さもあって、硬質樹脂が多用されるようになりました。
そして、昔はそれらの表面処理は革風のシボとなっていたんですが、最近のコンパクトクラスでは、それすら開き直ってただの格子模様やエンボス模様となってしまった車も増えてきました。
まぁ、革風のシボ=高級って考え方自体が古いのかもしれませんが(汗
でも、確実に革風のシボの方が金型製作に必要なお金はより多くかかりますよね。
この車、全体がちゃんとした革風のシボになっていました。
表面も、ソフト感を演出する塗装処理っぽいものが使われている感じです。
シートなども、素材の好みはともかくちゃんと体にフィットする、そこそこボリュームのあるものでした。
他の細かなパーツも、実用面は置いといて、手間がかかっていそうな表面処理、デザインです。
実際にコストがかかっているのかどうかは置いといて、こういう、ユーザーにお金がかかっていそうと思わせる努力が各所に現れているところが、最近の車としては凄いと思います。
この車の試乗ブログを拝見すると、よく『高過ぎる』って意見が目立ちますが、自分としては逆に、この質感を出すためにこの価格になってしまったと思えば大歓迎です。
この15年、デザインは悪くないけど、価格が上がってもいいからもっと素材と質感にお金をかけてくれれば…って思える車を何台も見てきましたから。
ただ、実際に購入するとなるとどうでしょうね。
この車のデザインを気に入り、とにかく最近の流行からハイブリッドに乗りたい、よくわかってないけどスポーツカーって物に乗ってみたい、このデザインの為なら、使い勝手の悪さなんて我慢できる、って若者には是非とも購入してもらいたい、売れてもらいたいですね。
日本のスポーツカーの復権の足がかりにもなりますし。
ただ、個人的にはこういう車がハイブリッドである必要があるのかなぁとも思ったり。
そのあたりは実際に試乗してみないとわからない話ですけれども。
少なくとも自分が買うとして、もしハイブリッド仕様以外に、B16Bエンジンを積んだ仕様があったとしたら、即答で後者を選択すると思いますw