カービュー主催のミシュラン Primacy3の試乗会に参加しました。(MICHELIN応援団を養成する!? 特別な試乗&座談会)
以前、ミシュランのタイヤモニターに応募しましたが、落選していたので、今度こそと思って、一生懸命作文して応募したところ、当選しました。
以下、当日のレポートです。(長文になってしまいました)
当日は、御殿場のココスのモーニング(バイキング)で、腹一杯にして、8時過ぎに富士スピードウェイに到着しました。
見たことのある赤のGTIが停まってました。
みやもっちゃんさんも当選されていたようです。(ちょっと前のブログを読んでもしかしてと思ってましたがやっぱりそうでした)
1. 試乗会編
9時から試乗会のブリーフィングがありました。特別講師としてジャーナリストの清水さんと石井さんが参加されてました。(
石井さんは2010年のVW エコドライブチャンピオンシップ以来でした)
座談会のコーディネーターとしてサトウさんも参加されてました。
スラローム、定常円旋回、ダブルレーンチェンジのコースが準備されてました。定常円の一部は散水車によりウェット状態になります。
試乗車は、アルファード2台に他社のXタイヤ(高級タイヤのミニバン用。大人の事情で商品名を書けないそうで・・・)とPrimacy3が装着されてます。(午後からのPilotSport3の試乗車は86のようです)
また、Primacy3が装着されたGolf7もあります。
ジャーナリストでも他社のタイヤとの同条件での比較はなかなかできないそうで、貴重な体験ができそうです。
まず、アルファードに同乗して、ジャーナリストの運転でコースを試走します。私は石井さんの運転でしたが、2列目の真ん中の席に座ってしまい、ミニバンの洗礼を受けることに。「ステアリングのギアレシオがスローなのでいつもより大きくハンドルを切ってください」と説明を受けながら、前席のシートバックを持って体を支えるのに必死でした。180kgの重りを積んであって、フル乗車に近い重量のため、ロールしまくりで、ちょっとスピードを上げるとすぐにスキール音がします。(後席に乗って、飛ばされると大変なのがよく分かりました。)
次は、いよいよ試乗です。
Xタイヤのアルファードの2列目に乗って、他の参加者が2周運転、その後、他の参加者を乗せて自分が2周運転です。アルファードにはインストラクター同乗で、合計3人乗車です。
次にPrimacy3のアルファードに同乗で2周、運転で2周です。
Golfは一人で乗車して2周です。
(1) Xタイヤ
まず、Xタイヤでの試乗です。ミニバン初体験だったので、まず、ミニバンに面食らいました。
スラロームで車の向きが変わらないのでハンドルをさらに切ってしまい、次のパイロンに向かって切り返すと揺り戻しが大きくなって、とっちらかってしまいました。定常円はどこまで行けるのか掴みづらく、恐る恐るアクセルとステアリングを操作するといいう感じでした。
ダブルレーンチェンジもスラロームと同じくとっちらかってしまいました。インストラクターからは、「ハンドル切り過ぎてますね」とアドバイスがありました。(だって曲がらないんだもん)
2周目は慣れたのもあるかもしれませんが、少し落ち着いて運転できました。やっぱりどこまで行けるのか分からない印象は変わらず、不安感が強いままでした。ウェットの部分もそんなに印象が変わらなかったですが、後から思うと、スピードがそんなに出てなかったのではないかと思います。
(2) Primacy3
続いて、Primacy3のアルファードです。スラロームではハンドルの切り始めから車の向きがちゃんと変わる印象があり、随分とコントロールしやすいと感じました。(慣れも大きいかも)。ただし、こちらの車は、スロットルのレスポンスがちょっと悪かったです(CVTの制御か、制御モードが違ったかもしれないです)。
定常円は限界がわかりやすく、安定感がありました。スキール音がし始めて、さらにスピードを上げても変化は穏やかです。ハンドルを切ったところで舵角が一発で決まり、ハンドルでの修正も少なくて済みました。振り返ると、Xタイヤよりもスピードが上がっていたのではないかと思います(メーターで確認する余裕はなかったです)。ウェットの部分も外に持って行かれることもなく、そのままで通過できます。ダブルレーンチェンジもXタイヤよりは安定してました。
(3) Golf 7 + Primacy3
次は、Golf 7です。フル乗車相当のミニバンと比べてしまうと当たり前ですが、こんなに曲がってくれるのという印象です。スラロームはやりやすいし、定常円は、どこまでいけるか試してみようという気にさせてくれます。ダブルレーンチェンジも全然余裕でやりやすかったです。タイヤの状況がわかりやすく、安定感があり、安心して車を操作できます。ミニバンで恐る恐る乗っていたのとは違い、楽しくなっちゃいました(多分、ニヤニヤしてたと思います)。
グリップは、これだけできれば十分でしょうという感じでした。(今、自分の車で使っているPS3は、自分にはToo muchという結論が出ました。)
それにしても、Golf 7は本当にイイ車です。しみじみ実感しました。
(4) 走行後の解説
走行後にタイヤの状態を確認しながらの解説がありました。
Xタイヤの前輪は、段減りがかなり進んでしまってました。(事前の確認を含めると30周ぐらいコースを走っているかもしれませんが、こんなに減っちゃうのという印象も)。写真を見返すと、ショルダー部のサイプが消えかかってますね。
大人の事情でモザイク写真です。(写真だと段減りはもともとよく分からなかったかも)
それに対し、Primacy3の表面は、均等なままで、さらっとした状態でした。
(バイクのタイヤだと、パイロットロードなどのツーリングタイヤの表面に似てます。峠を走ってもさらっとしたままで、粘着的な感触がない)
この結果から、Primacy3の方が路面にきっちりと接触していると言えます。
Xタイヤは、タイヤが荷重に負けてトレッドやサイドウォールの変形が大きくなってしまったか、ブロックの剛性が足りず変形してしまったかでしょうか。(ミニバン用としてふらつき・偏磨耗抑制が製品の特徴となっているのですが)
ミシュランタイヤのイメージは軽くてしなやかというものでしたが、ミニバン用のタイヤよりも、しっかり大荷重を受け止める剛性を持ち、路面にしっかりと接地させる構造を持っているということがわかりました。一般道での乗り心地は試せてませんが、しなやかさが保たれているのであれば、乗り心地も良い(悪くない)ことが期待できます。しなやかさと剛性の両立が実現できていると言えるのかもしれません。Primacy3のカタログ情報を改めて確認すると、スタビリティ-コンタクト テクノロジー、スタビリティブロック テクノロジーとして、ワイドな接地面の採用やブロックの倒れこみを防止する設計になっているようです。今回の試乗でこれらの技術が有効に機能していることがわかりました。
タイヤの表面温度はPrimacy3の方が高かったです。これも触ってわかるぐらいです。Xタイヤは温かいという感じに対し、Primacy3は熱いという感じでした。(走行後の時間はXタイヤの方が10分ほど長いはずですが、内部の温度はあまり変わらないと思います。)
清水さん曰く、タイヤの放熱性がよいということだそうです。(タイヤのエンジニアから聞いた話とか)
スラロームや定常円、ダブルレーンチェンジで散々タイヤを変形させているので、タイヤの内部の温度(充填された空気とタイヤの構造体)は十分上がっているはずです。
タイヤ内部から表面までの熱の伝わり方が全然違うということですね。ミシュランのタイヤは、タイヤ内部の熱がトレッドのゴムまでしっかり伝わって十分に温度が上がるので、グリップ重視の柔らかいコンパウンドじゃなくても、十分なグリップを発揮できるということだと思います。(トレッドの温度が上がらないタイヤは、グリップを上げるには柔らかいコンパウンドを使うしかない。その結果、耐久性が落ちる)
[2015/1/25追記]
Xタイヤの方が剛性が足りなくて、段減りしていたと考えましたが、Primacy3の方がサイドウォールが柔軟で、荷重がかかった際にサイドウォールがちゃんと撓んでトレッドが路面と正対するから段減りしなかったのではないかというのが正しいと思うようになりました。タイヤの変形が大きいから発熱も多く、トレッド表面温度も上がっていたと解釈できそうです。(放熱性が良いというのも効いてはいると思います。)
一方のXタイヤは変形が小さくなるよう(ふらつき低減などのために)サイドウォールの剛性を挙げた結果、トレッド面が路面に正対せず、すべてのしわ寄せがトレッド面に集中した結果、段減りになったということでしょう。タイヤの表面温度が上がっていなかったのも、タイヤの変形が小さく、発熱が小さかった結果と考えると辻褄が合いそうです。
2015/1/25にPS3からPrimacy3に交換しました。
[追記ここまで]
余談ですが、バイクのタイヤで言われるのは(バイク雑誌のライダーズクラブの受け売りです。車も同じだと思いますが)、タイヤの温度を上げるのは、タイヤを変形させることで行うということです。(加速や減速でタイヤを揉む)
タイヤの表面の摩擦だけではタイヤ全体の温度は上がらないです。
(F1のようにスタート前のバーンアウトで最後に表面に熱を入れるというのはありますが。)
ミシュランは、温度が上がってグリップが出るコンパウンドを使っているということで、ちゃんとタイヤを揉んで温めないといけないとも言われてます。(特に冬場は気をつけないといけない)
2. 座談会編
場所をピットの2Fの部屋(クリスタルルーム)に移して、座談会となりました。
8人の参加者がそれぞれ感想を述べ、ジャーナリストや、ミシュランの方からコメントをしてもらうということで始まり、最後は質問大会になりました。
以下、コメントでこれはと思ったものです。(大人の事情で、書けない面白い話、考えさせられる話がいっぱいありました。)
・ラジアルタイヤが実用化され、トレッド剛性が上がり、パターンを刻めるようになった。スチールベルトは、トレッドを安定させるために、不可欠。(ミシュラン)
・レースでも転がり抵抗が小さいのは大事。(トップスピードが上がる)(ミシュラン)
・PS3もスポーツタイヤの中では圧倒的に転がり抵抗が小さい(ミシュラン)
PS3でのエコドライブもありと言えるかも。
・ヨーロッパは社会が大人。環境と安全は、タイヤのファンダメンタルな性能として認識されている。(清水さん)
・ミシュランは、全ての性能に妥協しない。(ミシュラン)
・ミシュランは車種に特化したタイヤや、ある性能だけずば抜けて良いタイヤ作りはしない。(ミシュラン)
・相反する性能の両立を実現できつつある。ドライ性能とウェット性能、ハンドリングと乗り心地など。(清水さん)
・いいタイヤは車を選ばない。(ベンツはタイヤを選ばないとも)(清水さん)
・タイヤをきれいに接地させることが大事。均等に減ることは、長持ちにつながる。(試乗で現実を目の当たりにしました)(ミシュラン)
3. おわりに
今、履いているPilotSports3は、来年の1月の定期点検時に交換する予定です。PS3のグリップは自分には必要以上のレベルだったので、燃費やコンフォート面に振った方が良いと考えてます。Primcy3は、それにピッタリと思ってましたが、燃費重視でEnergySaver+も考えていました。今回の試乗会で、Primacy3にすることに決めました。
候補だったタイヤを試すことができ、その性能を他の商品との比較を通して身を持って理解できるという貴重な体験ができました。また、貴重な話も聞けて、非常にためになりました。
今回のお土産です。
ミシュランマンのぬいぐるみとエマージェンシーキット、ステッカーでした。
最後に、貴重な機会を提供してくださったミシュランの方々、カービュー事務局、ジャーナリストのお三方に感謝いたします。