フランソワおじさんのブログ一覧

　今から２年８か月前に起きた故障を思い出した。
　それは、納車後、４か月ほど経ったある深夜、都内走行中に急にステアリングのパワーアシストが失われ、重ステになってしまったことである。
　トラクション・コントロールの警告灯が点灯し、タイヤの空気圧低下を報せるランプも点灯した。
　車を路肩に寄せ、外灯の暗い光の下、エア・ゲージで空気圧を確認したが正常であった。
　再び走り出したが、アシストの無いステアリングを切るのには、かなり腕力を使い、クイックな操舵も出来ないので制限速度以下でノロノロと走った。
　幸い深夜で交通量はかなり少なく、また都内の西早稲田から自宅までの１１０㎞の間、コーナーも少なく、ステアリングを回す回数も５回！と驚異的に少なかったことにも助けられた。
　翌朝、一番にディーラーのサービスへ連絡し、即入院となった。
　原因はステアリング・ギア・ボックスの故障とのことで、ユニット交換となり、あっさり発症の翌々日には復活となった。保証期間内の無償修理とはいえ、聞けば、その修理費はけっこう良いお値段であった。

　何故、そんなことを思い出したかといえば、今回、初めての車検を迎えるにあたり、新車３年間の保証が切れるので、今後起こるかもしれない故障について、つらつら考えていたからである。
　はたして、同様レベルの故障が起きるや否やである。
　というのは、ディーラーから新車保証の２年間延長プログラムの案内があり、加入のことで迷っていたためでもある。
　延長保証の費用は（私にとって）馬鹿にならない額であり、費用対効果（コストパフォーマンス）のことや故障の起こる可能性を考えていた。
　サービスの担当者氏に尋ねると、「今まで加入した人を担当したことはない」とか、「最近の車は壊れなくなりました」といった発言もあり、「じゃあ、大丈夫ですかね？」と尋ねると、「いや、ごくまれに起きる場合もあります」という。

　思わず、「ギャンブルですねえ」というと、担当者氏は少し考えてから、「そうですね」と答えた。

　たしか、「保険」の発祥は英国であり、元々はギャンブルから派生したものであったことを思い出した。

　大きなトラブルが起きてからの２年８か月は致命的な故障はなかった。テール・ランプが外れたことと、シフトレバーがグラグラになったことくらいである。

　しかし、やはり決して脳裏から去ることのなかったのは、実際に起きた最初のビッグ・トラブルであった。

　結局、２年間の新車延長保証プログラムには入ることにした。

　３２０ｉが初車検のため、例によって車検が済むまでサービス・センターから代車を借りた。
　今回の代車はマイナーチェンジ前の“１１６ｉスポーツ”（DBA-1A16）である。
　火曜日の夜の仕事帰りから金曜日の仕事帰りまで９０キロ弱ほど走ったのだが、ホイールベースが２，６９０ミリのせいか小回りの効く、とても扱いやすい車であった。
　最小回転半径は（スズキ・スイフトより小さい！）５．１メートルのため、車庫入れも気を遣わなくて楽チンだったし、特にワインディング・ロードでは自由に軽く振り回せる感じで、むしろ３シリーズよりもスポーティな印象で楽しめた。
　また、走り出しでも１．６ℓの割には思ったよりトルクも感じられたし、燃費もボード表示でリッター／１３．８キロでまあまあであった。
　いつも乗っている３２０ｉに比べて、今一つに感じたのは車内のノイズと乗り心地、そしてオーディオの音であった。やはり、サスとボディは３シリーズの方が明らかに格上である。
　しかし１シリーズも今年、マイナーチェンジされているので、その辺りについては現行モデルでは改善されて差を詰めているかもしれない。
　もしそうならば、フロント・フェイスもＭＣ後はより好みになってもいるので、ふと次はこれで十分ではないか！？、と思った。

　少しくたびれてしまったこともあって、自宅から高速道路を使えば１時間以内にチェックインすることができ、なおかつ少し遠くへ来た感じも味わえる谷川温泉を再訪した。
　谷川温泉は比較的メジャーな温泉地である水上温泉のほんの少し奥の山あいにある静かな温泉である。
　今回泊まった宿は、一度は訪れてみたいと思っていた別邸 仙寿庵である。
　温泉は源泉かけ流しだが泉質自体はサラッとしたごく普通の印象であった（むしろ、同じ谷川温泉のＭＫ山荘のお湯の方がぬるぬる系でより温泉らしい気もした）。
　しかし、さすがに評価の高い旅館のせいか、サービスは至れり尽くせりで、これまで訪れた旅館の中でも特に抜きん出たものであった。
　サービスでびっくりしたことはいくつもあったけれど、最後の最後であるチェックアウト後に愛車のフロントとリアの窓を拭いてくれたことと、１００メートルほど走り出してから何気なくルームミラーを覗いてみたら、スタッフの皆さんが手を振って見送ってくれていたことである。
　また、この旅館の良さの一つはチェックインの時間が午後１時からなので、訪れた日の午後はフルにノンビリしてくつろぐ時間を持つことができたことは特に有り難かった。
　時は秋、山々の紅葉も進み、青空の下で温泉に入りながら午後の日差しに照らされた紅や黄色の色彩を眺めていると、体と心が少しづつ楽になっていくように感じた。

　～下は旅館のロビーから見た谷川岳～