前回までに艦橋が概成したので、今回は後部甲板室を作ります。
基本構造は壁面2パーツの貼り合わせに天井部を載せる形で、細かいモールドが精緻にされており、形状・サイズとも大きな問題は見当たりません。
と思ったのですが、よくよくチェックしてみると、いくつか課題が発見されました。
まずは探照灯台の高さ。
竹の場合、甲板室天井面から少し上がった高さに探照灯台が設置されていますが、後期に建造された楢は竹より低い位置に設置されています。
また機銃台についても竹は天井面より少し上がった位置ですが、楢は天井に直接設置されています。
桑は比較的初期に建造されたので、探照灯台、機銃台とも竹と同様の設置だったのではないでしょうか。
キットパーツは、機銃台は竹の状態を再現していますが、探照灯台は機銃台より少し低くなっているので、プラ材で高さを調整し同レベルにしました。
また竹の探照灯台の下には僅かな凸があるように見えます。これは探照灯台を後部マストから少しでも遠ざけることにより照射範囲を少しでも拡大するため、甲板室前面の壁上に探照灯の中心軸が来たことにより、半円型の支柱が必要になったものと思われます。ヤマシタホビー・タミヤともこの半円は再現していませんが、実はフジミの旧キットは再現しています。
これらの考証に加え、竹図面を基に必要な工作を行いました。
次は中央部機銃台です。
以前の記事にも記載しましたが機銃台支柱断面は円柱ではなく、右舷は十字形で左舷は前半が半円・後半が十字形となっているので、そのように作り変えました。
同時にブルワークも薄く削り込みました。
次は魚雷発射管です。
キットパーツは松型の発射管の形状は極めて正確に再現しており、修正点が見当たりません。
魚雷は装填状態をきちんと再現していることに加え、シールドの右舷側前方下部に発射管回転用ギアボックスが再現されたのは驚きです。
ただ今回は第7次オルモック輸送時を再現するので、魚雷は4本とも発射済みの状態とします。よって、せっかくモールドされている魚雷のみを削り取りました。
次に船体各部のディテールアップを行います。
まずは甲板全周に手すりを設置するため、支柱を配置するための穴を開けます。
3mm間隔で印をつけたマスキングテープを舷側に貼り付け、その位置にまち針で下穴を開けてから0.2mmピンバイスで開口します。
極めて狭い場所へ正確に穴をあける必要があるので、ヘッドルーペがないと不可能な作業でした。
この後、図面などを基にして甲板上に各種装備品を設置しました。
揚貨機はヤマシタホビーから出ているアフターパーツから持ってきましたが、図面にも明記されている装備なので、なぜキットに入っていないのか不明です。
また野菜庫の位置や形状は図面ベースですが、どんな色だったか不明です。艦内でなく陽の当たる甲板上にあるということは冷蔵・冷凍機能はないでしょうから、ジャガイモや玉ねぎなどを保管していたのではないかと思います。仮にそうだった場合、風通しはよくする必要があるので、壁面にはスリットがあったはずですし、材質も金属だと熱くなるので木製だったと推測します。
だとしたら甲板色で塗ったほうがよかったのかな…。
艦尾付近の考証の中で、樫の写真を分析したところ、リールや通風筒の位置や形状が図面ともキットとも異なると分かりました。
これを作品に反映させるか悩みましたが、前向きの通風筒は不自然であり解体前に臨時設置された可能性があることや、桑がどのような状態だったか明確な資料がないことから、とりあえずインストの指示を尊重することにしました。
また一番主砲前の波除けの形状はキットパーツはこのようになっています↓
しかし写真及び図面では若干異なる形状となっていることが分かります。
これは他の同型艦でも同様の形状であることが確認できます。
よってプラバンを使って修正するとともに、その両側に低い波除けも設置し、操作フラット両端の折り畳み部を薄く削りました。
(高い方の波除けは厚みがあり過ぎると感じたので、このあと薄く削って設置し直しました。)
さてここまで作業が進むとフネとしての形がだいぶ見えてきました。
ジオラマも含めた完成はまだ時間が必要ですが、フネ本体だけでも年内には完成させたいものです。
Posted at 2021/11/14 22:24:39 | |
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