一つ前に書いた記事の時点と比較して動きがあったみたいなので追記しておきましょう。あの時点で報じられている限りでは犯
人のウォレットにマークをしてこう着状態になっている状態でしたが、その後に
犯人が事件とは関係の無い多数の第三者のウォレットに小額のNEMを送金していたようです。
仮想通貨そのものに印をつけることは出来ませんが、その入れ物であるウォレットに印を打つことは出来、そのウォレットから出金があった場合に出金先にも印が打たれて追跡できるというところまでは前の記事でも理解した訳ですが、今回の犯人側の動きは
「捜査のかく乱」が目的なんでしょうね。監視する対象が増えれば増えるほど捜査は大変ですし、そこから多数に分岐してどんどん取引がなされればもう
お手上げになっちゃいますからね。現状は主要な取引所は犯人のウォレットはもちろんの事、犯人のウォレットから送金のあったウォレットを取引の対象からはずすようにして追い詰めようとしていますが、
送金先が無数に増えてしまうと取引の多くが麻痺してしまうという恐れがあるわけです。
一刻も早く犯人を検挙してしまうことが大事ですね。
でもね、実際のところ犯人の検挙って難しいみたいよ。
こういう仮想通貨ってのは
ウォレットまでは特定できても所有者本人にはたどり着けない匿名性の高さがキモなんだそうだ。実際のところ今回の事件でもウォレットは特定出来てるし、そこからのNEMの動きだって全て特定できてるんだけど
「誰が?」ってところは匿名性の壁に阻まれてるのね。変な話だけどさ、この匿名性が破られて、仮に
犯人はこいつです!って出来ちゃった場合は
それはそれで仮想通貨の世界としては問題があるって事のようですよ。そもそも不可能なことではあるけれど、もしも仮に「絶対にこいつだろうぉ」って状況証拠が出てきたとしても、
こいつが怪しいですって突き出すことが可能だぞってシステムであることを認めてしまうとこの世界自体のルールを否定してしまうという事になっちゃうわけよ。まぁ、事実上
「金持ちの金持ちによる金持ちの為のマネーロンダリングシステムもしくは税逃れシステム」と呼ばれる所以なんでしょうけどね。この事件でも犯人が特定出来て検挙できて元通りの場所に通貨を戻して追跡用のマークも解除して通常の取引状態に戻るのが最も最良のハッピーエンドなんだろうけれど、
残念ながらそのエンディングへ行くためのフラグはすでに消失していますね。ていうか、無理ゲー。そのエンディングはもともと攻略不可能な幻のエンディングですわ。マウントゴックスみたいに横領罪で捕まえられるような証拠でもあれば別ですが、そういうのとは
今回は違うみたいですね。
じゃぁ、今回のコインチェク消失事件に関して
現実に起こりえる今後の展開を想像してみようか。
とりあえず、犯人を捕まえることが出来ないところまでは確定。
その場合、まず
世間様が疑うのは「内部犯行」及び「内部に協力者がいる」という可能性。これは犯人が捕まらない限り
肯定も否定も出来ずにずっとモヤモヤと残っちゃう疑惑となる。実際にマウントゴックスは内部犯行の可能性が高いとされて会社そのものが消失したし、結局元社長が逮捕された。今回のコインチェックの場合もそういう流れになる可能性はゼロでは無い。逮捕者が出ないとしても会社が存続できなくなるというケースは十分に考えれれる。たとえ内部犯行でも無く内部に協力者なんていなかったんだ~と言ったとしても、それを証明することが難しい以上は逆風はすさまじいものになるだろう(いわゆる
悪魔の証明は不可能ってやつ)。
それに耐えられるような会社の状況であるとは考えにくい。
次に、
犯人が盗んだ通貨の今後だが、現時点で
多数の第三者にばら蒔かれて
追跡のかく乱に使われているのは日本円にしてひと口あたり数千円程度のものだ。数百億円の中からすれば僅かな金額だ。でもこれを
とてつもなく多くの無関係のウォレットに動かしてしまうと当局の監視の網がどんどん大きくなる。そして動かされたウォレットから
第三者が悪気無く通貨の移動(たとえ小額でも)をしてしまうとさらに監視対象が増えてしまう。ウォレットへのマークは
移動先にも伝播するようになっている仕様だから、
ネズミ算式に増えた監視対象は人間が手作業でチェックできるレベルではなくなってくるから自動化プログラムで
大幅に監視対象への移動制限を課す必要がある。そうこうしているうちに
NEM全体の取引に支障が出るレベルにまで広がってしまうと最終的には結局マークによる
移動制限の解除を迫られる時期がやってくる。それまで犯人は
「塩漬け」にして置くのだろう。それこそ一口あたり数千円の送金を1億円分バラまいてもまだ数百億円分手元にあるわけだ。そしてとてつもなく
多くの第三者を巻き込んで、そしてその第三者からの
通貨の移動を受けた先、またその先、その先とマークを広げて自分の隠れ場所を広げるのだ。
木を隠すには森という言葉があるが、まさにその通りだ。
まぁ、間違いなく
仮想通貨バブルに水を差したよな。
ブロックチェーン技術とそれに紐付くセキュリティ技術は今後の成長分野だから仮想通貨がどうとかそういうのだけに捉われずに
世界に遅れをとってはいけないんだけど、そういう面から見ても
マイナス要素になっちゃったという時点で罪深いや。
とりあえず、しばらくは状況を見守るしかないみたいですね。あと、くれぐれも心当たりの無いNEMの送金を受けた方は「ラッキー」と思わずちゃんと状況を確認して冷静な判断をしないとダメみたいですよ。
Posted at 2018/01/31 22:19:47 | |
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