ご存知のように、今回の熊本地震の被災地への物資輸送で米軍のオスプレイが使われた。これは日本国内で最初の災害対応での運用例になる。この件に関するマスコミの報じ方に温度差があるみたいなので比べてみた。
ともに4月19日の新聞朝刊である。
まずは中日新聞
そして読売新聞
それぞれの主張を簡単にまとめると
中日新聞
「オスプレイは事故が多い機体であり、そんなモノを使わずに自衛隊のヘリを使いやがれ。どうせ日米両政府の思惑優先のアピールだろ!」
であり、
読売新聞
「オスプレイは不安視する声もあるが実は優秀な機体だ。海外でも災害対応で使用された実績もある」
といったところであろう。
どう考えても
中日新聞の論調はおかしいよな。主要な国道が寸断されて陸路での輸送が難しいケースもあり、こういう非常時には
少しでも多くの輸送手段が必要になる。
多くの場所へ速く運べと声を出す一方で優秀な輸送手段を否定するのはいかがなものだろうか?
一方の
読売新聞のほうも、実はおかしい。輸送能力の高さをアピールするために
MV-22オスプレイの比較対象に選ばれたのはCH-46。たしか自衛隊では
全機退役したはずで今更比較の土俵に引っ張り出すのはどうなんだろうか(米軍でも僅かに残るだけで隊員輸送に限定的に使われるだけ。よく見かける輸送ヘリはコレじゃない)。
比べるのであればCH-47チヌークと比べないとだめでしょ。確かにオスプレイはチヌークと比べて
積載能力は1割ほど少ないが、
速度と航続距離で圧倒的に上回る。つまり、短時間に多くの場所へ沢山の物資を運ぶことが出来るという意味で
現在日本国内を飛行できる航空機の中では最善のチョイスになるはず。そのあたりは
丁寧に説明しないとダメだと思う。
どっちにしろ、中日新聞にしろ読売新聞にしろ
各社の「思惑」が最優先にあるが故に
事実を伝えるという本来の業務がおろそかになっているのではないか。そして、それは
政治家の皆さんにも言える事。オスプレイが大活躍する一方で
現地に派遣可能な自衛隊のCH-47はまだ十分にあるという話もある以上は
「政府によるオスプレイの実績作り」と思われてもおかしくない。それに、
今回の地震をここぞとばかりに政権批判の材料に使おうとする野党には本当にうんざりだ。
今もなお、所によっては
物資が不足しているところも多くあるという。いわゆる
「支援格差」が生まれてきている。こういう時には
物流のプロの出番のはずなのだが、そういう話が全然出てこない。
非常時には「それぞれが得意な力を持ち寄って支えあうのが大事」だと思う。だからこそ、最高の航空輸送力を持つ米軍のオスプレイの力を借りたわけだ。その理屈で言えば、
普段は机でふんぞり返ってボールペンより重いものなんて持ったことの無いような公務員のオサーンらがあたふたしても、今回の様に物資の拠点で
物流がストップして被災者に物資が届かないという事態になる。今日辺りからボランティアを受け入れるとのことだが、マンパワーを少々投入しても効率の悪い物流を改善することは出来ない。
既存の物流企業が持っているノウハウを少しばかり拝借できないものかともどかしく思う。やはり何事も
適材適所なんだよな。
だからこそ、マスコミには
「事実を伝える」という本業を全うして欲しいと切に願わざるを得ないです。
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地震 | ニュース
Posted at
2016/04/20 08:50:31