千葉日報オンライン 4/14(金) 18:52配信 の記事より
運転支援機能を搭載した日産のミニバン「セレナ」を試乗した客にブレーキを踏まないよう指示して事故を起こしたとして、千葉県警交通捜査課と八千代署は14日、八千代市内の日産自動車販売店の店長男性(46)と同店の営業社員男性(28)を業務上過失傷害容疑で、試乗した客のトラック運転手男性(38)を自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで、千葉地検に書類送検した。運転支援機能を搭載した車両の事故は全国で初めて。
書類送検容疑は、営業社員男性は昨年11月27日午後4時50分ごろ、セレナの試乗に来たトラック運転手男性の助手席に同乗。店舗近くの八千代市大和田新田の市道で、アクセルやブレーキ、車線保持などの運転を支援するクルーズコントロール機能が危険を検知して自動停止すると誤った認識のまま、運転手男性に「本来はここでブレーキですが、踏むのを我慢してください」と指示。男性はブレーキを踏まず、信号待ちしていた乗用車に衝突。乗っていた30代の夫婦に全治2週間のけがを負わせた疑い。
同社ホームページによると、セレナは、高速道路での運転を支援する「同一車線自動運転技術」と危険を察知して自動でブレーキがかかる「エマージェンシーブレーキ」を搭載。交通捜査課によると、本来は車両の単眼カメラで危険を察知して自動ブレーキがかかるが、事故当時は夜間で雨が降っており、追突された車は黒色だった。セレナに故障や異常はなく、同課では「対向車の前照灯など道路環境や天候が重なり、自動ブレーキが作動しないまま追突した」と結論づけた。
このニュースで不思議でならないのは、「安全運転支援システム」ってものはレベル2あたりだとあくまでも人間が運転する動作の「補助」を機械が行うのであって「=自動運転」っていうわけでは無いと思うのに販売店の人がノンブレーキを指示したんだよね。何を考えてたんだろ?どこぞのTVCMではあたかも自動運転であるような錯覚をするような表現も一時期には見られたけど最近は言わなくなったような気がするのはやっぱり総ツッコミされたんだろうなって想像に難くはない。ってよくよく見たら、そのメーカーですやん、このニュースの自動車メーカー。
安全に関わる事を軽く考えてはダメだよ。
あのね、こういうニュースがあると「自動運転はダメだ」「やっぱり人間じゃないと」って声が聞かれる。それは確かに一理あるんだけど、ちょっと待って欲しい。あくまでも「運転支援」なんだ。MT→ATによって変速機を人間が手動で操作しなくてもよくなったのと同じ様に、ブレーキ操作を機械が助けてくれるって話しですよ、これ。でもATになっても実際に運転する場合にはPやRやNに変えたりするのは人間がやるし状況によってはモードも切り替える(とは言っても実際には走行中はDにいれっぱの人が多い)よね。あくまでも動作の主体は人間であるわけだ。ブレーキシステムに関しても機械が助けてくれるだけであり「全ておまかせ」って訳じゃないんだ。そこんところを正しく理解して使えば何も問題は無いはずなんだ。でも、おかしな事になってるよな。
人間の感覚ってのは
「そんなわけが無いだろう」
って、これまでの経験や知識などから判断することがある。
それによって不要な情報は排除できるというメリットもあるが、同時に思いこみによるミスも生まれる。
機械で関知するってのは
「ありのままに情報を受け取る」
ってわけだから、入力されたデータを可能な限り正確に処理する。
だから見逃しそうな情報の処理や瞬時の判断もできる反面、入力される情報次第で結果が左右される。
そもそも違うものなんだから、どとらかがどちらかを駆逐するとか取って代わるって話しをするのではなく、お互いが得意なことでお互いの弱点をカバーするというのが目指すべき方向性なんじゃないの?
私の車には
「ホンダセンシング」が搭載されている。
これには標識を認識する機能が付いているのだが、それを例に「機械の目」っていう視点で見てみよう。
↑ たとえば、こういう道があるとします。
それほど広くない道です。目の前にある橋には重量制限があります。
ここを通過しますとインフォメーション画面には
↑ はい、こうやって表示されます。
これを見て、どう思うかが大事なんですね。
人によっては
「なんだ、8と0だけ見て速度標識と見間違うなんて全然使い物にならないジャン」
って思うかも知れません。
また、別の見方としては
「人間ならここが80キロ制限なわけが無いと思い込むところでも、的確に8と0を読み込みやがった!」
って考えるかもしれません。
どっちが正解とか、そういう議論はここではしません。
でも、「人間の感覚」と「機械の感覚」はイコールでは無く、そこには差があるという事はわかっていただけると思います。それこそが大事だと思います。人間の能力と機械の性能をあわせることで、より安全に運転できるということが良いことであり、機械に任せて人間は何もしなくて楽だねって所を目的にするのはちょっと違うんじゃないかなぁってことです。
余談ですが実際に先日あった事ですが某ガソリンスタンドの前を通りかかったときに車道にはみ出すようにチェッカーフラッグを振られましてね、その際にクルマの目の前に振りかざされた旗を「歩行者飛び出し」と認識してブレーキがかかりました。つまりね、「こんなところに人がとびだしてくるわけが無い!」と人間が思い込むような場所でも、機械は「これは人間が飛び出してきたかも知れない!」って考えて動作したってわけですよ。この例では実際には旗じゃなくて子供や自転車が飛び出してきたなら人間の判断ではブレーキが間に合わないかも知れないよね。どちらかだけで回避できる危険であれば、それは問題ないのでしょうけれど、どちらかでは回避できない危険があれば一方がそれを補うことで安全が確保されるはずです。
そのあたりを、やはりユーザーはよく考えて乗らないとだめだと思うし、当然のことですがクルマを販売する側の人はわかっていて欲しいと思います。そういう視点が抜け落ちていなければ、今回のような事故は防げたのではないかと思えてなりません。
クルマが悪者なんじゃなくて、
クルマを悪く使う人が悪者なんです。
それにしても、ガソリンスタンドの前に出てきて店員が旗を振り回すのってホント怖いからヤメテほしい。あれって道路交通法的にはどうなの?
Posted at 2017/04/14 23:59:22 | |
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