2010年11月25日
あるところに、クロという男がいました。
ある日クロが道を歩いていると、具合の悪そうなおじいさんが倒れていました。
クロは一生懸命に介抱してあげました。
その甲斐あってか、元気を取り戻したおじいさん。
するとこんなことを言い出しました。
「親切にしてくれてありがとう。ワシは仙人だ。お礼にお前の望みを何でも叶えてやろう」
クロは喜んでこう言いました。
「おじいさん、私は幸せになりたいのです」
仙人は聞きました。
「お前はどうしたら幸せになれるのだ?」
クロはしばらく考えると、答えました。
「私には住む家がありません。自分の家が欲しいです」
「わかった、お前に家を与えよう」
しばらく経って、仙人はクロの元を訪れました。
「幸せになれたかな?」
クロは答えます。
「家に一人では幸せではありません。自分の妻を下さい」
「わかった、お前に妻を与えよう」
またしばらく経って、仙人はクロの元を訪れました。
「幸せになれたかな?」
クロは答えます。
「我が子がいなければ幸せではありません。自分の子を下さい」
「わかった、お前に子を授けよう」
さらにしばらく経って、仙人はクロの元を訪れました。
「幸せになれたかな?」
クロは答えます。
「家族が裕福に暮らせなくては幸せではありません。自分の財産を下さい」
「わかった、お前にお金を与えよう」
そして月日は流れ・・・
仙人はクロの元を訪れました。
「お前が欲した物はすべて与えた。幸せになれたかな?」
クロはやつれた顔でこう答えました。
「おじいさん。家は災害で壊れ、妻には先立たれ、子は独立して離れていき、
お金は使い果たしました。私は自分の物を何もかも失ってしまいました。
だから幸せではありません。もう一度私に幸せを与えて下さい」
仙人は言いました。
「クロよ。お前は幸せになりたいと言いながら、あれこれと欲するばかりだ。
しかし、それはお前の所有物ではない。家も家族もお金も、皆お前とは別々に”生きて”いる。
”自分の物”というのは傲慢だ。人は何物も所有することはできない。
されど人の欲には限りがない。何かを手に入れたと思っても必ず他の何かが欲しくなる。
欲しい物を手に入れる事が幸せだというのなら、お前は生涯幸せになることはできないだろう。
幸せというのは求めるものではない、気付くものなのだ」
「ああっ、そんな!」
欲しい物を何でも与えられたクロは、たった一つ『幸せ』を手に入れることができないまま、
失意の内に死んでいきました・・とさ。
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幸せとは、今を満足すること。
長い人生には色々ありますよ、色々とね。
でも辛いから、悲しいから不幸だということはないんです。
くろ猫は苦しい時、尊敬してやまない偉大な先生の言葉をつぶやいて元気を出します。
『これでいいのだ』
Posted at 2010/11/25 23:18:03 | |
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くろ猫童話 | 日記
2010年10月30日
あるところに、青くて美しい小さな池がありました。
池には沢山の魚達が住んでいます。
その中で、コイ達はいつも池の水をたらふく飲んでいました。
あんまり美味しそうに飲んでいる姿を見て、やがてフナ達も池の水を飲み始めました。
すると、あまりに沢山の魚達が水を飲むので池の水がだんだん減っていってしまいました。
ある時一匹の魚がこう言い出します。
「このままでは池の水が無くなってしまう。みんなで水を飲む量を減らそう」
コイとフナが集まって話し合いをすることになりました。
コイ達はフナ達に言います。
「お前達が急に水を飲み出したから水が減ってしまったんだ。お前達が飲む量を減らせ!」
フナ達はやり返します。
「お前達は散々水を飲んだじゃないか。今度はオレ達が飲む番だ!」
お互いに譲りません。
そうこうしているうちにも、池の水はどんどん減っていきます。
それでも言い争いをしながら水を飲み続けるコイとフナ。
そしてとうとう池は干上がってしまい、魚達はみんな死んでしまいました・・とさ。
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最近、環境とか生物とか世界的な会議をよく耳にしますね。
こんな結末にならないと良いのですが。
名古屋でも「COP10」というのが開催されていましたが、TVを見ている限りでは
『Conflict Of Payment』
の略なのかと思ってしまいました(- -;)
Posted at 2010/10/30 03:09:01 | |
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くろ猫童話 | 日記