
村上春樹原作の映画はどういうわけか必ず観ていて、山川直人監督の「100%の女の子 / パン屋襲撃」はDVDまで持っていたりします。本棚でホコリかぶっていますが。
かつては免許もなく、「僕は車の運転というものをしないし、また車という物体にもさして興味が持てない」(「村上朝日堂の逆襲」新潮社1986年)と語っていた村上氏。その後、海外生活中のイタリアで人生初のクルマにランチア・デルタ1600GTie(「遠い太鼓」講談社1990年)を選び、クルマはマニュアルで乗るものとすっかりマニアックな車好きになってしまったのでした。
「クルマの運転は、僕ね、必要で始めたわけですよ。東京に住んでいるうちはクルマってまったく運転しなかったですね。免許もってなかったし。でも外国にいくようになって、クルマないとどうしようもないんですよね。必要にかられて、クルマをはじめたんだけど。なんせ最初に買ったのがランチアだから、これはそっち方面にいかざるをえない(笑)。」(「NAVI」二玄社2001年6月号)
そんな今やクルマ好き村上氏原作の映画「ドライブ・マイ・カー」を観に行ってきました。しかも日曜日の朝の9時に。劇中、大きな役割を担うのが、今はなきSaabの赤い多摩ナンバーの初代900、3ドアハッチバックです。原作は黄色いマニュアルのコンバーチブルですが、日本でマニュアルの900はほぼ流通していないはずなので、映画でオートマなのは致し方ないところです。ほとんど舞台は広島なんですけど、3時間という長い上映時間のほんの終わりに北海道の場面があって、わりと家から近いので、ロケ地巡りをしました。
「ドライブ・マイ・カー」で2人が乗る赤いSaab900が発進した場所
その上十二滝村、当初原作では中頓別町(後の修正で上十二滝町)という実際のまちで、タバコのポイ捨て場面で「たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう」などと書くものだから、町議会議員からクレームが来てちょっとした騒動になりました。
(週刊朝日/アエラドット2014/02/20 11:30)
映画の中でSaab900が使われるのは、「ドライブ・マイ・カー」だけではなくて、英国のベストセラー作家ニック・ホーンビィ原作で、熱心なファンのジョン・キューザックが脚本と主演を務める映画「ハイ・フィデリティ(2000年)」にも出てきます。
『シカゴで小さな中古レコード・ショップ<チャンピオンシップ・ヴァイナル>を経営している、音楽オタクで、30代、独身男のロブ・ゴードン。ある日突然、同棲中の恋人ローラが理由も告げずに出て行ってしまう。「なぜ?」「もしかして、自分には恋愛相手として何か重大な欠点が?」ふと思い出したのは、過去に自分が経験した辛い失恋トップ5。昔の彼女たちに「自分の何が問題だったか」を問いただし、ローラの本当の気持ちを理解しようとするが・・・。』(DVDジャケットより)
黒いSaab900は恋人のローラが乗るクルマで、劇中でも色々と役に立っています。
初代Saab900というクルマは、バブル期に日本でも人気を集めたそうです。その頃僕は小・中学生だったので背景はよく知りませんでしたが、街中でよく見かけました。長めの前後オーバーハング、立ったフロントウィンドー、下がったお尻と、何にも似ていない強烈な個性のあるクルマですよね。こういうクルマをマニュアルで乗りこなすカッコイイ爺さんになりたいものです。
(GQJapan「サーブ 900(初代)を普段使いする!」)
・追伸
原作通りの黄色い900コンバーチブルが売りに出ていました。価格は恐怖の「応談」ですが、ご興味ある方はぜひ。
「900Sカブリオレ ワンオーナー 禁煙車 900クラシック ターボ 1992年モデル イエローコンバーティブル 左ハンドル純正アルミホイール オーナーズマニュアル 点検整備記録簿完備 ETC ドライブマイカー」
Posted at 2022/04/05 11:40:25 | |
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