九番艦のブログ一覧

映画のラストで広末涼子が言います。
「夫は・・・納棺師なんです」




妻の美香（広末涼子）は、冠婚葬祭関係（結婚式場？）の仕事をしているとばかり思っていた夫（本木雅弘）が実は「納棺師だったと気が付きます。

第１段階
「さわらないで！けがらわしい！」と泣きながら実家へ帰ります。

第２段階
自分たちの子供がイジメの対象になるからと「中途半端な生き方はやめて」と納棺師という仕事を否定ます。

第３段階
偶然にも夫の仕事現場を見ることになった妻の美香（広末涼子）は、夫の心遣いある仕事っぷりにちょっと感動します。感動の様子はカメラアングルと場のシチュエーションからしかわかりません。

第４段階
理由（わけ）あって火葬場で、美香は「死」について考えさせられます。この様子も場のシチュエーションからしかわかりません。くどい台詞は一切なしです。

第５段階
主人公（本木雅弘）の父の納棺にすったもんだの挙句、立ち会います。そこで一言、はじめてきっぱり言い切ります。夫は納棺師なんだと！
それは妻の美香が納棺師という仕事と夫の仕事を認めた瞬間です。
正確に言えばすでに第３段階で認めていたのですが
胸を張って人様に誇りを持ってスイッチが入った瞬間です。

演出・・・なのか、構成・・・なのか、狙い・・・なのかはわかりませんが、
この一言で映画の世界観を決定付けることに成功していると思います。
その瞬間に感動しました。
映画は広末涼子のこの台詞の後、主人公の「親父・・・」と泣き咽る一言しか台詞がありません。

次回・・・山崎努の「おくりびと」の予定です。