昨日はみんカラでお世話になっておりますピットインさんのベントレー・アルナージTの車検完了後の引き取りにご一緒させて頂きました。
コーンズの東京工場はお台場から程近くの江東区東雲にありまして、電車での移動は不自由ですが車の便は比較的楽な場所であります。ここの工場の存在は以前から知っておりましたが、超高級車を扱う工場の内部がどのようなものか大変興味深いものでした。
この工場の内部を見ると、工場スペースのほとんどがところ狭しとベントレーで埋め尽くされています。この光景だけでも圧巻なのですが、やはり高額車としてはベントレーの販売が好調である事を物語っているようです。
その工場内のスポットライトに照らされ、ワインカラーのアルナージは最終チェックを終えて佇んでいました。工場から外に出すと、まさに夕日を浴びた豪華客船の船上で注がれたワイングラスを彷彿とさせる美しいカラーでありました。またこの個体の内装もボルドーで統一されており、アルナージTによく見かけるウッドパネルのアルミ板が付いていないのも視覚的に自然でした。
去年JDOCのツーリングで訪れたブリティッシュヒルズの室内も、落ち着いた赤系の壁に年代物の家具がみっちりと置かれたほの昏い空間でありましたが、これを自動車で再現すると、まさにこの感じになるのでしょう。
引き取り後、ピットインさんのご好意によりアルナージをドライブさせて頂きましたが、その軽く心地良いフィールは以前に乗った1960年製のベントレーの正常進化である事がよく分かります。絶対的な動力性能は現代のコンチネンタル系が上ですが、豪快でありながら繊細な「そうそう、これこそベントレー!」と嬉しくなる感覚を持つ車は、やはりこのアルナージが最後のモデルなのかも知れません。
この荘厳な英国のマナーハウスを思わせる空間でステアリングを切っていると、動力性能がもたらす喜び等はどうでも良いほどに思えて来るから不思議です。
アルナージ系の最終型、ボディ剛性が飛躍的に高くなっている事に気が付きます。以前のターボRや初期のアルナージはロードホールディングが多少ドシンバタンしていた感がありましたが、フロア剛性が上がった事でそれを解決しています。
やはりベントレーはドライバーズカーという事は確かなのですが、維持費の問題だけでなくこの車を乗りこなして様になるのは難しい問題のように思います。増してそれがアルナージともなれば、ややもするとショーファーに間違えられてしまいそうな畏怖の念すら抱いてしまいます。
そうした意味でもピットインさんは、ビジュアル的にもアルナージをドライバーズカーとして見事に乗りこなして居られます。こうしたさりげない乗り方が出来る方は、やはり素敵な「趣味人」です。
ピットインさん、ありがとうございました。
またお会い出来ます日を楽しみに致しております。
Posted at 2011/09/28 08:00:54 | |
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