
【油圧がキモ】
デュアロジック等のシステムは、
前回のブログで確認したとおり『ギアMT機構のスムーズさ』とロボMTシステムを確実に動かすための『安定した油圧』がキモですよね〜!
過去のセレスピードやデュアロジックのトラブルシュートでは、オイルポンプの不具合交換が目に付きますが、オイルポンプ単体での設計耐久性を考えれば、数万キロでは簡単に壊れないような気がします。
きっとオイルポンプを壊してしまう要因がありそうです。それを解決しない事には、オイルポンプを交換しても、またそう遠くないうちに同じトラブルに遭遇しちゃいそうですよね。。。。
【デュアロジックオイルポンプ】
デュアロジックを油圧で作動させるこのオイルポンプはイタリアDENSO製のようです。FIAT以外でもアルファロメオのセレスピードやフェラーリのF1マティックとも共用されている電磁ポンプです。ポンプの油圧コネクター部のみを車種別に仕様を変えて使い分けているようです。普通に作動させていればまず壊れないかと。
【デュアロジックオイル交換不要説】
2004年~2008年頃の販売初期段階ではデュアロジックオイルは交換不要とのメーカー見解が出ていたようです。実際、デュアロジックオイルを交換しようにも、交換を前提に設計されていないようで、オイルドレンすら無い状況です。某正規ディーラーでも交換を試みるも出来なかった旨のブログがありました。(ホントかよ!?って感じですが。。。(^^; ) Pandaに半年乗った感じでは、作動油はかなり酷使されている様子で、交換不要でいい理由が思いつきません。過去のいろいろなトラブル事例を見ていくと、その原因の多くにデュアロジックオイルの劣化が関連してそうです。
写真は過走行車のデュアロジックオイルです。新油と比較した際の色の変化もさることながら、オイルタンク底に沈殿したスラッジ(写真中央)が何か悪さしそうですよね。この油圧回路にはエンジンオイルのようなオイルフィルターが無いのも悪さを引き起こす要因なんでしょうね。(オイルラインには異物をキャッチする極小さなメッシュネットは配置されているようですが。詳細は後日バラして確認してみます)
写真のようにオイル流路はスラッジ沈殿槽をかすめてオイルが供給され続けます。つまり、スラッジまみれの汚れた油が供給され続ける訳です。汚れたオイルが循環すれば、オイル流路の目詰まりや、オイルポンプや油圧アクチュエーターにもいい訳ありません。最悪の場合は、このスラッジが大量に沈殿してオイル流路をほぼ塞いでしまった事例もあるようです。
スラッジ沈殿物によりオイル流路が狭くなってくると、オイルポンプへのオイル供給量が確保出来ず、所定の油圧が確保できなくなる事も考えられます。こうなると、ECUは所定油圧まで上げようとオイルポンプを回し続けて故障に至ってしまうといった展開も考えられます。(セレスピードではセレオイルの減少によって所定油圧が確保できなくなる事例が多いようです)
【消耗部品】
日常メンテナンスとは別次元で油圧を低下させそうなのがアキュームレーターの劣化です。アキュームレーターは蓄圧器であり、50bar近い油圧を蓄え安定させる役割りなのですが、その仕様から劣化は避けられません。下記のアキュームレーターを切断した写真を見て頂ければ分かるように、非常に単純な構造で、簡単に言うと風船の伸縮で畜圧してます。ただし、こちらは頻繁に交換するものではなく、乗り方にもよるでしょうが5万キロ〜8万キロは問題なく使えるようです。アキュームレーターが劣化してくると、所定の油圧を確保出来ない為、シフトチェンジが上手くいかなかったり、所定油圧を確保する為にオイルポンプが酷使される状態になってしまいますね。。。
アキュームレーターは消耗品である為、所定時期がきたら交換するしかないかと思います。
【簡易油圧経路診断方法】
デュアロジック車は乗車時にドアを開けると油圧を高める為に油圧ポンプが作動します。この時の作動時間を計測しておくと一つの目安になります。僕はiPhoneで定期的に録音してチェックしてます。
(正常範囲の目安)
ポンプ作動時間:10秒~15秒
上記以上に時間を要する場合には、油圧が所定油圧になかなか到達していないという事ですので、アキュームレーターや油圧経路のトラブルが想定されます。
FIAT MultiScan等の診断ソフトで確認すれば正確な油圧数値が見れますが、日常診断では上記で十分かと思います。
(つづく)
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Posted at
2014/03/03 19:45:13