
続き。今更ながら、この物語は99%ノンフィクションです。
バスから降りた俺と猫。このまま腹出っ張ったまま上司に報告できるワケない。上司の居る場所に行く前に猫専用にダンボールを持ってこよう。小さいダンボールが置いてある荷物の受け渡し所に行く。(前記したけど運送業なんでダンボールは一杯あります)
俺 「こいつ入れる用に一つちっちゃいの下さい」上着から猫を出す。
女の子「うわ!可愛いですね!どうしたんですか??」言われてみりゃ確かに可愛い。
俺 「成り行きで今だけ同行中で」
女の子「そうなんですかぁ。これで入りますよね?」
俺 「okok。ありがちょ」猫を頭に乗せてみる。抵抗する猫。再度とりあえず上着に入れてダンボールを持ち移動する。俺が普段運転してる営業車に向かい、俺の代わりに仕事してる人にダンボールを運転席に置く事を伝える。ダンボールに猫を入れ、
「ちょっと我慢しててな」
一応声かける。ダンボールの端っこを折って仮締めして置く。
『みーみー!』
その後途端に鳴き始める猫。やっぱ暗いのは苦手なのか・・・。
「すぐ開けてやるから待っててな」
そう言ってダンボールの隙間から撫でてやろうとする。
『ガブッ!』
「いてぇ!」
・・・噛まれたらしい。軽く痛い。しかも離さない。でも俺もめげずに撫でようとする。
『ペチペチ』
今度はパンチかい。こっちは痛くない。見えてないけどパンチをかいくぐり頭を撫でて、
「すぐ戻るから」
一言声かけて上司の所へ行く。
歩きながら考える。野良って病気とか持ってるのかな?
でも勝手に持ってきて噛まれたんなら自業自得か。アイツが悪いワケじゃあ無いわな。
上司にミスの内容を話して下らないミスはとっとと忘れる事にする。幸い悪い事は寝ればすぐ忘れられる。
その場を去り猫詰めダンボールを置いた営業車に向かう。
「まだ鳴いてるかなぁ」そんな事を考えながら小走りで向かう。
続きまくる。実際この話は4時間ちょいの中の出来事だけどね、書くと結構長いもんですね。
引き続き。
営業車に戻ると、先輩が運転席で俺を待っている状態だった。
先輩 「何か鳴いてるけど猫?」
猫 「みーーーー」
俺 「そーっす。成り行きで持ってきちゃいました。」
先輩 「飼うの?」
俺 「アパートはペット禁止なんで・・・猫って飼った事も無いですし、(猫に)同意を得てません」
先輩 「まぁ普通は禁止だよな〜。」スルーされた。
俺 「ですよね。ていうか飼う気があって拾ったってワケでもないんですが・・・」
少し会話をし、ダンボールごと持ち、
俺 「じゃあ後よろしくお願いします。」
先輩 「んぁあ」
鼻づまりの様な喋り方だな。前から気になってたけど。
そして帰ってから寝る気満々だったのでとっとと会社を出て、帰宅の為に再度会社から出てるバスに乗る。
あぁー無駄に疲れた。休みなのに。
ダンボールを持ったままバスに乗り最前列に座る。後から夜勤さんが大量に乗ってきた。その中にはさっきこのダンボールをくれた女の子も居た。
女の子「あ!もしかしてそのダンボールの中居ます?」
俺 「ええ。もし良かったら引き取ってもらえます?」さっき言えなかった一言。
女の子「住んでるトコペット禁止なんですよねぇ・・・」
俺 「ですよね。まぁ普通そうだと思います。」
猫 『みーーーみーー』
やっぱほっとくと鳴く。撫でようとする、がまた噛まれる。どうしたらいいんだ。世間話しながら噛まれつつバスは目的地に到着する。
軽く挨拶をして電車に乗り換えをして自宅へ向かう。移動中は大抵聞こえる猫の鳴き声。7時すぎだったので、ちょろちょろ人が増えていた。電車の中ではというと・・・
『みー!みー!みー!』
・・・鳴きすぎですから。女子高生とかに笑われてますが。まぁいいさ。どうせ数分だ、もう慣れた。電車は自宅の最寄り駅へ到着する。
次回でおわりになると思う。
つづき。
駅の改札口を出て切符売り場で考える。猫をここに戻し、置いて一人で帰った方がいいんじゃないのかと。ハッキリ言ってコイツを引きとってくれそうな人は居ない。職場の人はほとんど賃貸暮らしだし、実家は犬が沢山居るし。いくらなんでも皆が皆見捨てるのか?持って帰っても俺は猫の面倒見た経験無いし。
『みーー』
高い声で猫が鳴く。猫の気持ちだってあるしな。しかしなんだかんだで、これだけ一緒に連れ回したら可愛く思えてくる。
言葉は通じないが
「ついてこい」そう声かけて、ダンボールに入れたまま駅を出る。ついてこい、というか強制連行だった。
そして、俺のチャリが置いてある方向に向かう。しかしチャリ置き場の手前で左に曲がる。人気の無いどこかの会社の駐車場へ入る。金が無い時はこっちにチャリを置いてたから誰もこないのは知っていた。
そこでダンボールを置き猫を出す。このまま見捨てるのは嫌だ。ガキの頃に縛られて何回後悔したかわからない。今は人の力で暮らしてないからな。キョロキョロ辺りを見渡す猫。
「みぃ?」なんだその疑問みたいな喋りは。
そして、
「言ってる事が通じてるとは思えないし、お前は喋れない。でもお前が俺を選ぶんなら、部屋追い出されるかも知れないけどお前を連れて帰るよ。飯代くらいは出してやれると思う。」
『みーー』近づいてくる猫。早いわ。最後まで聞きやがれ。
「もし一緒に帰るんならこのダンボールに入る。別の生き方がいいならそっち行きな」出口を指差す。
距離を置く俺。自分の足元にダンボールを置いて腰を下ろす。まぁ言葉は通じてないけどね。誰も居なきゃ猫相手に喋りまくっても変な人だと思われないし。
距離を置いた後猫は走り出した。全然関係ない方向に。
「通じないからなぁ…」完璧に独り言だった。
猫はビョンピョン跳ねたりしてる。帰りたい、が猫の気持ちもわからない。実は照れ屋でまだ恥ずかしくてこれないだけかもしれない。勝手に一人でそう考え、しばらく見ていた。
その後動きが鈍くなってきた猫。15分近くそんな小さい体で動き回ればな…。俺だって疲れるわ。
するとモソモソこっちに近付き、置いてあったダンボールを得意の猫パンチでなぎ倒す。そのまま横になったダンボールに入り丸まる猫。きてしまった。内心安心したようなガッカリしたような複雑な気持ちだった。
「ホントにそれでいいのか〜」ダンボールを揺さぶる。出てこない。
「なら行くか」約束だからな。迷いはなかった。
猫にそう言ってダンボールごと抱えて、チャリ置き場に向かう。
「お前は拾ったから[猫ひろし]だな。」メスだけど、その時は気付いてなかった。
チャリのカゴにダンボールごと猫を突っ込む。ジャストフィットだ。
「ひろし腹減ったか?」声かけながら帰路につく。疲れたのかあまり鳴かなかった。
なるべく振動がいかない様にゆっくりチャリを進めて話しかけながら帰る。到着。自宅を前にして、
「今日からここがお前んチ。よろしくね。」
「ただいま〜」
新しい毎日を一緒にする家族が増えた日になった。
後日談ですが猫ひろしだけはやめてくれと、大奥との口論になり、
結果『し』を抜いてヒロという名前になりました。
あと、画像は、その連れて帰った後、すぐ寝ちゃったんですが隣で寝てくれたのを大奥が撮影したものです。
こんな長い文面、最後まで読んでくれた人が居るとすれば
あなたは暇人ですっwww(いやいやありがとうございました。