結果から言うと、2試合目は大敗を喫した。
去年、県大会を勝ち抜き、全国に行ったらしいそのチームは今年も強かった。
2クォーターを終了した時点で勝てる見込みはなかった。点差はそれほど開いてなかったが、あと2クォーターで逆転する事はあり得ない試合内容だった。
無性に腹が立った。
田舎からマイクロバスでやってきた僕らのチームは、サンタクロースが毎年やってくる家に住む子供達に負けてはならないのだ。
どうしても突破できないディフェンス、ルーズボールを追いかける姿勢、組織だったオフェンス、そして自信に満ちあふれた表情。 全ての面で僕らのチームは負けていた。
2クォーターが終了し、息を切らし、負けを覚悟した表情で、コートから下を向いてベンチへ歩いて帰ってくる5人を見て、感情が押さえきれなかった。
立ち上がった僕は、ベンチの前に5人を立たせたまま、およそこの地域では聞けないような汚い言葉で怒鳴り散らした。
「オメエら~!ど素人かえ!!」
「何回、同じパターンにやられとんじゃ!」
「やる気がねぇーなら、プレイするな!ゴールの前でずっと立ってろボケッ!!」
残り2クォーターは試合を見ずに、僕が小学生だった頃を思い出していた。
僕の家は、三軒長屋の真ん中で、たいそうなボロ屋だった。もちろん自分の部屋などなく、トイレは左隣と共同だった。僕はそこに住んでる事が大変恥ずかしく、同じ地区以外の友達を家に招いた事も、住所を教えた事もなかった。暑い夏、友達の家で、優しそうなお母さんがおやつにアイスクリームを差し入れてくれる事が羨ましくて仕方なかった。
終了のブザーが鳴ると、僕は子供達を体育館に置いたまま、中庭を横切り、学校の敷地内で煙草に火を点けて校門を出た。そして僕はサンタクロースの家を見ながら青空に向けて溜息と煙を吐いた。
サンタの家の横で、独り言を言いながら排水溝を覗いていた少年と目があった。
Posted at 2009/08/24 18:09:42 | |
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ミニバス | 日記