
大変永らくお待たせしました。
先日実施したインプのボンネットフード内の温度分布計測の結果を発表します。
今回はECUからいただいたデータと追加の温度センサーのデータを重ねて解析しましたが、温度センサーのほうは計測開始のタイミングや計測間隔(インターバル)が任意に設定できるのですが、ECUのほうは時計を持っていないので、計測開始からの積算時間しかわかりません。
また、インターバルが約160ミリ秒と中途半端なうえ、たまにタイミングがずれるため、温度センサーのデータとキレイに重ねるのに少々時間を費やしてしまいました(^^ゞ
では、解説おば。
まず、時間軸は14:30~14:50までの20分間です。
前半部分は高速道路(湾岸線)に上がるまでの、一般道におけるストップ&ゴーの繰り返しです。
後半は泉大津入口から湾岸線に上がり南下、貝塚出口で一旦下りて、再び折り返して北上し、泉大津SAに入るまでのデータです。
黄色い波形が速度(右軸)なので、大体の動きはわかるかと思います。
次いで、一番下の青い波形(左軸)が外気温です。
計測ポイントはグリルとラジエターの間です。
この日は予想最高気温が30℃だったのですが、おおよそ予想通り、29~30℃で推移していますが、日射や停止中は自らの放熱でやや温度が高く計測されていますが、そこは無視してください。
次のピンク色の波形はECUからもらった吸気温度データです。
一般道走行中は外気温より10℃近く高い温度で推移していますが、高速に上がり速度があがると、外気温+4℃程度で推移しています。
外気温度より高くなるのは、やはりボンネット内のエンジンなどの熱源からの輻射や対流によって、吸気ダクトが加熱され、その影響によるものだと推察されます。
ただし、速度が十分に上がれば、ボンネットフード内も十分に換気され、温度が下がってくることが読み取れます。
その上、茶色と紫色の波形がそれぞれボンネットフード内(エンジンルーム)の左右の雰囲気温度です。
直感的には思っていたほど温度上昇はしていないな?という印象です。
計測開始直後はまだ十分に温まっていなかったようで温度は上昇傾向ですが、それも75℃で頭打ちとなり、速度の上昇とともに60℃程度で落ち着くことになります。
ただ、エンジン周囲でもかなり温度ムラがあるようで、左右で10℃以上の温度差がありました。
もちろん温度が高いのは右側(運転席側)のタービンが居るほうです。
で、ここからが問題です。皆さんもよく考えていただきたい。
この日は外気温が高かったため、フルブーストでも135kPaが一瞬かかった程度で、おおよそ120kPaほどしかかかりませんでした。気温の低いときには150kPaまで上昇します。
(よくオーバーシュートと勘違いされる方がいますが、ECUのパラメータでそのような設定になっているので、決してオーバーシュートではなく、あくまで正常な制御範囲内です。)
OpenECUのパラメータを見ると、確かに吸気温度が30℃以上になると補正値が入り、40℃以上になると10%以上もウエストゲートが開放側に補正されます。よってブーストがかかりにくくなるわけですね。
私のGDBは吸気系統は全くのノーマルです。
ノーマルの吸気位置はラジエター上部なので、ラジエターの放熱の影響を受けにくい場所になっています。
吸気系の改造でエレメントボックス・エアフィルターまでのダクトを取っ払ってしまい、スポーツフィルターを直付けしているケースをよく見かけます。
この場合、吸気はタービンにより近い位置になるとともに、ラジエターの放熱を避けることが出来なくなります。
最悪の場合、計測値からは吸気温度が60℃以上になってもおかしくないということです。
吸気温度が外気温(ノーマルの吸気場所)より30℃高くなった場合、空気の濃度は10%も薄くなります。
空気比(ラムダ)が一定の場合、単純には10%の出力ダウンということになる可能性があるというわけです。
さらに、40℃以上の吸気温度にはウエストゲートの補正値によるブーストの低下が・・・
出力ダウンは避けられないということです。
これらのことから考えて、吸気抵抗低減のためにスポーツフィルターに変えるのはいいけど、安易な吸気位置変更は単に出力ダウンを招くだけだということです。
どうせ変えるなら、外気を直接吸引できる位置にしていただきたい(^^ゞ
以上、簡単ですが報告にかえさせていただきます。
Posted at 2009/09/30 13:22:29 | |
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