
( ; ゜▽゜)ノ あぁったいへんだ、ヒトがたおれているぞ!
緑の服を着た大柄な男性が、ややテンション高めな棒読みでこのセリフを言うと、私たちのグループは練習が始まる。
今までに普通講習は数回、AED講習は1回受けているが、とある事故現場で清潔なタオルを提供するぐらいしかできなかった後悔と、2010年のガイドライン改正のアップデートを理由に、救命講習を受けてきた。
今回はステップアップも兼ねて、上級救命講習(8時間)を選択。
複数の団体が開催しているが、無料なので人気度が高い消防局に3ヶ月前に申し込み、定員30名に滑り込んだ。
この先は、備忘録(長文)。
まずはこのテキストを使っての学科。
改訂4版となっている。
テキストを使ったのは最初だけで、その後はずっと机を撤去した広いスペースでの実技講習、そして最後に学科試験(合格は80点以上)という流れ。
【午前中のカリキュラム】
応急処置の必要性、体位の管理
止血時、傷口に充てるのは剥がしにくいティッシュより布が良い。
三角巾を使っての応急処置では結び方、たたみ方を個別に繰り返し練習した後、2人1組で各部位への巻き方をを練習。
ポイントは、包帯代わりに巻く時は心臓に遠い方から近い方に。
搬送方では、毛布を使った即席の担架の作り方や移動の仕方、担架が無い時の搬送の仕方を練習。
正しいやり方を身に付けると、非力な女性が1人で屈強な男性を運ぶことも可能。
複数人で搬送するポイントは2つ。
患者の足を先頭にする。
担架無しの時、患者の左右の人の腕は交互に差し込んで安定させる。
【午後のカリキュラム】
4~5人のグループで、上半身の人形を使っての心肺蘇生法の訓練。
小児と乳児も救命の対象になる。

ここで、冒頭の台詞になる。
今までの講習では「負傷者発見!」だったが、この日は各グループにいるおだっくいが、アレンジしていた(おだっくい=お調子者/方言)。
以下「 」内、全て呼称。
「感染防止よし」
「周囲の状況よし」患者に近付く前に安全確認
「大出血なし」出血部位、状況により対応
「わかりますか」×3、両手で両肩を軽く叩きながら耳元で呼びかける
「反応、ありorなし」
「誰か手伝って下さい」大きな声で周囲の助けを求め
「あなた、119番して下さい」
「あなた、AEDを持ってきて下さい」
この時、具体的に要請
AED、救急車が来るまで心肺蘇生
「呼吸の観察」
・胸、腹部の動きがない
・観察してもよくわからない
・死戦期呼吸(しゃくりあげるような、途切れ途切れに起こる呼吸)
「胸、腹部の動きなし」観察は10秒以内で
「圧迫部位、確認」胸の左右の真ん中の下
「胸骨圧迫、開始」重ねた両手の掌底で5㎝以上沈む強さ(小児の場合片手、乳児の場合指2本、胸の厚みの1/3まで)
「1.2.3~30」100/分のテンポ
「気道確保、頭部後屈あご先挙上」
「気道確保よし」
「人口呼吸、実施」
AEDあるいは救急車到着まで、胸骨圧迫30+人口呼吸2をワンクールで繰り返し(ガイドライン改正で人口呼吸は省略可になった)

画像ではちょいグロなベビーだが、人形なのにこのリアルさで緊張感を高める。
AED到着→持ってきた人に
「あなたAED使えますか?」
ハイと答えたら、任せてCPR(胸骨圧迫)を続行
イイエと答えたら
「では、あなた私に変わって胸骨圧迫お願いします」
わからないようだったら具体的に指示しながら自分はAEDの準備に入る
AEDに関しては、機種により多少の違いがあるが、機械の音声ガイダンス通りに動けば良い。
ガイドライン改正前の機種は、指示の内容が少し違うが機械の指示に従う。
とは言うものの、ここでも呼称は必要。
「AEDを使用します。電源ON」
「パッド着装、安全確認します」たいてい、パッドに貼り付け位置のイラスト有り。
右鎖骨下&左胸の下(小児の場合は左胸の下ではなくその背面)
「水漏れなし、貼付剤なし、ペースメーカーなし、埋込式除細動器なし」水難現場等では、パッドの貼付位置の水を拭き取る。
患者のアクセサリー等の金属は、取り除けなければパッドに触れない位置に。
パッドは肌に密着しなければいけないので、胸毛等の体毛を除去(AEDの中にカミソリと予備のパッドがあるので、状況に応じて剃る又はパッドの粘着面でベリッと剥ぐ)
「パッド着装します。離れて下さい」
ここからAEDの指示に従って、状況に応じてショックを行う。
「離れて下さい」
「ショックします。私よしあなたよし周りよし」
ON
AEDの音声を聞き、指示に従う。
約2分、CPRを実施して再びAEDの指示に従う。
午後は、ここまでの流れを延々とリプレイしていたと言っても過言ではない。
教官が、AEDはあくまでも細動をリセットする機械ですと連呼していた。
何故なら、最初にパッド着装して解析後にAEDが『ショックの必要はありません』と言った時、必ずしも良好な状態とは限らず、全く心臓に動きが無い場合もあるから。
つまり、ドラマ等で観る心電図がフラットになって慌てて電気ショック→心電図に波形が戻るというのは、演出上の嘘ということを知らない人が多かったため。
ちなみに、良好な状態でショックが必要ない場合も、いつ状態が激変するか分からないのでパッドは剥がしてはいけない。
そもそも、AEDの電極パッドは着装こそ一般市民にも許されるが、剥がして良いのは資格のある人だけ!
なので、一度貼り付けたら救急隊員にそのまま引き継ぐ。
消防庁によるカリキュラムは全国統一だが、救命講習というのは主催団体により内容は微妙に違うらしい。
以前受けた講習は、人形が生き返るまで10分以上も心肺蘇生を続けるとようやく救急車到着、というハードなものだった。
高価な人形だったのだろう、そういうセンサー?が搭載されていた。
CPRは2分もやれば、もうくたくたになる。
頚椎症の私は、かなり早い段階で首と頭痛に襲われて、1日経った今日は筋肉痛も加わって家の中をそろりそろりと動いている。
午後の半日を心肺蘇生の訓練に費やした昨日の30名は、今日漏れなく筋肉痛と倦怠感に見舞われているはず。
痛みが、人の役に立つための訓練の結果なら、誰でも甘受するだろう。
今回の講習で、救急車到着まで平均8分と言われた。
講習を受ける度に到着時間が遅くなっている。
胸骨圧迫は、交代要員が必要だ。
じゃないと、救急車到着時に患者その2になってしまいそう(°°;)
救命の現場に居合わせたら、これを読んだあなたも何かの縁と思って交代要員として名乗り出て欲しい。
一方、AEDの成功率は2分を境に激減し、1分毎に7~10%低下する。
AEDが動作不良だったり、古くて内臓バッテリーが足りなかったり、どんなアクシデントが起こるか分からない。
1分でも早い救急車の到着のため、常日頃から緊急車両の通り道を塞ぐことのない運転を心がけなくては。
修了証をもらって解散。というか、解放ヽ(゚Д゚)ノ