
Back to the basic という言葉をよく耳にします。最近とあるポルシェ乗りの年配の方もそろそろ素のカレラにするかな、と言う話を聞きました。
このショットは約1年半前にPC青葉で撮ったものですが、右が下取りに出す996カレラで左が納車される997GT3というシチュエーションです。
この時の記憶はいまだに鮮明で、カレラからGT3に乗り換えた瞬間から『これは全然違う車だ!』と思ったものです。エンジンをかけたときの音や細かなバイブレーションの違い、クラッチの踏み応えと繋がりのシビアさ、スロットルレスポンスやステア操作に対する敏感さ、一段と頑強になったボディと後ろから何となく伝わる熱量の多さ、どれも予想はしていた事ですが、スロットルを踏み込むと音楽がまるで聴こえなくなったり、3000〜4000rpmあたりでエンジンの振動でバックミラーが用を成さなかった時には思わず笑ってしまったものです。これぞまさしく自分が求めていたもの、速く走るために犠牲にしなければならなかった部分、いわゆるネガも自分にとってはすべてポジに写り、その気持ちは今も変わる事はありません。ただ、同時に今まであまり気に留めていなかった素のカレラの素晴らしさも意識する様になってきたのです。
自分にとってのポルシェ原体験は学生時代にロングツーリングに出かけた930カレラで、その時のフィーリングが未だに根強く残っています。その点、996カレラは今の時代の車だけあり、非常にリファインされており誰にでもドライブできる911ですが、いざ他の車から乗り換えてエンジンに鞭をいれるとやっぱり紛れもない911なのです。GT3が全然違う車だと言いましたが、他車からの乗り換えでは明確に911らしさを感じます。根底に流れているものが同じと解釈するのが自然でしょう。996と997の違いという部分はありますが、同じようなボディを纏いながらもこうも違う味付けができるものかと感心する事しきりです。GT3はある意味では911の持つ危うい部分を曝け出してしまった車という見方も出来るかも知れません。それ故にGT3を経験した後に素のカレラに乗ると、911のより本質的な部分がより良く理解できる気がしてなりません。
体力と視力の衰えを少しずつ意識してきた昨今ですが、少なくとも気力が続く限りGT3のそして911の本質に迫りたい、そしてうんと年を取った時に素のカレラが似合う自分になっていたいと思う今日この頃です。
つまらない独り言に付き合って頂き、感謝します。
Posted at 2009/07/14 00:31:46 | |
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