まったり屋のブログ一覧

小泉構造改革の郵政民営化の様々な弊害がクローズアップされるのと時を同じくして、

旅客自動車業界の緩め過ぎた規制を、再度 縛る法律が、１０月に施行されました。。


【タクシー事業適正化活性化特別措置法】
（長すぎる…笑、 ので、タクシー特措法などと呼ばれてます。）


緊急調整区域（措置）は、エリアの【球数】を絞るのに対し、

今回の特措法は、【運賃（料金）】を絞ります。。

例えると…、

きちんとした材料、仕込み、で提供されるラーメンは、通常 適切な利潤を踏まえると、￥６００～￥７００で提供されますが…、

安い方が利用者からの受けがいい（需要がある。）…という理由で、それなりの材料、仕込みで￥３００で提供する店が増え、薄利多売で寝ずの仕事量をこなす店に対し…、

厚生労働省が、帳簿、営業形態、などをチェックし、適切な利益が出ていない店に対し…、

『いくら、利用者から選ばれていても、その程度の利益では、アナタの子供に ご飯食べさせられる程 利益出て無いでショ？』

…と値上げを指示（命令ですね。）する様なものです。


大阪では、この理由で既に８台の（最安値）個タクが、値上げを指示されました。

同じような法人も随時、指示されていくでしょう。。

法人事業者及びその乗務員は、【値上げ反対】の為の連合会を組織したようですが。。

そもそもの発端は、食べていけない乗務員の、無理 無茶による、トラブルや事故、（犯罪も？）が多発した為ですから、仮に利用者の署名が何万集まろうと、回避は出来ないと思います。。


各乗務員や法人事業者が、売上を水増しし 利益が出てるように見せかければ…、
安値の申請は、毎年認可されるでしょうが、その為に 余分に法人税、所得税、社会保険料を払うのは、本末転倒ですね。（…笑）

規制緩和による弊害の最も典型的な事案として、大阪 吹田市 中央環状線での観光バス 橋脚激突事故が挙げられます。。

記憶に新しい、【あずみ野観光バス】です。

乗務員の居眠り運転が原因ですが、その経営スタイルには、私もビックリしました。

まさか、観光バス会社を、

【親父】が、社長 兼 整備士で…、

【奥さん】 専務で…、

【長男】（２０代半ば）ドライバーで…、

【次男】（１６才死亡）が添乗員で…、

家族４人で経営してるとは、思いませんでした。。

規制緩和での小口で開業どころか、【家内制バス会社】です。

そんなんアリ！？…と思ったら案の定 労働基準法違反です。

元請けの旅行会社から運賃を安く叩かれ…、やむなくの請負は、しょうがないとしても。。

奇跡的に、死亡者が、当の次男だけというのが救いですが、逆に泣けてきます。。

従業員や、キャリアのある乗務員を雇う資金すら無いのに、会社を立ち上げる事が出来たばかりに一家崩壊です。。


長男に、連日連夜の過労運転させ…、
未成年の次男に、深夜労働させ…、

労働基準法違反の挙げ句、 息子を亡くしてしまった親父の心中は。。

私の思う過失割合は、

規制緩和に安易に乗っかり、経営を誤り次男を死なせた親父
５０％

それを止めなかった奥さん
１０％

過労を感じつつ長距離運行を続けた長男
３５％

残りの５％は、こうなる事を予測出来なった行政です。


安いバスを知らずに利用したお客さんは、【立派な被害者】ですが…、

過酷な経営状況の あずみ野観光バスがどの様な【保険】に入っていたのか？

安く叩いた元請け旅行会社に過失は無いでしょうが…、
結局、被るのかな？
…わかりません。。

旅客自動車を【適正】な価格以下…
（事業者や乗務員が食べていけないような…）

…で利用するという事は、そういう事です。

たかが、１～２万円の売上金狙いでタクシー乗務員が、問答無用で 殺される様な景気です。


食べていけない乗務員（事業者）が、それ相応のリスク覚悟で仕事（営業走行）してるという事を、
行政や、利用者は感じて頂きたいですね。。 特に、【他人事】では無い利用者は…。。

物品（商品）は…、
原価、生産コストの改善や、技術開発、多人数の流れ作業で量産し、
【薄利】だが【多売】する事で利益を出せますが…、


お客さんが、支払うタクシー料金の５割は、乗務員本人の人件費（給料）です。

残りの５割が、職員の人件費や、車両代（修理、消耗品、検査、燃料費）です。

タクシーの運賃を値下げするという事は…、

乗務員（職員も）の手取りを減らし、

車両代【修理、消耗品、検査】のコストを削減するという事です。


『安くて、お客さんに選ばれた方が 沢山売り上げ出来るでしょ？』
…という意見はあるでしょうが…、

【鵜飼い】の【鵜】と同じように、

例え、千匹の魚が目の前にいても、一羽の鵜が その時出来る仕事量（漁獲量）は一羽分でしかありません。

乗務員が、１時間、1日、１ヵ月でお客さんを乗車し 走行出来る数字は、みな１人分です。

言い方を変えると…、
限られた時間内で、４２.１９５ｋｍを、
大きな歩幅で走るか、小さな歩幅で走るかの違いです。

中には、小さな歩幅で、限られた時間内に６０ｋｍ走れる乗務員もいるでしょうが、

タクシー業で、【それ】を毎日、毎月行うという事は、限りなく高いリスクを背負う事になります。

薄利多売の論理で利益が出るのは、経営者であって乗務員では無い…という事です。


経営者の出来るコスト削減とは、

中古車を揃え、リビルドパーツを使用し、１０万ｋｍ走行しても減らないタイヤを使い、高齢乗務員を雇い国から雇用助成金を貰い、事故処理の際は相手のどん（ミス）を突きまくり、とことん支払いを減らす事です。


乗務員が出来る多売とは…、

今乗車しているお客さんを、とにかく早く降ろして（目的地に着いて）、次のお客さんを早く乗せる為に…、

【とことん】スピードアップする事しかありません。。

当然、事故率は上がります。。

２００２年の…、
小泉構造改革により、旅客自動車業界にも 大きな規制緩和が 行われました。


『新規参入を容易にする事で、市場の競争原理を より活発化し、
劣悪 又は、利用者の利便の増進が出来ない事業者は、自然淘汰され、
利用者はより確実なサービスを受ける事が出来るであろう。』

…というのが主旨だったでしょう。


一番分かり易いのは…、
小口（数台）での事業許可が可能になり、自己資金や、設備投資などの金銭的ハードルが低くなった事です。

結果、保有台数１０台前後の【零細】バス会社や タクシー会社が乱立する事になりました。

また、既存の会社も増車申請に、許可が出易くなりました。
（個人タクシーも同じく。）


そして、競争原理は働きます。。
【値段競争】です。

特に、関西では関東と比べ 景気の冷え込みは厳しく、激しい値段競争が起こりました。

利用者は、タクシー料金が ドンドン安くなるので【規制緩和万歳】です。

当時、【デフレスパイラル】の危険性は、指摘されていましたが…、

この業界は見事な【螺旋】が出来上がり、現在進行形です。。

連休最終日の深夜。。

さすがに、【ぱっと】しない京都駅で、客待ち中、いつものお客さんから ＴＥＬがあり お迎えに。。

某有名私立大の客員教授で、（各都道府県知事にマンツーマンで講義をする程の方で）すが…、

かなりの酒好きで…、

私は、【へべれけ】の状態しか見た事が無く…、
（だから、タクシーで帰るんですケド…笑）

今夜は、輪をかけて千鳥足。。

乗車し走り出して、専用枕で お休み中かと思いきや…、

【いつもの様に、いきなり】、
『トイレ。。』


慌てて、クルマを【中途半端に】止めドアを開けると、
ヨロヨロと車外へ。。

片側２車線の国道上ですし、とりあえず路肩へクルマ寄せようとし、ルームミラーで後ろを覗くと…、

（いない…、お客さんが！）

慌てて、車外へ出ると…、道路の真ん中で大の字で倒れています。
（泥酔だから、よろけてコケたんですね。）

深夜とはいえ、国道ですから、それなりの交通量とスピードで クルマやバイクが、向かって来ては、ビュンビュン走り去って行きます。

コケた拍子の怪我も心配でしたが…、
それより、

どんどん向かって来る クルマやバイクのライトの方が、
怖く、急いで介助しながら路肩へ連れて行きました。


しかし、その【光景】は、誰がどう見ても…、

【歩行者を跳ねた個人タクシーのドライバーが、被害者を救護している】

…様にしか見えず、（爆）
（営業車も中途半端に斜めに止まってるし。）

私としては、いたたまれなかったデス。（笑）

…何はともあれ、無事で良かったです。。

旅客自動車ならではの【ヒヤリ・ハット】ですね。。